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装具

そうぐ

概要

装具とは、身体の一部を外部から支えて、関節の動きを制限したり、保護することで、変形の矯正、関節運動の補助、疼痛の軽減などを図る医療用具です。これらの目的を達成するためには、装具の部品で関節を支持し、その支点の上下で反対側から保持する必要があります。これを三点支持の原則といい、支点の位置から両側の支えの位置までの距離が長いほど関節を支持する力は大きくなります。また、支持している部位で装具を動かしたい場合には、継手と呼ばれる部品を用いて、装具に関節機能を持たせることができます。装具は、ギプスのように一時的な固定のためではなく、生活の中で長く使用するために作られますので、重量や耐久性に関わる素材や外観、そして価格に配慮して作製されます。以下に、リハビリテーションでよく用いられる装具をご紹介します。

治療

【上肢装具】

上肢に用いる装具には、関節を固定・保持あるいは矯正するための静的装具と、手の機能を補助するために使用する動的装具があります。

  1. 静的上肢装具
    肩・肘・手指関節の手術後に長期間の固定を必要とする場合や、神経の麻痺、関節の炎症、火傷などによって起こる変形を予防するために作られます。例えば、アームスリングは脳卒中後の上肢麻痺に伴って起こる肩関節脱臼を予防するために用います。コックアップ装具は、橈骨神経が麻痺して手先が上がらなくなってしまった場合に、手関節を軽度背屈位に保持して、手が垂れたままで固まってしまわないように予防します(写真1)。尺骨神経麻痺や火傷などで、指の付け根が曲げられない場合には、バネの力で手を握る方向に力を加えるナックルベンダーという装具を用います。また、正中神経麻痺でつまみ動作がうまくできなければ、親指が人差し指や中指と向かい合うように保持する装具が作られます。これらの作製には、熱を加えると柔らかくなって形状を整えることができる熱可塑性プラスチックが多用されています。
写真1 静的上肢装具:橈骨神経麻痺に対するコックアップ装具

写真1 静的上肢装具:橈骨神経麻痺に対するコックアップ装具

  1. 動的上肢装具
    肩や肘を動かす力が弱い頸髄損傷の患者さんの食事動作を可能にするために、前腕部を支えてボールベアリングで腕の動きを補助する装具やスプリング・バランサがテーブルや車椅子に取り付けて使用されます。指のつまみ動作が出来ない場合には、手首を反らせる力を動力に変える機能的把持装具などが処方されます。

【下肢装具】

下肢装具は、運動麻痺などで足に体重をかけると膝が折れてしまったり、歩く時につま先が引っかかってしまう場合に、関節の動きを補助する装具と、骨折や関節炎の治療のために、体重がその部分にかからないようにすること、すなわち、免荷を目的とした装具に分けられます。主な下肢装具には、足から膝下までの短下肢装具、太ももまでを押さえる長下肢装具、膝の動きを調節する膝装具などがあります。

  1. 運動麻痺に対して用いられる下肢装具
    • 短下肢装具:最も多く処方される装具で、立っている際に足首が左右にぶれないようにすること、歩く時に膝が折れたり、逆に突っ張ったりするのを防ぐこと、つま先が引っかからないようにすること、を目的に用います。靴に金属の支柱を付けた装具(写真2)は、しっかりと足を支持してくれるので、麻痺が重度な場合や足が突っ張りやすい患者さんに用いられます。プラスチック樹脂を加工した短下肢装具は、軽量で、屋内でも用いることが可能であり、麻痺の程度に応じて装具の高さを調整して作られています。
      これらの装具に足首の関節の役割を果たす足継手を付けることによって、足先が垂れないように動きを制限したり、つま先が上がるように補助したりする機能を持たせることができます。また、足首が内側あるいは外側に反ってしまう場合には、T字あるいはY字のストラップで押さえるようにします。
    写真2 短下肢装具靴型装具付き(左Tストラップ)

    写真2 短下肢装具靴型装具付き(左Tストラップ)

    • 長下肢装具:太ももの力が十分でなく、歩く際に膝が折れてしまう場合には、短下肢装具と太ももを支える金属の支柱を膝継手で連結し、膝関節の動きを制限する長下肢装具が処方されます。脳卒中後の患者さんなどで、麻痺が十分に回復していない時期に、歩行訓練の補助に用いられることが多く、膝まわりの力が得られてきたら、短下肢装具として利用できるように工夫されています(写真3;左足)。脊髄の損傷で、両足が麻痺している患者さんには、2本の長下肢装具を股の部分で連結し、交互に足を踏み出せるようにする股継手を用いて、歩く訓練を行う場合があります。
    写真3 長下肢装具(右側は免荷装具)

    写真3 長下肢装具(右側は免荷装具)

    • 膝装具:脳卒中後の患者さんなどで、麻痺している足で体重を支える時に膝が反り返ってしまうと、膝を痛めてしまい、変形が進んで歩けなくなる場合があります。このような膝の反り返りを制限するために、スウェーデン式膝装具などが用いられます。
  2. 免荷、関節保護を目的に用いられる下肢装具
    • 免荷用装具:骨折部位や痛みのある関節に加わる負荷を軽くするためには、体重がかかる部位を装具によって変える必要があります。膝よりも下の骨折などには、膝のお皿の下、すなわち膝蓋腱部で体重を支えます。また、太ももや膝にかかる力を減らすには、坐骨で体重を支えるように長下肢装具が処方されます(写真3;右足)。
    • 関節保護あるいは運動制限を加える装具:先天的な股関節脱臼には、足の付け根の骨が骨盤の受け皿に収まるように、股を開いた状態を保持するための装具が処方されます。膝の靱帯損傷や変形による膝関節の痛みには、両側に支柱があるプラスチック素材のしっかりとした膝装具や、布地の素材に支柱を付けた膝サポーターなどが、症状や治療の経過に応じて用いられます。

【靴型装具】

靴は、足部を保護し、歩くときなどにかかる力を受けて、足への負担を軽くする役割を持っています。例えば、しっかりとした靴には、足先の踏み返しの部分に'ふまずしん'という板が入っていて、歩くときに足の指の付け根に負担がかからないように工夫されています。また、足首を床面に対して垂直に保持して、関節に均等に体重がかかるようするには、踵(かかと)からくるぶしの外側の革に'月形しん'を入れて支える必要があります。このように、体重の加わり方や足の変形を矯正するための靴を整形靴と言います。足には歩く時に非常に大きな力がかかりますので、その際の痛みや変形を予防するためには、整形靴に様々な工夫を施す必要があります。

  1. 靴の高さ
    靴の側革を高くすると、足首をしっかりと保持できます。靴の高さによって、くるぶし以下の短靴、くるぶしまでのチャッカ靴、くるぶしを覆う半長靴、それ以上の長靴に分類されます。足首を安定させるには、側革の補強が大切になります。
  2. 足底板
    靴の中敷きを工夫することで、足にかかる力を分散することができます。扁平足には土踏まずの部分を支えるように半楕円形に盛り上げたアーチサポートを用います。足が内側に反ってしまう場合には、中敷きの外側を高くする外側ウェッジを加えます。外側ウェッジは、O脚に変形して膝の内側が痛い場合に、関節面にかかる力を外側に移行して膝の痛みを和らげるためにも用いられます。
  3. 靴底
    両足の長さに差がある場合には、靴底と中敷きを必要なだけ高くして歩く時に身体が上下しないように調整します。足の踏み返しをスムーズにするために、靴底の前方部分を舟底形にする場合があります。また、足に体重を載せた時に外側にバランスを崩してしまう場合には、靴底を外側に広げるフレアヒールを用います。

【体幹装具】

体幹とは、頸部、胸部、腹部および腰部をさし、これらの身体の幹となる部分を支持する装具を体幹装具と呼びます。

  1. 頸椎装具
    首の骨である頸椎は、重たい頭を支える必要があります。むち打ちの後には、首の前後の動きを制限し、安静を保持するソフトカラーが時に用いられます。頸椎の損傷や手術後では、頸椎の回旋運動も制限できるように胸を覆う支持部から支柱を立てて頸部を固定します。
  2. 腰椎装具
    腰痛症にしばしば用いられる腰椎コルセットには、布地の素材に数本の軽い金属支柱が縦方向に縫い込まれています。コルセットの下端が骨盤にかかるように装着することが大切です。下腹を圧迫することで腰椎にかかる負担を軽くすることができるので、胸までかけない幅の狭いタイプのコルセットが腰痛症によく用いられるようになっています。
    腰椎をしっかりと固定するためには、プラスチックの支柱や殻を用いて背中を保持し、前面から腹部を押すような種々の体幹装具が処方されます。
  3. 側彎症体幹装具
    側彎症に対する装具は、原則として骨の成長が止まる18歳を目安に、側彎の進行を予防するために用いられます。

慶應義塾大学病院での取り組み

装具の処方は、解剖学や運動学を十分に考慮して、患者さんの生活に適した構造と外観を備えた装具を作製する必要があります。リハビリテーション科では、厚生労働省が主催する義肢装具等適合判定医師研修会で研修を終えた医師が、義肢装具士と一緒に装具を作製する外来を週1回設けています。

さらに詳しく知りたい方への書籍とwebサイトの案内

「義肢装具のチェックポイント」(医学書院)日本整形外科学会、日本リハビリテーション医学会が監修した義肢装具等適合判定医、コメディカルの人向けの教科書。

文責: リハビリテーション科外部リンク
最終更新日:2011年12月28日

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