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神経ブロック療法

しんけいぶろっくりょうほう

概要

痙縮とは脳卒中、脊髄損傷、脳性麻痺などにより麻痺した手足の筋の緊張が異常に強くなる状態で、手足の指が曲がったまま伸びなくて痛い、肘や膝が屈曲したまま伸びない、膝、足がつっぱってしまい歩きづらい、つま先が引っかかる、はさみ足になってしまう、手足がこわばって痛い、などの症状を起こします(写真1・2)。
これらの症状を和らげるには、異常に緊張した筋肉を緩ませる治療が必要です。そのままにしておくと筋肉や関節が固くなり、よりいっそう、症状が悪化することがあります。この痙縮に対する治療方法の一つに神経ブロック療法があります。

写真1 痙縮による症状(上肢)

写真1 痙縮による症状(上肢)

内反尖足(ないはんせんそく)

写真2 痙縮による症状(下肢)

足趾の過屈曲(鷲爪趾:わしづめし)

写真3 痙縮による症状(下肢)

治療

  1. 治療方法
    痙縮の程度や関節の動き、麻痺の状態、歩行の様子などを総合的に評価した上で、注射する神経を決めます。細い注射針を刺して、その針に弱い電流を流して筋肉の反応を確認しながら、標的の筋肉や運動神経を探し、薬剤を注射します。一回の治療で数カ所の神経・筋肉に注射を行います。薬剤としては、神経破壊薬であるフェノールもしくは神経筋接合部遮断薬であるボツリヌストキシンを用います。なお、我が国では上肢および下肢痙縮に対して、ボツリヌストキシンA型(ボトックス®)が保険適応になっています。針を刺入する時、針を少しずつ動かす時、神経破壊薬を注入する時に軽い痛みを感じますが、いずれも一過性です。
  2. 期待される効果
    過剰な筋緊張が低下すれば、痙縮による症状は緩和されます。効果の持続は一般的に3~6か月です。効果は注射後2~3日目から徐々にあらわれ、通常3~4か月持続します。症状がもとに戻ったらまた繰り返して投与することを検討します。
  3. 注意事項
    治療当日の入浴はさけてください。また、針を刺すため、血液が固まりにくい方や血液が固まりにくくなる薬を内服されている方では、止血に時間がかかり、出血が持続するおそれがあります。事前に、必ずお申し出下さい。
  4. この治療に伴う危険性
    実施した場合に起こりうる合併症は以下のとおりです。
    1. 注射した部位に、皮下出血ができたり、痛みがしばらく続いたり、痛みを伴うしこりができることが稀にあります。
    2. 神経破壊薬が感覚神経へしみてしまうと、注射した部位より遠位に放散する痛みやしびれが数日してからでてくることがあります。また、神経破壊薬が血管へしみてしまうと、循環障害を引き起こして静脈炎などを生じることがごく稀にあります。
    3. 神経ブロックが効きすぎると、力が入りにくくなったりすることがあります。特に足での神経ブロックでは歩きづらさがでてしまうことが稀にあります。
  5. 偶発発症時の対応
    万が一、4に示したような合併症が起きた場合には最善の処置を行います。なお、その際は通常の保険診療となります。
    1. 痛みやしびれに対して、鎮痛消炎薬の内服、局所麻酔薬のブロック注射などを行います。
    2. 静脈炎に対しては、抗生剤の投与、鎮痛消炎薬の内服などを行います。
    3. 力の入りにくさに対しては、神経ブロックの効果が和らぐのを待ちながら、転倒などに注意する必要があります。
  6. 代替可能な治療法について
    現在、痙縮に対する治療には、フェノールやボツリヌストキシンによる神経ブロックの他に、筋肉の緊張を和らげる内服薬(抗痙縮薬)を内服する治療、理学療法や作業療法、装具療法、物理療法(温熱または寒冷療法など)、手術による治療(選択的後根切断術、末梢神経縮小術、腱延長術など)があります。
    内服薬(抗痙縮薬)では全身的な副作用(全身の脱力感、眠気や肝機能障害など)を認めることがあります。理学療法や作業療法、装具療法、物理療法(温熱または寒冷療法など)では効果の発現に時間がかかります。
    手術による治療では全身麻酔を要するため、身体への負担を伴います。

慶應義塾大学病院での取り組み

リハビリテーション科では、痙縮により歩行や日常生活に支障を生じてしまった脳卒中、脊髄損傷、脳性麻痺等の患者さんに対して、入院もしくは外来にて痙縮に対する神経ブロック療法を実施しています。必要に応じて、理学・作業療法、装具療法もあわせて行い、包括的なリハビリ治療を行っています。

さらに詳しく知りたい方への書籍とwebサイトの案内

現代リハビリテーション医学 千野直一編 改訂第3版 金原出版 2009

文責: リハビリテーション科外部リンク
最終更新日:2014年9月8日

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