携帯心電計
概要
携帯心電計は手のひらに収まるコンパクトサイズであり、持ち運びが容易である心電図記録装置です。患者さんは、この携帯型の心電計を使用し、いつでも、どこでも簡単な操作で、ご自身で心電図を記録することができます。携帯心電計の電極部分を手掌または左前胸部にあて30秒間心電図を記録します。得られた心電図情報は、心電計に自動的に保存されます。来院した際に慶應義塾大学病院の伝送心電図受診・診断部門のサーバーに送信し、送られてきた心電図(図1)は循環器専門医により解析、診断され、外来での診療に活用されます。
当院では、1991年6月から携帯心電計を導入し、これまでに動悸の精査目的のために多くの患者さんが利用されています。携帯心電計を用いることにより、80%以上の患者さんで動悸の原因を診断することが可能となっています。動悸や胸部症状を訴える患者さんには、当院では携帯心電計をおすすめしております。
図1.携帯心電計で記録した心電図の一例
検査でわかること
動悸症状(胸がドキドキする、脈が速くなる、脈がとぶ、脈が乱れる)や、胸の不快感、違和感がある時には、原因として心臓の病気、特に不整脈が疑われます。ただし、不整脈や心臓に異常がみられない方や、健康な方でもこのような症状を感じることもあります。不整脈は、特に治療は必要としないものから、重篤な、緊急性のあるものまで様々です。
動悸の原因を診断するためには、症状が起きている時に病院を受診し、心電図検査を受ける必要があります。また、24時間ホルター心電図検査は、心電図の電極を胸につけ、小型レコーダーを装着して、24時間心電図を記録する検査です。これにより、病院外でも24時間の心臓の脈の様子を知ることができます。しかし、不整脈の頻度が高くない場合は、心電図を症状があるタイミングで記録することは容易ではありません。そのため、頻度が少なく、一時的な症状の診断に有効な検査方法が携帯心電計です。
また、当院では心房細動などの不整脈に対するカテーテルアブレーション後の患者さんに携帯心電計を貸出して、再発の有無をチェックすることもあります。
検査の実際
所要時間
患者さんによって数日から数週間、場合によっては数か月程度の貸出しになります。携帯心電計は保険適用となります。
対象となる患者さん
胸がドキドキする、脈が速くなる、脈がとぶ、脈が乱れる、不整になるといった動悸の症状があり、当院循環器内科外来を受診され、当科主治医により必要と判断された患者さんが対象となります。動悸の症状があるにもかかわらず診断に至っていない場合は携帯心電計の使用が適しています。外来にて小型レコーダー(携帯心電計)の貸出しの手続きをいたします。
文責:
循環器内科
最終更新日:2024年4月30日