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消化管ポリポーシス

しょうかかんぽりぽーしす

概要

消化管ポリポーシスとは、消化管にポリープが多数(一般的には100個以上)みられる場合を指します。消化管ポリポーシスの原因となる疾患は多岐にわたります。

症状

症状は乏しく、便潜血検査の陽性者に対する精密検査でたまたま発見されることがあります。腹痛や嘔吐、下血が生じることもあります。疾患によっては消化管以外に症状が現れることがあります(表1)。

表1.消化管ポリポーシスの原因となる疾患群

 

疾患群

遺伝形式

原因遺伝子

がん化

消化管以外の症状



家族性大腸腺腫症

常染色体優性遺伝

APC

あり

デスモイド、甲状腺がん、歯牙異常、脳腫瘍

MUTYH関連大腸腺腫症

常染色体劣性遺伝

MYH

乳がん




Peutz-Jeghers症候群

常染色体優性遺伝

LKB1/STK11

手足・口唇周囲色素斑、卵巣腫瘍、膵腫瘍、肺がん

若年性ポリポーシス

常染色体優性遺伝

SMAD4, BMPR1A

Cowden病

常染色体優性遺伝

PTEN

顔面・四肢丘疹、口腔内乳頭腫、乳がん、甲状腺がん、卵巣腫瘍

結節性硬化症

常染色体優性遺伝

TSC1, TSC2

顔面丘疹、網膜過誤腫、腎血管筋脂肪腫、てんかん



炎症性ポリポーシス
(クローン病、潰瘍性大腸炎)

なし

なし



Cronkhite-Canada症候群

なし

あり

色素沈着、爪の萎縮、蛋白漏出性胃腸症、脱毛

Hyperplastic/serrated polyposis

一部あり

不明


診断

造影剤を用いたX線消化管検査や、内視鏡検査ならびに組織学的検査を行います。ほかに体への負担が少ない消化管検査として、CT 検査MRI検査カプセル内視鏡検査などを行っています。

治療・生活上の注意

一般的に、ポリープに対する対応としては、5mm大以上の大腸腺腫は内視鏡治療としてポリペクトミー、内視鏡的粘膜切除術(endoscopic mucosal resection: EMR)、あるいは内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection: ESD)による切除があります。病理学的所見と合わせて適切な経過観察が必要です。ポリープによって腸が詰まってしまった場合は手術が必要になります。そのほかの対応としては、家族性大腸腺腫症は大腸がん発症リスクが高いため、予防的大腸全摘術を行います。また、炎症性ポリポーシスについては、原疾患のコントロールを行います。

慶應義塾大学病院での取り組み

当院では従来の造影検査や内視鏡検査だけではなく、より体への負担が少ないカプセル内視鏡検査やCT・MRIによる消化管の画像診断を積極的に行っています。まずは担当医にご相談ください。ポリープに対する切除術も入院・外来にて日常的に行われています。消化管ポリポーシスは遺伝性疾患の可能性があり、患者さんやご家族にとっても大きな問題です。当院には臨床遺伝学センター外来外部リンクがあり、遺伝カウンセリングや遺伝学的検査も行っています。

さらに詳しく知りたい方へ

文責: 消化器内科外部リンク
最終更新日:2021年8月27日

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