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アルコール性肝炎

あるこーるせいかんえん

概要

アルコールは古代より親しまれている嗜好品で我々の生活を豊かにしてくれますが、一方で過剰な飲酒を長期に渡って続けると様々な臓器に障害を来たし、その中でも肝障害は高頻度でしばしば重篤となります。世界では過剰な飲酒によってアルコール性肝障害(脂肪肝、肝炎、肝硬変)となり、さらに肝細胞がんや肝不全となり毎年300万人以上が、国内においても毎年4万人以上が亡くなっています。

症状・診断

過剰な飲酒の継続によって、まずアルコール性脂肪肝となりやがてアルコール性肝炎を発症します。いずれの場合にも自覚症状があることは稀で、職場や地域の健診で血液検査をした際に血清トランスアミナーゼでASTがALTよりも圧倒的に高い値を示す場合、およびγ-GTP、ALPの上昇を指摘されたことを契機に診断されることがほとんどです。他のタイプの肝疾患に比べて特にγ-GTPは発症早期に他の肝胆道系酵素に先駆けて上昇することが多く、飲酒の継続や禁酒によって変動しやすいため、病勢を示す指標として用いられています。
「過剰な飲酒」の程度は個々によって異なりますが、エタノール換算で1日に60g以上摂取すると、ほぼ例外なく肝障害を来たします。エタノール60gは、ビール中ビン3本、日本酒3合弱、25度焼酎300mlに相当します。しかし、遺伝的にアルコールの代謝効率が悪い人や女性では、その約2/3程度の飲酒量でも肝障害を来たすとされています。

治療

アルコール性肝炎の治療において不可欠なのは節酒、断酒であり、肝障害が軽度である段階で治療を開始することで改善していきます。しかし、一部の症例では節酒、断酒したにもかかわらず肝障害が重篤化することもあり、稀ではあるものの死亡することもあるため節酒、断酒しながら定期的な受診を継続し、血液検査などで肝臓の状態をチェックすることが必要です。

しかしながら、節酒、断酒を困難にしているのがアルコールに対する依存性です。アルコール依存症はかつて慢性アルコール中毒(アル中)と称され、個人の意志の弱さや道徳性の欠如によるものと言われていましたが、近年では医療介入を要するれっきとした疾患のひとつとして考えられています。最初は「お酒を飲みたい」という単純な欲求であったものが、飲酒を続けることによってエスカレートし「お酒を飲み続けると体に悪い」、「お酒を飲み過ぎて仕事で失敗した」という飲酒の有害性を頭で理解しているにもかかわらず、飲酒をやめることによって出現する離脱症状や抑うつ、精神的苦痛から逃れるために、さらに飲酒してしまうようになります。また、人間はアルコールに対して耐性をもっているため、同程度の酩酊を感じるために要するアルコール量は次第に増加します。アルコール依存状態ではなかなか自分の意志で断酒することは難しくなるため、専門とする医療スタッフによるカウンセリングや抗酒剤の使用、断酒会への参加など積極的な医療介入が必要となります。このようにアルコール依存症に対する医療が発展、多様化していく一方で世界保健機関(WHO)はアルコール乱用・依存患者の未治療率は75%以上であると推算しており、その根底には自身がアルコール依存患者である自覚がない、もしくは自覚があっても他者に打ち明けられないなどの原因があると考えられています。

以上のようにアルコール性肝炎となった患者さんの中には常習飲酒家もしくはアルコール依存状態である場合があり、自力で節酒、断酒することが難しく、何らかの介入がなければそのまま肝硬変にまで至ってしまうことがあります。アルコールは誰にとっても身近な存在であるため、誰でもアルコール性肝障害やアルコール依存症になるリスクがあります。まずは各々が自身の日々の飲酒量を把握し、定期的に健康診断などで肝胆道系酵素(AST、ALTやγ-GTP)が上昇していないか確認し、自身の飲酒量が多い場合や肝機能障害を指摘された場合には早めに医療機関を受診して相談することが重要です。

慶應義塾大学病院での取り組み

当院ではアルコール依存症治療の専門施設である国立病院機構久里浜医療センターと連携し、自力もしくは家族の協力や地域の断酒会ではどうしても断酒することのできない依存症の患者さんが早期に治療を開始できるように介入しています。また、重篤なアルコール性肝炎に対して顆粒球除去療法(GCAP)の臨床研究外部リンクを行い、新しい治療法の選択肢として確立すべく症例を蓄積しています。

文責: 消化器内科外部リンク
最終更新日:2016年10月12日

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