
有棘細胞がん
症状
皮膚の最も外側を成す表皮細胞が悪性化したもので、最初は硬いイボ状のしこりとして始まり、増大すると悪臭を伴います。最初からくずれて潰瘍(深くえぐれたような状態)を作る場合やカリフラワー状に隆起するものもあり、多彩な形態をとります(図1)。

図1.火傷の傷痕(瘢痕)上に生じた有棘細胞がん
診断
有棘細胞がんは多くの場合、医師が診ただけで見当がつきますが、診断を確定するために生検を行う場合もあります。有棘細胞がんにはさまざまな前がん病変(がんになる前の段階)や前駆症(病気に先立つ症状)が知られています。有棘細胞がんを生じやすい母地としては熱傷瘢痕(ねっしょうはんこん)、尋常性狼瘡(じんじょうせいろうそう)、褥瘡(じょくそう)、慢性放射線皮膚炎などが、前がん病変や早期病変としてはボーエン病、光線角化症、白板症、放射線角化症などが、挙げられます。
治療
外科的切除が第一選択です。病期にもよりますが通常1~数cm離して拡大切除します。放射線治療にも反応しますが、根治性で問題があると考えます。病期が進むと、外科療法、放射線療法、化学療法を併用した治療になります。 抗ガン剤として、主にシスプラチン(カルボプラチン)、アドリアシン(エピルビシン)、CPT-11などが使用されています。
生活上の注意
過度の日光にあたることで引き起こされる場合が多いとされています。また、皮膚に何らかの異常が現れて数週間たっても消えない場合、皮膚科を受診することが必要です。前述した有棘細胞がんが発生しやすい素地が有る場合は、特に注意が必要です。
慶應義塾大学病院での取り組み
当科では、ダーモスコピーやおよび病理組織検査の結果に基づいて正確に診断し、外科的治療を中心に患者さんの病態に合わせた治療法を選択していただけるよう努めております。
さらに詳しく知りたい方へ
- 皮膚悪性腫瘍ガイドライン
(日本皮膚科学会)
日本における有棘細胞がんの治療ガイドラインも閲覧可能です。
文責:
皮膚科
最終更新日:2017年3月24日

皮膚の腫瘍
