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卵巣がん

らんそうがん

概要

卵巣腫瘍はその発生するもとの組織によって大別され、さらに良性、境界悪性、悪性に分類されます。「卵巣がん」とは、卵巣を構成する種々の組織より発生する悪性腫瘍の総称です。卵巣がんは一般に自覚症状に乏しいことが多く、そのため無症状のうちに進行して半数以上が診断時に進行がんの状態で発見されるといわれています。

症状

症状としては下腹部の不快感、腹部の張り、腰痛などがあります。卵巣腫瘍による圧迫症状として頻尿や乏尿、便秘がみられることがあります。卵巣がんが腹膜に拡がっていく腹膜播種が進行すると腹部に水分(腹水)がたまるため徐々に腹部が膨らんでくることがあります。この段階になると骨盤部の痛み、貧血、体重減少がみられることもあります。

卵巣腫瘍が疑われる主な症状:

  • 下腹部の不快感
  • 腹部の張り
  • 頻尿、便秘
  • 腰痛
  • 腹部の膨らみ
  • 骨盤部の痛み
  • 体重減少など

卵巣腫瘍は手術などにより組織診(病理診断) を行わなければ良・悪性の判定は困難です。

診断

卵巣腫瘍に対しては、良性腫瘍か悪性腫瘍か手術を行って診断し、その後の治療方針を決めます。

検査

  • 問診
  • 内診
  • 超音波断層検査
  • 血液検査(腫瘍マーカー)
  • 画像検査(MRI検査CT検査

治療

手術療法、化学療法があります。治療方法には良性を念頭に置いた腹腔鏡手術を選択する場合もあります。

手術療法(悪性の場合)

卵巣がんはその組織のタイプやがんの拡がり方に応じて手術の切除範囲が決まります。

  1. 卵巣・子宮の摘出
    片側の卵巣、卵管だけを切除する場合と両側の卵巣、卵管、子宮を含めて切除する方法があります。
  2. 大網(たいもう)切除
    大網とは胃から垂れ下がって大腸や小腸をおおっている大きな網のような脂肪組織です。大網は卵巣がんの転移がよくおこる組織で手術の際に切除する場合が多いです。
  3. 後腹膜リンパ節郭清(骨盤内リンパ節、傍大動脈リンパ節)
    後腹膜リンパ節は卵巣がんの転移がおこりやすい部位のひとつです。これらのリンパ節を系統的に切除します。
  4. 腸管などの合併切除
    進行している卵巣がんでは腹腔内の転移をできるだけ切除するために、大腸、小腸、脾臓などを原発巣と一緒に切除することもあります。場合によっては人工肛門を増設することもあります。

化学療法

化学療法は、抗がん剤や分子標的治療薬を用いて体内のがん細胞の増殖抑制を狙って全身療法として行います。卵巣がんは、がんの中では化学療法が比較的良く効くがんの一つであるといわれています。術後の補助療法としてのほか、がんが卵巣の外(腹腔内)に拡がっている場合にも施されます。

慶應義塾大学病院での取り組み

術前検査の結果、良性の可能性が高いと判断される卵巣腫瘍に対しては、積極的に腹腔鏡下手術を行っております。悪性(卵巣がん)が予想される場合には、手術中に迅速病理診断を行うことで、適切な術式を選択しています。卵巣がんの手術療法においては、腹腔内の広範囲の検索や転移病巣をふくめた最大限の腫瘍の摘出が必要となるため、他科との連携のもと適切な手術が行える体制を整えています。また、可能な場合には、妊孕性温存手術も行っています。

化学療法についても、エビデンスに基づいた標準治療の提供のみでなく、国内外の施設と協力して新しい医薬品の開発やより有効な治療法の確立を目指した臨床試験および治験を積極的に行っております。

卵巣がんの中には、ご両親や兄弟・姉妹など家系内に同じような卵巣がんや乳がんに罹かった方が多くいるような場合に、特定の遺伝子の異常がその原因になっていることがあります(「遺伝性乳がん卵巣がん症候群」、「リンチ症候群」など)。そのような家系が疑われる方には、専門医による遺伝カウンセリングや、その上での遺伝子診断やリスク低減卵管卵巣切除術を行える体制も整えています。がん家系ではないかと心配である方はこちらをダウンロードして記載して、診療時に担当医にお渡し下さい。

さらに詳しく知りたい方へ

  • 患者さんとご家族のための子宮頸がん・子宮体がん・卵巣がん治療ガイドライン / 日本婦人科腫瘍学会編集第2版.東京 : 金原出版, 2016.4
  • 卵巣がん治療ガイドライン. 2015年版 / 日本婦人科腫瘍学会編集 東京 : 金原出版, 2015.4
    日本婦人科腫瘍学会のサイト外部リンクから無料で閲覧できます。

文責: 婦人科外部リンク
最終更新日:2016年10月26日

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