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骨髄線維症

こつずいせんいしょう

概要

血液中を流れる細胞成分(血球)には白血球・赤血球・血小板の三種類があります。これらの血球の種となる造血幹細胞(ぞうけつかんさいぼう)は、骨の中にある骨髄と呼ばれるスポンジ状の組織の中で育ち、3種類の血球を日々生み出しています。骨髄線維症は、その中でも特に血小板や白血球の増殖が盛んになり、その結果骨髄の線維化が進んでしまう病気のことです。線維化する原因により、原発性・二次性に分かれます。原発性は造血幹細胞そのものに異常が起こることで線維化が進む病態、二次性は真性多血症などの骨髄増殖性腫瘍や骨髄異形成症候群などの別の疾患が原因となる病態を指します。いずれの場合も骨髄内が線維で埋め尽くされてしまい、3種類の血球がうまく育つには不適切な環境となります。

ほとんどの患者さんは、まず貧血(赤血球が不足した状態)になります。さらに線維化が進むと、やがて白血球や血小板も作られづらくなり、白血球不足による免疫不全状態(感染症に罹りやすい状態のこと)、血小板不足による出血症状が問題となります。また線維化が進むと脾臓が大きくなり、お腹の左側の張りや痛みの原因となります。また経過中に病気の進行に伴い、白血病を発症することもあります。

症状

約2割の患者さんは症状が無く、健診などをきっかけに偶然に診断されることがありますが、多くの場合には次のような症状を伴います。最も多いのが動悸、息切れ、倦怠感などの貧血症状です。また、お腹の張り、腹痛など脾臓の腫れによる症状を伴うこともあります。他に、概要で記載したように、血小板が低い場合には皮膚に紫斑(あざ)ができたり、鼻血や歯茎からの出血などの出血症状がおきます。病気が進行すると発熱、寝汗、体重減少など全身症状を伴うこともあります。

診断

この病気が疑われる場合、特に骨髄の線維化を証明するためには、骨髄検査が必要です。骨髄検査には骨髄液の穿刺吸引検査と組織を採取する生検検査とがあります。骨髄線維症の場合、線維化のために穿刺吸引検査では骨髄液が吸引できない場合がよくあります。また、吸引できた場合にも穿刺吸引検査では線維化を確認することはできません。従って、生検検査による診断が必要となります。

骨髄線維症の約半分の患者さんの血液細胞には、JAK2という遺伝子の異常が見つかります。骨髄や末梢血を用いてこの遺伝子異常が確認されれば、診断の助けとなります。

治療

骨髄線維症は患者さんによって症状や検査値の異常の程度に差があり、治療を開始する際にはそれぞれの患者さんがどのような状態にあるのかを慎重に判断されます。その上で治療が必要となる場合には、まずはそれぞれの症状を和らげるための対症療法を行います。貧血が進行した場合には赤血球の輸血も行います。脾腫による腹部症状を伴う場合には新しい薬剤としてJAK2の阻害剤(ルキソリチニブ)の投与を検討いたします。この薬は分子標的治療薬に分類されるものです。脾臓の大きさを小さくしたり、全身の症状を改善するだけでなく、生存期間の延長が期待できます。ただし、投与することで貧血が進行するなどの副作用があります。治療効果が乏しい場合や腹部症状が強く早急な軽減が必要な場合には、脾臓に対する放射線照射を行うことがあります。
患者さんによっては白血球や血小板が多くなることもあり、その場合には抗がん剤の一種であるヒドロキシカルバミドによる治療を行うこともあります。

骨髄線維症の根治療法としては、造血幹細胞移植があります。造血幹細胞移植とは強力な抗がん剤や全身放射線照射(前処置)により骨髄内にある異常な細胞を消滅させた後に、他人から採取した正常な造血幹細胞を補充して、骨髄内の細胞を正常な細胞と入れ替えるという治療です。この場合、白血球の型(HLAと呼びます)が一致するドナーから造血幹細胞を提供してもらいます。しかし、この治療は強力な前処置が必要なため、様々な重篤な合併症を起こす危険性があります。そのため造血幹細胞移植の適応は、年齢、病状などを参考に慎重に判断します。

生活上の注意

貧血症状がある場合、長い階段や上り坂を登ったりすることなく無理のない活動を心がける必要があります。また、感染症予防のため、手洗い・うがいなども重要です。血小板が少ない患者さんは、物に身体をぶつけたり、転倒したりしないよう気をつける必要があります。また、脾臓が大きくなることで左脇腹のあたりが痛くなることもありますので、そのような症状を感じた時は早めに医療機関に連絡をして指示をもらってください。

慶應義塾大学病院での取り組み

適応がある患者さんに対しては、造血幹細胞移植を行っています。

文責: 血液内科外部リンク
最終更新日:2016年10月27日

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