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腸回転異常症

ちょうかいてんいじょうしょう

概要

腸回転異常症は、胎生期において中腸が反時計方向に回転しながら腹腔内に還納される過程の異常で発生する疾患です。本来は腹腔内で固定されているべき腸管が固定されないため、腹腔内で捻じれやすくなり、腸捻転(中腸軸捻転)を併発しやすく、腸間膜が捻転して絞扼性(こうやくせい)イレウスを生じることがあります。中腸の軸稔転を起こした場合は、広範な腸管の壊死を来し、敗血症、ショックとなるため、早期の診断と緊急手術を要するものです。症例の60%は新生児期に発症しますが、1歳過ぎにみられる場合もあります。

症状

症状としては、急性の胆汁性嘔吐、間欠的な嘔吐、腹痛、発育障害などが挙げられます。超音波検査、注腸造影と上部消化管造影で診断されます。

治療

中腸軸捻転を合併していなければ緊急手術の必要はありません。中腸軸捻転が疑われる場合には、腸管の壊死が急速に進行するため、緊急手術を行います。

手術は、開腹して中腸の軸捻転を解除した後にLadd靱帯を切り離し、盲腸・上行結腸から十二指腸を剥離して腸間膜根部を十分に伸展することで、捻じれにくい状態を作ります。絞扼による腸管虚血がある場合には、腸管の保存を最優先すべきです。狭い範囲の腸管壊死であれば、壊死腸管を切除し、端々吻合を行います。一方、広範囲腸管の色調が不良な場合には、絞扼を解除するだけであえて腸切除は行わず、1~2日後に再度開腹して、色調の戻った腸管を温存し、なるべく大量腸管切除を免れるように計画を立てます。

予後

再発はまれですが、癒着性のイレウスは時々みられます。広範囲腸切除により、短腸症候群を来した症例では、生存率は25~80%との報告があります。短腸症候群に至った場合には中心静脈栄養を併用し、経口栄養を補う必要があります。近年では栄養管理の進歩により、生存率は顕著に改善しつつあります。

文責: 小児外科外部リンク
最終更新日:2020年10月21日

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