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腎移植

じんいしょく

概要

進行した腎不全の治療法には、大きく分けて2つの治療法があります。ひとつは、人工的に、腎臓の働きを補う「透析」、もうひとつは、他の人から提供して頂いた腎臓を移植する「腎移植」です。「腎移植」は、病気で働きを失った腎臓にかわり、提供して頂いた健康な腎臓にその働きを代行してもらう方法です。「透析」は、腎臓の機能をすべて代行することはできないため、現時点では「腎移植」が腎不全の根本的治療法といえます。

症状

腎不全とは、「腎臓の働きが低下(20~30%以下)し、体内の老廃物のろ過や水分・塩分の排泄などが十分行えない状態」をいいます。はじめは、さほど目立つ症状はありませんが、徐々にむくみ、貧血、吐き気、高血圧、さらには意識障害に至る尿毒症や、水分過剰に伴う呼吸困難、心不全が生じ、治療せずに放置すると死に至ります。

診断

腎不全には、急性に起こるものと、慢性に起こるものとがあり、それぞれ原因が違います。急性腎不全は、大けが、大手術後、重症感染症、中毒などにより起こり、腎臓の働きは元通りに回復することもあります。慢性腎不全は、腎炎や糖尿病性腎症など、腎臓の病気によって起こります。治療によってある程度進行を遅らせることはできますが、少しずつ腎臓の働きが低下して、回復は期待できません。腎不全の程度は、採血検査、検尿、24時間尿をためる検査等で評価していきます。詳しくは慢性腎臓病の項を参照してください。

治療

慢性腎不全に対する治療は、「血液透析」、「腹膜透析」、「腎移植」があります。腎移植には、大きく分けて「生体腎移植」と「献腎移植」とがあります。

生体腎移植は、主に身内の方(血縁6親等以内、姻族3親等以内)で腎臓を提供してくださる方(ドナー)から、2つある腎臓のうち1つを頂いて、患者さん(レシピエント)に移植する方法です。提供者の方が、腎提供後に腎不全にならないことが絶対条件です。そのために、必要な検査を受けて頂く必要があります。一方、献腎移植は、脳死者または心停止の方から腎臓の提供があった場合に、その腎臓を移植する方法です。臓器移植ネットワークに登録していただき、腎移植を待機することになります。

2012年の統計では日本全国で生体腎移植1,417例、心停止下献腎移植116例、脳死下献腎移植77例でした。

腎移植を行うと、老廃物や余分な水分が尿として移植した腎臓で作られ、自然に排泄できるようになり、全身の状態も安定します。恒常性の面からも、健康な人とほぼ同等になります。また透析治療から解放され、食事制限もほとんどなくなり、生活の質は大きく改善し、また生命予後の改善もみられます。女性では、妊娠、出産が可能になりますし、お子さんでは、ほぼ正常に近い発育も期待できます。現在、腎移植を受けた方のほとんどが、社会復帰を果たしております。

血液型は同じ血液型のくみあわせが望ましいのですが(一致)、現在は血液型が同じでなくても、血漿交換等により拒絶反応のリスクを低くして腎移植は可能となっております。

腎移植は全身麻酔下での比較的大きな手術が必要となります。また、拒絶反応が起こらないように免疫を抑える薬を一生飲み続けなければなりません。拒絶反応、感染症、免疫抑制剤の副作用などの合併症が起こる場合があります。

図 慶應義塾大学病院 腎移植パンフレット いのちときずな より

図1.(慶應義塾大学病院 腎移植パンフレットいのちときずな外部リンクより転載)

生活上の注意

拒絶反応を予防するために、決められた量の薬をきちんと飲みましょう。
尿量や体温、血圧、体重などをチェックしましょう。
免疫抑制剤によって免疫力が落ちておりますので、風邪をひかないように注意しましょう。他の薬を飲みたいときは、必ず主治医に相談してください。
定期的な受診を必ず行いましょう。

慶應義塾大学病院での取り組み

当院で施行した最近過去10年間の腎移植の1年生着率(1年後に移植した腎臓がはたらいている確率)はほぼ100%であり、5年生着率は97%となっております。
また、生体腎移植においては、腎臓提供者に対する安全性を最重視しなければなりません。当院では豊富な腹腔鏡手術の経験を基に、世界的に主流となっている腹腔鏡下腎採取術をドナーの方の手術にも取り入れております。そのため、術後翌日には食事をしたり歩いたり出来るようになり、術後5日前後で退院可能となっております。もちろんドナーの方も含め手術成功率は100%です。

エベロリムスを用いたステロイド早期離脱免疫抑制

レシピエントの方に対しても新しい試みを行っております。我々は新規免疫抑制剤であるエベロリムス(商品名:サーティカン®)を2012年より導入し、ステロイド剤を移植後3か月で終了する免疫抑制プロトコールを導入しております。ステロイド離脱率は実に94%で、これによりステロイド使用に伴う合併症(骨粗しょう症、大腿骨頭壊死、白内障、胃潰瘍、感染症、新規発生糖尿病等)を未然に防げる可能性が出てきました。また、拒絶反応発生率も9%程度と以前のプロトコールに比べ低く、サイトメガロウィルス感染症の発生も著明に減少し、術後の経過も大変良好です。

さらに詳しく知りたい方へ

慶應義塾大学病院泌尿器科では、以下のようなパンフレットとビデオを用意させていただいております。いずれも当院泌尿器科外来にて差し上げることができますのでお気軽にお声をかけてください。また、当泌尿器科ホームページ外部リンクでも閲覧可能です。

  1. パンフレット:いのちときずな外部リンク
  2. ビデオ:いのちとQOLのために・・外部リンク

文責: 泌尿器科外部リンク
最終更新日:2017年2月28日

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