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脳腫瘍とは

のうしゅようとは

概要

一般に、頭蓋骨の内部に発生する腫瘍を脳腫瘍と呼びます。脳腫瘍には、脳あるいは周囲の膜や神経から発生する原発性脳腫瘍と、他臓器がんの転移である転移性脳腫瘍とがあります。原発性脳腫瘍の年間発生頻度は10万人に対して約10人といわれており、頻度の高い順に髄膜腫(27%)、神経膠腫(グリオーマ、25%)、下垂体腺腫(18%)、神経鞘腫(シュワン細胞腫)(11%)などがあります 。

症状

症状には、発生部位に特異的な、腫瘍周囲の脳組織、神経などを傷害して起こる巣症状(麻痺、失語、視野障害など)と、非特異的な(どの場所の腫瘍でも起こりうる)腫瘍の塊により、頭蓋内が窮屈になる頭蓋内圧(脳圧)亢進症状があります。脳は頭蓋骨で覆われており、圧の逃げ道がないため、脳腫瘍およびそれに伴う周囲脳の浮腫により頭蓋内圧が亢進し、頭痛、嘔吐などの頭蓋内圧亢進症状が出現します。進行すれば正常脳組織がすき間(特に下方)に向かって押し出され(脳ヘルニア)、意識障害や生命の危険が生じます。さらに発生部位によっては、腫瘍により髄液の循環障害が生じ水頭症による頭蓋内圧亢進症状を合併することもあります(小脳腫瘍など)。

治療

一般に脳腫瘍の治療は、手術、放射線治療、化学療法(抗がん剤治療)を組み合わせて行います。手術には、腫瘍の組織診断と腫瘍量を減らすという2つの目的があり、その組織診断に基づいて術後の治療方針を選択することが原則です。原発性脳腫瘍のうち、脳の周りの膜や神経から発生する腫瘍(髄膜腫、神経鞘腫など)や下垂体から発生する腫瘍のほとんどは良性で、手術で全摘出されれば治癒が望めます。一方、脳から発生する腫瘍の多くは周囲の正常脳組織内に浸潤性(しみ通るように広がる)に発育するため、多くの場合、手術のみでの治癒は困難です。浸潤部を切除することはそこに混在する神経細胞も切除することになるため、浸潤部の腫瘍細胞は放射線治療や化学療法(抗がん剤)で治療します。摘出により重篤な合併症が危惧される場合や放射線化学療法に対する感受性の高い腫瘍が予想される場合などは、組織診断のみを目的とした生検術が行われることもあります。放射線治療には通常の放射線照射のほか、強度変調放射線治療(IMRT)という、腫瘍の種類や形に応じて照射範囲や照射線量を調節し正常脳への影響を制限しつつ腫瘍への効果を高める照射法や、ガンマナイフ、サイバーナイフなど比較的小さな病変に集中的に放射線を照射する定位的放射線治療があります。また、脳には血液脳関門という血液中の物質を簡単には脳に通さないしくみがあり、抗がん剤が到達しにくい環境となっています。

文責: 脳神経外科外部リンク
最終更新日:2018年3月23日

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