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関節リウマチの外科的治療

かんせつりうまちのげかてきちりょう

概要

関節リウマチ(rheumatoid arthritis:RA)によって四肢の関節や脊柱(せきちゅう:背骨のこと)の関節、靭帯などに炎症が広がった結果、関節や脊柱に変形や不安定性が現れた場合、外科的治療の対象となります。もちろん、関節リウマチの治療は内科的な治療が原則です。特に最近開発された生物学的製剤などの新しい薬は、内科的な治療方法の順番ですら変えるほどの大きな効果を上げています。
しかし、関節リウマチによって正常な関節が一旦破壊されてしまうと、薬ではなかなか治らず、また変形した関節を過度に使っていると、ますます変形が強くなってさらに関節が破壊されていくという悪循環に陥ってしまう場合もあります。症状が重度になれば手術が必要になります。慶應義塾大学病院整形外科では、リウマチ・膠原病内科のエキスパートの先生方との綿密な連携を基に、外科的治療にも取り組んでいます。

肩関節:
関節破壊が進むと夜間痛が強くなり、睡眠障害を生じる例もあります。可動域制限が強くなってくると、洗髪動作、衣服の着脱、お尻を拭くなどの日常生活の動作に支障が出てきます。さらに進んで、肩関節の周囲の筋肉・腱(特に腱板と呼ばれる筋肉・腱)が断裂してしまうと、たとえ人工関節置換術を行って痛みは取れても、可動域の改善が難しくなります。したがって、早めに専門医にご相談いただくことをおすすめします。

肘関節:
可動域制限(特に屈曲制限)が大きくなると、洗顔、食事動作などの日常生活の動作に支障が生じます。また、症例によっては、肘関節の内側にある尺骨神経が圧迫されて、小指・環指のしびれ感や、握力の低下によってモノを掴みにくくなります。尺骨神経麻痺が進み、筋肉の萎縮が生じてしまうと、たとえ手術を行っても、回復には長期間を要し、症例によっては元に戻らないこともあるので、しびれが生じた場合には注意が必要です。また、人工肘関節置換術の手術も行っております。詳細につきましては上肢の外科専門スタッフとよくご相談ください。

手関節・指関節:
多くの患者さんが手関節あるいは手指を初発症状としているため、手関節・手指は長い罹病期間(病気にかかっている期間)によって手関節・手指の破壊や変形に慣れてしまい、それなりに工夫をして使っている患者さんも少なくありません。ただ、関節が変形し、腫れた状態のまま使っていると、腱(特に伸筋腱)が切れることがあります。さらに変形が進むと整容面でも機能面でも問題がでてきます。腱断裂を生じてしまうと手術がより複雑になり、回復までの期間が長くなり、リハビリも大変になるので、早めに手の外科専門医にご相談ください。

膝関節・股関節:
関節リウマチによって関節破壊が進行すると、疼痛と可動域制限(関節の動く範囲の制限)が出現します。薬物療法でコントロール不良の場合は、人工関節(図1)により疼痛が劇的に改善しますので早めに専門医にご相談ください。

足関節・足趾:
足趾関節炎による外反母趾や第2から4足趾の脱臼、内反小趾を伴う扁平三角足が多く、そのほかに中足部関節の破壊による偏平足があります。疼痛が強く歩行障害がある場合は、関節を温存した形成術や、破壊が強い場合は固定術を行います。早めに専門医にご相談ください。

脊椎:
脊椎のリウマチ病変が多く発生する部位は頚椎ですが、胸椎や腰椎にも発生します。頚椎のリウマチ病変では、環軸関節の障害の頻度が最も高く、生命的予後に影響するため重要です。関節リウマチ頚椎病変は、大きく3つに分類されます。病期の初期には、上位頚椎の不安定性により環軸関節亜脱臼(atlantoaxial subluxation:AAS)を示し、AASは次第に垂直性亜脱臼(vertical subluxation:VS)に進行し、末期では軸椎下亜脱臼(subaxial subluxation:SAS)を呈します。初期には頚部痛、大後頭神経痛、頚椎可動域制限、轢音などの症状がみられます。病態の進行に伴って嚥下障害、構語障害、呼吸障害などの延髄障害や歩行障害や四肢の脱力・知覚障害に代表される脊髄症、さらには椎骨脳底動脈循環不全によるめまいや失神発作などの症状が出現します。また、VSによる頭蓋底陥入症は、延髄圧迫による突然死の可能性もあり、なるべく早期の治療を必要とします。高度な脊椎不安定性を呈している場合は、外科的治療が中心となります。一般的な手術適応は、臨床症状で 1) 進行性の脊髄・延髄症状を示すもの、2)保存療法抵抗性の頚部・後頭部痛を呈し、座位や立位の保持が困難であるものなどです。一方、参考とすべき単純X線所見は、1) 椎間関節の不安定性が高い(instability index40%以上)、2) 垂直性亜脱臼(VS)が高度、3)軸椎下亜脱臼(SAS)、4)歯突起骨折、5)有効脊柱管前後径(SAC : space available for spinal cord 13mm未満)、などです。以上は専門的な画像所見ですので、詳細は主治医にお尋ねください。術式選択については、関節リウマチの病型と病期を中心に、臨床所見、画像所見および全身状態を包括的に評価し決定することが重要ですので、治療方針は主治医の先生とよくご相談ください。

慶應義塾大学病院での取り組み

関節リウマチの患者さんは、関節の不安定性を有することが多いため、生体材料(金属)を使用した治療が必要になることが多いといえます。骨質も不良なため、高度な手術手技を必要とします(図1、2)。当院では、豊富な治療経験により患者さんの病期や病態などを個別に評価し、最適な治療を選択します。

図1. 人工股関節置換術後のレントゲン写真

図1. 人工股関節置換術後のレントゲン写真

図2. 頸椎の手術後のレントゲン写真

図2. 頸椎の手術後のレントゲン写真

文責: 整形外科外部リンク
最終更新日:2019年1月31日

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