概要
食べ物を口の中へ入れて、咀嚼(そしゃく)し、飲み込み、食道へ送り込む一連の動作のいずれかに障害がある状態を嚥下(えんげ)障害といいます。
この検査は、鼻咽腔ファイバーという内視鏡をのど(咽頭)に入れ、食物の飲み込み(嚥下)の様子を観察する検査で、唾液や喀痰の貯留の有無、食物を飲み込んだ後の咽頭内への食物の残留の有無や気管への流入(誤嚥:ごえん)などを評価することができます。また、嚥下に影響を与えることのある声帯の動きも評価することができます。
この検査の結果をふまえて、今後の食事形態や食事時の姿勢の調節、嚥下訓練の適応、方針を決定します。
検査の実際
鼻の穴(鼻腔)から細い内視鏡を入れ、のど(咽頭)の様子を観察します。その後、内視鏡を入れたまま、見やすいように食紅などで着色したとろみつきの水、とろみのない水、ゼリー、または実際のお食事の一部などを飲み込んでいただきます。
ビデオ嚥下造影と異なり、造影剤を用いたり透視室に出向いたりする必要はありません。実際のお食事を食べて飲み込む際ののど(咽頭)の様子をじかに観察できるのがこの検査の大きな利点です(図1)。
図1.嚥下内視鏡(VE)検査
所要時間
30分
検査に際しては、実際に少量ながら食物を食べていただきますので、それに伴う誤嚥の危険性があります。検査中は誤嚥に対応すべく常に吸引ができるように準備しています。
1. 検査に伴う危険性誤嚥、肺炎、窒息
適切な食形態を判断するために、やむを得ず患者さんにとって難しい食形態ならびに量を摂っていただくことがあり、検査中に誤嚥が起こり得ます。まれですが誤嚥の量が多ければ発熱、誤嚥性肺炎がこの検査によって起こることがあります。非常にまれに検査中の窒息や、誤嚥性肺炎の重症化があり、患者さんの状態によっては生命に危険を及ぼすリスクも0ではありません。
2. その他
頻度は低いですが、鼻出血、咽頭出血、喉頭けいれん、失神(血管迷走神経反射性失神)などがあります。
文責:
リハビリテーション科
最終更新日:2021年9月28日