アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎について
アレルギー性鼻炎は、スギ花粉、ダニ、ハウスダスト(ホコリ)などが原因(抗原と呼びます)となって生じる鼻のアレルギー疾患です。特に、スギ花粉症は東京都では2人に1人が罹患しており、国民病といわれています。また、アレルギー性鼻炎を治療しないと学業、仕事の効率や活動性の低下、睡眠の質の低下など生活に支障をきたすことがわかっています。
患者さんによって症状・病気の状態もさまざまですので、より詳細な話については外来で個別にご相談ください。
症状
くしゃみ、鼻水、鼻づまり、鼻のかゆみなどの症状があります。
なぜ症状が起こるのか?
抗原に対してアレルギーの反応が起こり、ヒスタミンやロイコトリエンという物質が鼻の粘膜に作用して、上記の諸症状を引き起こします。
診断にいたるまでの検査
- どんな症状があるか、症状の出やすい時期、ペットの飼育などを問診してアレルギー性鼻炎かどうか検討します。
- 鼻の中を観察し、鼻腔形態の異常があるかを観察します。鼻の粘膜(具体的には下鼻甲介)の腫れの程度や軟骨の曲がり具合(弯曲)、ポリープの有無などを観察します。
- 原因抗原の特定のため、血液検査や皮膚テスト(プリックテスト)を行います。血液検査の結果が出るまでに1週間ほどかかります。
- 副鼻腔炎の有無を調べるために、レントゲンあるいはCT、MRIなどを撮影する場合があります。
アレルギー性鼻炎に類似した疾患
血管運動性鼻炎:温度差(寒暖差)などが原因でアレルギー性鼻炎と類似した症状がでます。原因抗原は特定できません。治療は薬物治療を用いることが多くなります。
アレルギー性鼻炎に合併しやすい疾患
慢性副鼻腔炎を合併している場合があります。この場合は、レントゲン、鼻副鼻腔CT撮影などを行います。
治療
基本的にはアレルギー疾患 診断・治療ガイドラインに沿って行っています。
原因抗原の除去
血液検査などで原因抗原(たとえば花粉、ホコリなどの除去)がわかっていればそれらの除去を行うようにします。
薬物治療
ほとんどの患者さんがこの薬物療法を選択しています。薬物療法には抗ヒスタミン薬(内服薬・点鼻薬・貼り薬)、抗ロイコトリエン薬(内服薬)、Th2阻害薬(内服薬)、鼻噴霧用ステロイド薬、鼻噴霧用血管収縮薬などがあります。最近は市販されている花粉症治療薬の中でも医療機関で処方される薬と同じ成分のものもありますが、市販薬を使用しても症状が改善しない場合や飲み合わせが心配な場合は、医療機関を受診していただき個々の患者さんに合わせた処方や複数の薬物・療法を組み合わせて治療します。
また、2020年から抗体医薬である抗IgE抗体治療が重症花粉症の方に使用できるようになりました。高額な治療になるため、使用できる条件があり、受診後すぐには開始できませんので、使用を検討される方は早めに受診することをお勧めしています。
免疫療法
皮下注射と舌下投与がありますが、当科では舌下免疫療法を行っております。スギとダニの2種類が可能でどちらも5歳以上なら治療可能です。舌下を毎日3~5年継続する必要がありますが、治療終了後も効果が続くこと、通常の薬物療法より効果が高いことが特徴です。
手術
- 手術はどんな方にお勧めできるでしょうか?
薬物療法で解決しない鼻づまりがある場合、鼻腔形態の異常を伴う場合、受験や出産などの社会的背景によって、手術を検討します。 - 手術はどんな方にはお勧めできないでしょうか?
患者さんの理解や協力が得られない場合、麻酔薬にアレルギーがある場合、痛がりやすい場合、医師がお勧めできない理由があるなど、また、幼児にはお勧めしておりません。
手術にも方法がいくつかあります。
- 下甲介焼灼術(日帰り手術)
レーザーで下鼻甲介焼灼表面を焼灼します。症状の軽減は一時的で1~2年くらいしか持続しません。術後一過性に鼻症状が悪化します。 - 鼻腔形態(鼻の構造を改善する)手術
たとえば、鼻中隔弯曲症(鼻の中隔の軟骨が曲がっている)がある場合には、鼻中隔矯正術を行います。下鼻甲介粘膜(鼻の通り具合に関係している粘膜)が肥厚しているなど鼻腔に異常がある場合、下鼻甲介切除を行います。
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文責: 耳鼻咽喉科
最終更新日:2023年3月6日