デキサメタゾン抑制試験
概要
デキサメタゾン抑制試験は、クッシング症候群(「副腎腫瘍」の項参照)が疑われた場合に行う検査で、デキサメタゾン(商品名:デカドロン)は副腎(腎臓の上にある小さな内分泌臓器)で作られるコルチゾールの作用を強力にした内服薬です。
副腎におけるコルチゾールは、下垂体(かすいたい)から分泌される副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)の指令に従って作られています。そして、ACTHとコルチゾールは早朝から午前中にかけて高値ですが、夕方から夜間は低値となり1日の中でも時間による変動(日内変動)があります。本検査でデカドロンを内服すると、翌朝の血液中のACTH濃度は正常の場合にはほぼ完全に低下して、副腎への指令がなくなるために、副腎で作られるコルチゾール濃度も非常に低い値となります。しかし、クッシング症候群では、デカドロンによりACTHを低下させても、副腎腫瘍からは依然としてコルチゾールが作られるために、翌朝の血中コルチゾール濃度が高い値となることで診断しています。
デキサメタゾンの内服の方法には様々なやり方がありますが、当院では一晩法を採用しています。一晩法では、深夜23時に低用量の場合はデカドロン 1mg(2錠)、高用量の場合は8mg(16錠)を内服していただきます。そして、翌朝の8時~9時頃に血液検査を行い、コルチゾール濃度が低下するかどうかを検査します。入院中にこの検査を行う場合は、同時に蓄尿(ちくにょう)検査(24時間に排尿した尿をすべてバッグに貯める検査)を行って、尿中のコルチゾール濃度を参考にすることもあります。
正常な低下反応の判定は、低用量の場合はコルチゾール濃度<3μg/dl、高用量の場合はコルチゾール濃度<1 μg/dlで低下反応あり(正常)と判定します。ただし、クッシング症候群の最終的な判定は他の検査も踏まえて総合的に決定します。
所要時間
1日。低用量、高用量と続けて行う場合は計2日です。
検査を受ける前に
- 内服薬による副作用が出ることはまれですが、イライラして眠りづらくなったり、糖尿病の状態が悪い場合などは検査を行わない方が良い場合もありますので、持病などがある場合は主治医に相談してください。
- 検査前日の準備
特にありません。蓄尿の指示がある場合は尿を捨てないよう注意してください。 - 検査当日
検査時の禁止事項は特にありません。蓄尿の指示がある場合は尿を捨てないよう注意してください。
検査の実際
- 検査開始日の23時頃に内服薬を飲み、検査開始となります。
- 翌日の朝に血液検査があります。
- さらに蓄尿検査を同時に行う場合がありますので、指示がある場合は尿を貯めるようにしてください。
- 血液検査、蓄尿検査が終わったら検査終了です。
検査後の注意
血液検査・蓄尿検査の結果が全て出るまでに、7日くらいかかります。主治医から検査の結果の説明を受けてください。
文責:
腎臓・内分泌・代謝内科
最終更新日:2018年1月29日