完全大血管転位症
かんぜんだいけっかんてんいしょう
概要
完全大血管転位症は、右心室から大動脈が、左心室から肺動脈が起始している病気です。I型、II型、III型の3つの病型があります。図に示すような心室中隔欠損がないI型が最も多く、生直後から強いチアノーゼを認め、肺血流の増加とともに心不全症状も現れます。この場合には、静脈血と動脈血が混じり合い、肺で酸素化された血液が体に流れて生命を維持するためには、図中の紫色の矢印のような動脈管開存や心房中隔欠損が必要です。心室中隔欠損をともなうII型でも、チアノーゼと心不全を認めます。新生児期に大血管転換手術(ジャテーネ手術)といって大動脈と肺動脈を左心室と右心室につなぎかえる手術を行います。心室中隔欠損と肺動脈狭窄を伴うIII型では、チアノーゼが主な症状になります。肺動脈狭窄が強い場合には、シャント手術(短絡手術)により肺血流を増やして成長を待ちます。乳幼児期にラステリ手術といって、心室レベルで左心室から大動脈へ、右心室から肺動脈へのルートを作製する手術を行います。
文責:
小児科
最終更新日:2024年2月29日