病気を知る
血管腫・血管奇形の治療
症状
いわゆる赤アザや青アザと認識されることが多い疾患ですが、似ているように見えるものでも、その種類によって、自然経過も治療法も大きく異なります。腫瘍に似たような増殖を示す乳児血管腫(いちご状血管腫)と、血管構造の異常を伴う血管奇形(毛細血管奇形、静脈奇形、リンパ管奇形、動静脈奇形など)に大別されます。
乳児血管腫(いちご状血管腫)は、典型的には生後数日~2週間ぐらいから出現し、最初は小さい赤い斑点が徐々に広がり隆起してきます。全身どこにでもできる可能性があり、場合によっては潰瘍化します。通常は半年から一年ぐらい経つと成長が止まり、6~7歳ぐらいまでには約80%の人で自然消退するとされています。しかし、自然退縮後も、皮膚の隆起やたるみなどの変化が残る場合があります。
血管奇形は、もともとは生まれもった血管構造の異常に起因しているといわれています。出生時から存在していますが、出生時から明らかな場合と、後に大きくなって見た目や痛みの出現で初めて気づかれる場合があります。通常は自然になくなることはなく、気づいてから殆ど変わらないか、徐々に大きくなり悪化してくる場合と二通りあります。腫瘍内に含まれる異常血管の種類によって分類され、特に動脈成分が含まれる動静脈奇形は急に悪化して、出血や潰瘍を繰り返す場合があります。
治療
上記のように、同じ血管腫でもその種類によって大きく経過が異なりますので、まずは医療機関で適切な診断を受けることが重要です。
乳児血管腫(いちご状血管腫)は、何も治療を行わなくても自然に小さくなってきますので、治療の基本は待つことになります。しかし、血管腫が大きく膨れることで、退縮後に皮膚の弛みが目立つ場合があり、症状や患者さん、ご家族の希望に応じて早期から内服治療やレーザー治療を行う場合があります。
また、まぶたにできた血管腫により視野が妨げられたり、口の中にできると気道を圧迫する場合がありますので、そのような場合には内服治療を行います。
血管奇形は、その種類や大きさ、場所によって大きく治療法が異なります。手術による切除からレーザー治療、硬化療法・塞栓療法(放射線診断科との治療)、近年では内服治療が保険適応になっており、様々な方法を用いて治療します。
慶應義塾大学病院での取り組み
慶應義塾大学病院では、2013年より血管腫・血管奇形専門外来を開設し、形成外科と放射線診断科により、外来・治療にあたってまいりました。血管腫・血管奇形は全身にわたって生じる疾患であり、これまでも各科と連携を行ってまいりましたが、2022年より診療クラスターとして血管腫・血管奇形センターを立ち上げることで、より各科との密な連携、治療にあたっております。
「血管腫・血管奇形センター ~病態・治療について~」の記事もご参考ください。
外来担当医表をご覧のうえご相談ください。