先天性嚢胞状腺腫様形成異常 (CCAM)
先天性肺気道奇形(CPAM)
せんてんせいはいきどうきけい(CPAM)
概要
先天性嚢胞状腺腫様形成異常 (CCAM:Congenital Cystic Adenomatoid Malformation)は、様々な分化段階を持つ呼吸粘膜上皮が並び、交通する嚢胞を形成する終末細気管支組織が増大します。病変は片肺の局所に限定されるのが一般的です。
Stoker(ストッカー)の分類
I 型: 1cm以上の大きさを有する単房性または多房性のもの
II 型: 1cm未満の多房性嚢胞
III 型: 実質性組織 (胎児水腫、肺低形成のため新生児で予後が悪いといわれています。)
症状
胎児超音波診断にて発見されることが多いです。片側肺の一部の嚢胞性もしくは充実性の肺病変です。半数に羊水過多がみられます。鑑別すべき診断に、横隔膜ヘルニア、肺分画症、気管支(原性)嚢胞が挙げられます。
生後では、CCAMと診断された新生児の2分の1から3分の2に頻呼吸、陥没呼吸、チアノーゼを認めます。診断は単純胸部レントゲン、CT検査によってなされます。生後すぐに呼吸障害を認めない3分の1から2分の1の症例は、6歳以前に肺炎を繰り返しているか、偶然撮影した単純胸部レントゲンからCCAMと診断されます。
治療
出生前診断にて胎児水腫を来す大きな病変に対しては、嚢胞の吸引、経皮的シャント留置や胎児手術が行われることがあります。
出生直後の呼吸障害、または乳幼児期のCCAMでは、繰り返す肺炎、合併症を回避するために摘出手術を行います。この場合CCAMを含む肺葉(右:三葉、左:二葉からなります)の切除を行うのが通常です。またCCAMと他の悪性腫瘍との関係が報告されており、この意味からもこの治療が妥当と考えられます。
先天性嚢胞性腺腫様奇形(CCAM)として,Stockerらが嚢胞のサイズにより3型に分類しましたが、先天性肺気道奇形(CPAM:Congenital Pulmonary Airway Malformation)という病理組織学的に発生部位を加味した以下の新分類(5型)も用いられ、近年は以下の分類が推奨されつつあります。
type 0(気管):全体の1~3%。嚢胞の最大径が0.5cmと小さく,偽重層線毛上皮を有します。粘液産生性上皮や気管軟骨も存在しますが,骨格筋は存在しません
。
type 1(気管支):全体の60~70%。2~10cmの薄い隔壁を有する単発あるいは多発性の嚢胞で,偽重層線毛円柱上皮を有しており,粘液産生性上皮を一部に認めます。平滑筋や弾性線維もあります。
type 2(細気管支):全体の10~15%。嚢胞はtype 1より小さく0.5~2cmで,線毛上皮により覆われます。粘液産生性上皮はありません。
type 3(肺胞管):嚢胞は微細(0.5cm以下)で,粘液産生性細胞はありません。複数の肺葉を占め、充実性腫瘍との鑑別が必要となります。
type 4(遠位細葉,肺胞):全体の5~10%。多くは末梢肺葉,胸膜近くに位置し、薄い隔壁を持つ嚢胞よりなります。組織学的には線毛のない扁平な肺胞上皮類似の上皮細胞に被覆されます。粘液産生性細胞や骨格筋細胞はありません。
文責:
小児外科
最終更新日:2020年10月15日