ボーエン病
症状
皮膚の最も外側を成す表皮細胞が悪性化したもののうち、'病変が表皮内に留まる'いわゆる早期がんです。主に高齢者に出現します。直径数センチの円形から楕円形の赤~茶色味がかった斑で、少し盛り上がっていたり、表面にカサブタが付着していたりします。これを擦ったりはがしたりするとびらん面になります。通常単発ですが、慢性ヒ素中毒の症状としてボーエン病が多発することがあります。また外陰部にできたものにはケイラー紅色肥厚症という別名もあります。
診断
見た目で診断がついてしまうことも多いですが、湿疹や乾癬などと区別が難しい場合もあります。その場合には皮膚生検を行う場合もあります。
治療
外科的切除が第一選択です。大きさや部位にもよりますが数ミリ離して拡大切除を行います。年齢や大きさなどにより切除が困難な例では、液体窒素による凍結療法、イミキモドクリームの外用などを行い治療することもあります。
生活上の注意
発症原因としては多くは不明ですが、露出部では紫外線、指先や外陰部などではヒトパピローマウイルスの感染が関与して発症する場合もあります。ヒ素を摂取する環境(国や汚染井戸水の使用)におかれる人は多発する例もありますので特に注意が必要です。
図1. 体幹部のボーエン病
図2. 亀頭部に生じたケイラー紅色肥厚症
慶應義塾大学病院での取り組み
当科では、ダーモスコピーおよび病理組織検査の結果に基づいて正確に診断し、外科的治療を中心に患者さんの病態に合わせた治療法を選択していただけるよう努めております。
文責:
皮膚科
最終更新日:2018年1月31日