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血管迷走神経失神(含むアルコール失神、排尿失神)

けっかんめいそうしんけいしっしん(ふくむあるこーるしっしん、はいにょうしっしん)

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概要

失神とは一時的に意識を失うことをいいますが、脳の血流量が減少することによって起こります。失神は、まず心原性と血管迷走神経性失神に大きく分けられて、ここでは血管迷走神経性失神について解説します。血管迷走神経失神は、排尿、嚥下、排便、食後、咳などの後に起こる状況失神、頚動脈洞症候群、および情動失神などとともに神経調節性失神症候群と呼ばれています。血管迷走神経失神は失神の原因の約20%を占めますが、疫学研究では予後(病気の見通し)が良好な疾患であることが分かっています。

症状

失神の前兆として顔面蒼白、冷汗、悪心、腹部不快感などの自律神経症状を伴う場合があり、精神的あるいは身体的ストレスによって失神します。失神が起きた場合でも、安静にして仰向けになることですぐに回復します。
過労、脱水、長時間の立位、起立、空腹、痛み、採血、恐怖などが誘因となる場合があります。また、飲酒、排尿、排便、嚥下(飲み込み)、咳嗽(がいそう:せき)によって失神が誘発されることがあり、これらは状況失神と呼ばれています。

症状

診断

失神に関する問診がとても重要になります。失神の状況から神経調節性失神が疑われた場合には、ティルト試験、頚動脈洞マッサージを行って診断を確定します。状況失神ではこれらの検査を行っても診断することが難しい場合があり、長時間心電図記録(ホルター心電図)や皮下に植え込み数か月から年にわたる記録が可能な植込み型ループ心電計(ループレコーダー)の植込み手術を勧められることもあります。
神経調節性失神が疑われる場合であっても、失神の原因が他の病気によるものの可能性が否定できない場合には、必要に応じて外来または入院して他の精密検査が行われる場合もあります。

診断

生活上の注意および治療

失神が起きた場合には、安静にして仰向けになることですみやかに意識および症状は回復します。また失神を繰り返す場合には、脱水、長時間の立位、飲酒、塩分制限といった誘因を避けることが重要です。状況失神では通常発作の頻度が少なく、生活指導のみで改善することが多いとされています。排尿・排便時のいきみ、嚥下(飲み込み)、咳嗽(せき)を改善するようにします。いずれの状況失神でも発作の直前に前兆(気分不快、血の気が引くような感じなど)があった場合、しゃがみこんで転倒に備えるようにします。
神経調節性失神に対して一般的に有効な薬はありません。咳嗽失神では必要に応じて鎮咳薬(せき止め)を投与します。また、生活指導により失神が予防できず、失神発作時に徐脈や心停止が出現する場合にはペースメーカー植込みが必要となる場合があります。

文責: 循環器内科外部リンク
最終更新日:2024年4月30日

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