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子宮内膜症

しきゅうないまくしょう

概要

本来子宮の内腔に存在する子宮内膜組織に類似する組織が、子宮以外のところで発育する病気です。子宮以外の場所にできた内膜組織が女性ホルモンの影響を受け月経の様に出血を繰り返し、炎症や痛み、ときに癒着を引き起こします。また、硬結と呼ばれる硬いしこりができることもあります。子宮内膜症は性交痛や排便痛、不妊の原因となることもあります。

発症頻度は月経のある25~44歳の女性の約10~15%にみられると考えられていて、10代で発症する場合もあります。基本的には子宮や卵巣周囲の腹腔内に発生しますが、食道・肺・尿管・へそ・大腸・鼠径部リンパ節・膀胱・腟などに発生することもあります。

また、子宮内膜組織が子宮筋層(子宮の壁に相当する部分)内で発育するものは子宮腺筋症として子宮内膜症とは区別しています。

子宮内膜症(図1)

症状

子宮内膜症の主な症状は下腹部と骨盤部の痛みで、この痛みは月経周期とともに変化します。内膜症自体はごく軽度であっても激しい痛みが生じることもありますが、逆に重度の子宮内膜症があっても全く症状がない人もいます。通常、子宮内膜症になってから痛みが現れるまでには数年を要します。

子宮内膜組織が大腸や膀胱に付着している場合には、腹部の張りや排便に伴う痛みが生じる場合や、月経中に直腸から出血する、排尿時に恥骨上部が痛むといった症状が現れる場合があります。卵巣やその近くの組織に子宮内膜組織が付着している場合は、チョコレート嚢腫(古い血液の溜まりで、あたかもチョコレートのような外見のためこのように呼ばれます)となることがあり、これが破れると、急激な腹痛を伴います。

以下に代表的な症状を示します。

  1. 月経痛
  2. 下腹部痛
  3. 腰痛
  4. 不妊
  5. 性交痛
  6. 排便痛 など

診断

検査

  • 問診
  • 内診(触診)
  • 超音波検査(エコー)
  • 血液検査
  • 画像検査(MRI検査
  • 腹腔鏡検査

治療

薬物療法

  1. GnRHアゴニスト療法
    GnRHアゴニスト製剤は排卵を停止させ、月経を止め(人工的に閉経させ)ます。そのため更年期障害と同様の症状が発現する場合がありますので、有効性と副作用のバランスをみながら治療していきます。
  2. 黄体ホルモン薬(ジエノゲスト療法)
    ジエノゲストで排卵と月経を止めます。本剤の服用では不定期の性器出血がみられることがあります。
  3. 低用量ピル
    子宮以外の場所にある子宮内膜が発育するためには、子宮内腔の内膜よりも、より多くのエストロゲンが必要であるといわれています。例えば低用量ピルを服用することで子宮外の子宮内膜は消失に向かい、子宮内膜症が改善することがあります。ただし、ピルなどのホルモン薬の服用では血栓症(血管内に血のかたまりが詰まる病気)が発現する可能性があり十分な注意が必要です。

手術療法

薬物療法で治療困難な場合などでは手術療法を行います。手術では腹腔鏡手術が主な治療法となります。腹腔鏡にて内膜症の病巣を取り除く、もしくは癒着をはがす処置を行うことがあります。慶應義塾大学病院における腹腔鏡手術の詳細は慶應義塾大学医学部産婦人科学教室Webサイト外部リンクをご参照ください。ただし、患者さんの状態によっては開腹手術を選択する場合もあります。
手術後は薬物療法を併用し経過を見る場合があります。子宮内膜症は一度治療を行っても再発することがあり、繰り返し治療が必要なことがあります。

文責: 婦人科外部リンク
最終更新日:2022年5月24日

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