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胆石症

たんせきしょう

概要

胆石とは、肝臓や胆のう、胆管にできる結石のことで、できた場所により肝内結石、胆のう結石、総胆管結石に分類されます。また、主な構成成分からコレステロール結石とビリルビン(+カルシウム)結石に分類されます。この病気は、近年食生活が欧米に近くなったことや高齢化などによって増加傾向にあり、特に女性に多くみられます。

症状

  1. 胆のう結石症
    胆のう結石を認めても必ずしも症状があるわけではなく、無症状の方もいます。胆のう結石症にみられる自覚症状の多くは、右側の肋骨の下あたりに差し込むような腹痛です。背中や右の肩の痛み(放散痛)を伴うこともあります。痛みの原因として結石が胆のうの出口にはまり込んだり、結石があることに関連して引き起こされる胆汁のうっ滞や感染が考えられます。
  2. 胆管結石症
    総胆管結石は血液検査や画像検査などで偶然発見される無症状例もありますが、胆管に結石がはまり込むと腹痛や黄疸(眼球や皮膚の黄染、灰白色便、褐色尿など)などを認めます。結石が胆管を塞いで胆汁が感染すると胆管炎となり、みぞおちの痛み、悪寒を伴う発熱、黄疸(Charcot 3徴:シャルコーサンチョウ)が認められます。これに意識障害とショックが加わったReynolds 5徴(レイノルズゴチョウ)は重篤な状態で化膿性閉塞性胆管炎から感染が全身におよぶ菌血症・敗血症、多臓器不全症候群に陥ることがあるので迅速な対応が必要です。また、結石が胆管の出口である十二指腸乳頭部にはまり込むと急性膵炎を発症することもあります。

診断

血液検査で肝・胆道系酵素の異常や炎症の合併の有無を調べます。画像検査としては腹部超音波検査(US)やCT、MRI(膵管および胆管を描出するMRCP)、超音波内視鏡検査(EUS)や内視鏡的逆行性胆道膵管造影する検査(ERCP)で結石の有無、大きさや位置を確認します。

治療

  1. 胆嚢結石症
    根本的な胆のう結石の治療法は胆のう摘出術です。胆のう結石症による症状を認める場合、手術をおすすめします。無症状の場合は基本的に手術は必要ありません。ただし、総胆管結石と診断されたときは無症状でも後に症状を認めることがあるため治療が必要です。当院では、胆嚢結石症及びそれに伴う急性・慢性胆のう炎に対する手術を年間約100~150例行っております。胆のう摘出には、開腹胆のう摘出術と腹腔鏡下胆のう摘出術があります。腹腔鏡下胆のう摘出術ではクリニカルパスを外来より導入し、大きな合併疾患のない患者さんの場合は手術前日に入院し、術後3日目に退院の4泊5日入院としています。急性胆のう炎に対しては消化器内科との連携を行いながら、緊急手術、胆道ドレナージ術を含めた全身管理を行っています。
  2. 総胆管結石症
    総胆管結石に伴う急性胆管炎や黄疸に対しては、緊急入院にてERCPとして内視鏡下に胆管の出口である十二指腸乳頭部からカテーテル(チューブ)を挿入して留置する内視鏡的胆道ドレナージを行います。内視鏡的アプローチが困難な患者さんでは体表から肝臓の中の胆管を超音波で確認しながら針を刺して胆管内にチューブを留置する経皮経肝的胆道ドレナージを選択しています。総胆管結石症の治療法としては、内視鏡的胆道結石除去術、経皮経肝的胆管結石除去術、外科的治療があります。近年は、内視鏡手技や処置具の進歩に伴い、内視鏡的胆道結石除去術が第一選択となっています。内視鏡的胆道結石除去術は、ERCPにて結石を確認した後、引き続き十二指腸乳頭部を電気メスで切開(内視鏡的乳頭括約筋切開術:EST)またはバルーン(風船)にて広げ(内視鏡的乳頭バルーン拡張術:EPD)、結石除去用のバスケットやバルーンなどの処置具を胆管内に挿入し、結石を取り除く治療法です。当院では、胃切除後の総胆管結石に対しても小腸バルーン内視鏡を用いた内視鏡治療を積極的に行っています。外科的治療としては開腹または腹腔鏡を用いたアプローチで胆管切開結石摘出術を行っています。胆のう摘出術を行う予定がある場合には、1回の手術で胆のうと総胆管結石の治療を行うことで、入院期間の短縮や患者さんの負担軽減が期待されます。

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