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副腎静脈サンプリング

ふくじんじょうみゃくさんぷりんぐ

概要

副腎静脈サンプリングとは、その名の通り、副腎静脈から血液を採取する(サンプリング)検査です。検査は主に原発性アルドステロン症(「副腎腫瘍」の項参照)と確定診断された方に、アルドステロンが左右のどちらから主に分泌されているか(局在診断)を明らかにする目的で行います。

原発性アルドステロン症は、腎臓の上にある左右の小さな内分泌臓器である副腎からナトリウムを貯留するアルドステロンというホルモンが多く分泌されて高血圧を来す病気です。腕の血管から採血すると、体内を循環している血液中にアルドステロンが多くあることは分かりますが、左右の副腎のどちらからアルドステロンが主に作られているかは分かりません。 そこで、体内でアルドステロンが過剰に作られていることが確認された場合(すなわち、原発性アルドステロン症と確定診断された場合)、入院(4~5日の入院)の上、本検査を行います。

本検査では、両側の太もも(大腿)の付け根の静脈からカテーテルと呼ばれる細い管を入れて、副腎で作られたアルドステロンの出口である左右の副腎静脈にカテーテルを挿入して採血を行います。原発性アルドステロン症では、左右どちらか片側の副腎に腺腫(良性腫瘍)がありそこからアルドステロン過剰を認める場合と左右両側の副腎からアルドステロン過剰を認める場合があり、本検査で前者であると確認された時は、アルドステロンを過剰に作っている片側の副腎を手術で摘出することがすすめられます。一方、後者であると判定された時には、手術の適応ではなく、薬物療法でアルドステロンの作用を抑えていく治療が行われます。したがって、本検査は手術を行うか否かを決定するための非常に重要な検査となります。当院では内科や泌尿器科に本検査の目的で入院して、放射線診断科の医師により行われます。

所要時間

約1.5~3時間

検査を受ける前に

  1. 造影剤(ヨード)アレルギー、気管支喘息の既往、高度の腎機能障害がある方では原則として行いません。
  2. 本検査は、片側の副腎からアルドステロンの過剰産生が確認された時に、手術を行う前提がある場合に行いますので、手術ができない方、手術を希望されない方では行いません。
  3. 両側の太もも(大腿)の付け根の静脈に針を刺すため、検査前に、腹部・陰部・大腿部の毛を剃ります。また、検査の当日は、腕の血管に点滴を入れ、また尿道に管を入れてから検査室へ向かいます。

検査の実際

  1. 清潔に検査ができる部屋で行います。検査台に仰向けになり、滅菌された布を被せます。
  2. 大腿付け根に局所麻酔をします。麻酔時にチクッとしますが、後は痛みを感じません。その後、大腿部の血管にカテーテルと呼ばれる細い管を通し、副腎静脈まで進め、造影剤を注入したり、採血したりします。
  3. 3. 検査中、痛み・吐き気・足のしびれ・気分不快などがありましたら、遠慮なく医師や看護師にお知らせください。

検査後の注意

  1. 針を刺した場所からの出血を防ぐため、大きな絆創膏で圧迫します。絆創膏は翌日消毒しますので、剥がさないでください。
  2. 検査終了後数時間は仰向けで寝たままとなり、針を刺した方の足を曲げたり、起き上がったりすることはできません。その間の食事や排泄は看護師がお手伝いします。
  3. 安静後、トイレに歩いていくことができるようになり、同時に尿の管も抜けますが、歩き過ぎることで再出血する可能性も出てきますので、できるだけベッドでお過ごしください。
  4. 体の中に入った造影剤を早く排泄するため、水分はできるだけ取るようにしてください。

検査におけるリスク

  1. 本検査は、非常に高度の技術を要する検査であり、特に右側の副腎静脈の位置や角度の個人差が大きいことから、右の副腎静脈へのカテーテル挿入が成功しないことがあります。
  2. 細心の注意を払って行っても、副腎静脈の血栓症や血管損傷(傷つけてしまうこと)、カテーテルを挿入した太ももの付け根の血腫(けっしゅ)の形成、造影剤を副腎静脈に注入した際に血管の外へ漏れることによる副腎の機能低下などが起きる危険があります。
図

文責: 腎臓・内分泌・代謝内科外部リンク
最終更新日:2018年3月16日

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