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小児の神経の病気

しょうにのしんけいのびょうき

概要

  1. けいれん
    1. 熱性けいれん
    2. てんかん
    3. その他
  2. 発達の遅れ
    1. 脳性麻痺
    2. 精神遅滞
    3. 発達障害(自閉症スペクトラム障害、AD/HD、学習障害など)
  3. 運動の異常
    1. 神経筋疾患
    2. 急性小脳失調症
  4. 頭痛
    1. 片頭痛
    2. 緊張型頭痛
  5. 神経皮膚症候群(母斑症)
    1. 結節性硬化症
    2. 神経線維腫症1型
    3. スタージ・ウェーバー症候群

内容

1-i 熱性けいれん

多くは1~2歳くらいのお子さんにみられる、発熱とともに起こるけいれんです。頻度は、日本人では乳幼児の7~10%程度といわれていますが、ご家族、ご親戚に熱性けいれんを起したことのある方がいらっしゃる場合には、確率がさらに高くなります。

心配がない場合がほとんどですが、髄膜炎など重い病気の症状の場合もあり、特に初めての熱性けいれんでは注意が必要です。チェック事項は以下の7点です。これらのいずれかに当てはまる場合には、ほかに重い病気が隠れていたり、これからも熱性けいれんをしつこく繰り返したり、後で「てんかん」と診断されることがあります。

  1. 生後6か月未満、または6歳以上のお子さん
  2. けいれんが15分以上続いた
  3. けいれんが左右対称でない、または体の一部分だけがけいれんした
  4. けいれんの後、意識が戻りにくかった、手足の動きにくさ(麻痺)が残った
  5. 短時間のうちに2回以上けいれんした
  6. 以前から、知能障害や発達の遅れ、神経の病気があった
  7. 家族、親戚にてんかんと診断されている人がいる

以上の項目に当てはまる場合や、繰り返し熱性けいれんを起したお子さんについては、詳しい検査(血液検査、脳波検査、頭部画像検査など)を行います。必要に応じて、薬によるけいれん予防を行う場合もあります。

1-ii てんかん

熱がないのにけいれん発作を繰り返す病気です。けいれんがなく、意識がもうろうとしたり、奇妙な行動をとったりする発作を繰り返すこともあり、診断が難しいことがあります。発病する年齢は様々です。脳の奇形や腫瘍、損傷が原因になることもありますが、小児では特別な原因はなく、持って生まれた体質である場合が多いです。

発作時の様子や脳波検査、脳の画像検査(CTやMRI)などを組み合わせて診断します。発作時の様子をビデオに撮影していただけると、より診断しやすくなります。

小さなお子さんの場合には、てんかん発作なのか、心臓発作などほかの病気による発作なのか、あるいは単なる"奇妙な仕草"なのか、判断に迷う場合があります。このような場合には、入院のうえ、長時間のビデオ脳波同時記録を行います。発作の様子と脳波を同時に記録することができれば、てんかん発作かどうかを判別することができます。

てんかんと診断がついた場合は、抗けいれん薬による治療を行います。

1-iii けいれんを起こす病気

けいれんを起す原因には、髄膜炎、脳炎、脳出血など脳の病気によるもののほかに、泣き入りひきつけ、血糖値の異常、ナトリウムやカルシウムなどの電解質異常、不整脈など様々なものがあります。

2-i 脳性麻痺

運動や姿勢に不自由さがあり、その原因が脳にあるもので、脳の病気そのものは進行(悪化)しないものを脳性麻痺と呼びます。筋肉や脊髄神経に原因があるものは除かれます。厚生労働省によれば、その原因が受精から生後4週間の間に起こったもの、とされています。多くは、生まれてくる以前の、脳が作られる過程に何らかの原因があったと考えられています。

多くの場合、お座りやハイハイ、独り歩きなど、運動発達の遅れで気づきます。また、抱き上げた時に反り返る、足が突っ張るなど、姿勢の不自然さで気づくこともあります。反対に、体が非常に柔らかい、力が入りにくい、といった症状がみられる場合もあります。

脳性麻痺と診断された場合には、リハビリテーション科や整形外科と協力しながら、症状に応じたリハビリテーションを行い、必要な補装具などを作成します。

2-ii 精神遅滞

知的な能力(話す、考える、読み書き計算をするなど)の発達に遅れのある状態を精神遅滞といいます。知能検査でIQ70以下を精神遅滞といいます。

精神遅滞の原因には様々なものがあります。生まれつきのものでは、染色体や遺伝子の異常、代謝異常症、先天的な脳の異常などがあります。生まれた後に起こるものでは、脳の感染症や低酸素による障害、頭部外傷などがあります。

原因を見つけるためには、精神遅滞のほかにどのような症状を併せ持っているかが重要です。ほかの症状を手がかりに、検査を行っていきます。主に、血液検査や脳波検査、頭部画像検査を行います。染色体検査や遺伝学的検査が診断の決め手となる場合もあります。

精神遅滞以外に何も症状がない場合、詳しい検査を行っても原因が判明しないことが少なくありません。

2-iii 発達障害

自閉症スペクトラム障害、注意欠陥/多動性障害(AD/HD)、学習障害(読み書き障害、計算障害など)を合わせて、発達障害といいます。

自閉症スペクトラム障害は、コミュニケーション能力や社会性、想像力の障害が特徴です。具体的には、言葉の遅れ、目が合わない、おうむ返しが多い、1人遊びが多く、やり取り遊びが苦手などの症状がみられます。

注意欠陥/多動性障害(AD/HD)では、不注意、多動、衝動的に行動する、の3つが特徴です。落ち着きがなく、目を離すとどこかに行ってしまう、次々と違う遊びをする、ほかの子に乱暴なことをする、席についていることができない、などの特徴がみられます。

学習障害とは、知的な発達に遅れがなく、本人が努力しているにもかかわらず、読む、書く、計算するなどの特定の能力の習得が困難な状態をいいます。

特定の能力に困難さを抱えた状態ですが、全般的な知能は正常または軽度の遅れを伴う程度です。早期に療育・訓練を行い、困難さをカバーするためのスキルを身につけることが大切です。同時に、周囲の人がその困難さを理解し、上手にサポートしていくことで、社会参加が可能となります。

3-i 神経・筋疾患

体を動かすためには、脳からの指令が脊髄神経を通り、末梢神経へ伝わり、筋肉に到達する必要があります。この経路のうち、脊髄神経から先に障害があり、運動に問題が起こる病気を神経・筋疾患といいます。

脊髄の病気の代表は脊髄性筋萎縮症、筋肉の病気の代表は先天性ミオパチー、筋ジストロフィー、重症筋無力症などです。

3-ii 急性小脳失調症

主に1~5歳くらいのお子さんに起こります。突然歩かなくなる、お座りが不安定になる、手や、目が震える、うまくしゃべれなくなる、などの症状が出現します。これらの症状は小脳の異常によるものです。多くは、感染症(風邪、水ぼうそうなど)やワクチン接種の後、数週間経ってから起こります。

多くの場合、一般的な血液検査や頭部CT、MRIなどの画像検査では異常はみられません。原因は不明です。体内でウイルスや菌に対して作られた抗体が、ウイルスや菌だけでなく、自分自身の小脳を攻撃してしまうこと(自己抗体)が原因ではないかと考えられています。

1~2か月で、後遺症を残さず自然に軽快することが多いです。ほかの病気でないことを確認したうえで自然に治るのを待つ、というのが一般的な治療方針です。

4-i 片頭痛

お子さんでも、片頭痛が起こることがあります。診断の基準は、1.視覚的な前兆がある(目の前がチカチカする、など)、2.片側だけの頭痛、3.吐き気を伴う、4.家族に片頭痛の方がいる、の4つのうち、2つを満たすことですが、子どもでは当てはまらないことも少なくありません。

特別な検査はありません。副鼻腔炎や虫歯、顎の病気、高血圧などがないか、脳腫瘍や水頭症など脳の重い病気がないかなどを見極めることが大切です。

軽い場合には、休息や睡眠で軽快します。規則正しい生活を送ることも大切です。頭痛によって日常生活に支障を来す場合には、鎮痛薬や予防薬を使用します。

4-ii 緊張型頭痛

両側性の頭痛で、締め付けられるような頭痛、圧迫されるような感じ、頭が重い感じを訴えます。疲れや睡眠不足、肩こり、ストレスなどが原因となります。また、姿勢が悪いことが原因となる場合もあります。

学校や習い事が忙しかったり、運動する時間が少なかったり、睡眠不足になっている場合、また、家庭内や友人関係の不満・ストレスなど、口に出して言えない悩みを抱えている場合に頭痛を訴えることがあります。

5 神経皮膚症候群(母斑症)

神神経と皮膚の両方に生まれつき異常を持つ病気のグループがあります。いずれも特徴的な皮膚の症状がみられるため、乳児期に皮膚の症状から発見されることが少なくありません。また、年齢に応じて、皮膚・神経のほか、全身の様々な部位に病気が出現するため、全身的かつ長期的な治療が必要です。慶應義塾大学病院では、皮膚科、形成外科やその他の専門医と協力して治療に当たっています(参照:慶應義塾大学病院母斑症センター外部リンク)。

5-i 結節性硬化症

全身の様々な臓器に、過誤腫と呼ばれる良性の腫瘍ができる病気です。

皮膚の白斑(白いあざ)、顔の血管線維腫、脳内の結節、心臓の横紋筋腫、網膜過誤腫、腎臓の血管筋脂肪腫などがみられます。てんかんや精神遅滞を伴うことも多いですが、症状やその程度は様々です。

5-ii 神経線維腫症1型(レックリングハウゼン病)

体の様々な部位に神経線維腫という良性の腫瘍ができる病気です。皮膚のカフェオレ斑、神経線維腫、視神経膠腫、虹彩過誤腫などがみられます。

5-iii スタージ・ウェーバー症候群

顔面のポートワイン色の血管腫、脳表面の血管腫が特徴です。けいれんや麻痺、精神遅滞などがみられます。緑内障など眼の病気に気をつける必要があります。

文責: 小児科外部リンク
最終更新日:2024年2月29日

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