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顔面の外傷や骨折

がんめんのがいしょうやこっせつ

概要

交通事故、転倒、転落、スポーツ、殴打など種々な原因で顔に怪我をすることがあります。けがをする場所としては、顔の皮膚、骨(前頭骨、頬骨、鼻骨、上顎骨、下顎骨)です。目や口の周りであればサングラスやマスクで隠すことも可能ですが、基本的には衣服で隠せないため、キズアトや変形があるとどうしても気になります。顔の持つ機能面だけでなく、見た目をもとに戻し、快適な社会生活が営めるよう治療に当たります。

症状

症状は怪我をする場所によってさまざまです。詳細は下記をご参照ください。

治療

顔面のキズ・キズアト

皮膚軟部組織のキズには、「挫創」「擦過傷」「咬傷」などがあります。キズの状況によって治療法が異なります。

挫創
いわゆる切り傷は、キズが皮膚・皮下組織のみに限局しているのか、筋肉や脂肪、血管や神経の損傷を伴うのかを的確に判断する必要があります。顔面には顔面神経、唾液を口腔に導く管(唾液腺管)、涙の流出する管(涙小管)、などが皮下に走行していますので、これらの損傷がある場合には専門的な修復治療が必要となります。こうした組織の損傷がなければ、キズがなるべく綺麗に治るよう細心の注意を払った皮膚の縫合となります。特に、まぶた、まゆげ、髪の生え際、唇周辺などは元通りに縫い合わせないと、キズが治った後、毛の連続性が断たれてキズが目立ちますので特に注意を払います。このため、キズの状態によっては眉毛や髪を剃らずにそのまま縫合処置を行います。

擦過傷
いわゆる擦り傷は、縫合処置は行わず、充分な洗浄・消毒および軟膏による治療が行われます。特に、擦り傷の中に砂などの異物を残したままにしますと、キズ治癒後、キズアトに色が残ってしまうことがあります。キズに異物が残って生じた色を「外傷性刺青」と呼びます。外傷性刺青の一部は後日レーザーで色を薄くすることが可能ですが、まずは異物を残さないようにすることが肝要です。

咬傷
動物に咬まれたキズは、必発する感染をいかに軽減させるかが治療の第一目的になりますのでキズアトの整容的心配は二の次となります。適切なキズ処置(菌や膿がキズの外に排出しやすいように処置します)と抗生剤・抗菌剤による治療を行います。このため、キズを縫わずに開いたままにしたり、菌や膿を体外に誘導するための管(ドレーン)を創内にいれることもあります。

顔面骨骨折

顔面骨骨折の治療は多くの場合、緊急手術を行いません。生命予後に影響を及ぼす他の病態がないことを確認した後、もしくは救命治療が終了した後に治療を検討します。顔面骨骨折の治療目的は、機能の修復と形態の修復に大別されます。顔の骨折による機能的障害の代表的な症状は、眼窩骨骨折に伴う複視(眼球の動きが障害され、物が二重に見える)と頬骨や下顎骨の骨折に伴う開口障害(口が充分開かない閉まらない)、また、上顎・下顎の骨折に伴う咬合不全(噛み合わせ異常)が代表的な症状となります。形態の異常は必ずしも手術治療の適応とはならず、ご本人が形態異常を気にする場合に手術治療を検討します。ここでは、代表的な骨折別に症状・治療の概要をお示しします。

鼻骨骨折
治療の目的は形態の回復にあるので、鼻の変形がどの程度かよく見極めて治療方針を決めます。骨折による形態異常は、鞍鼻(つぶれた鼻)、斜鼻(くの字型といった変形)をきたします。骨折の程度が強いと、鼻腔の狭窄(鼻づまり)の原因となることもあります。診察時、形態異常が明らかであれば治療を即日に行うこともあります。変形の程度が軽い場合には、腫れが十分軽快し変形の程度をみてから治療することもあります。治療は、鼻骨の整復鉗子を用いて折れ曲がった骨を元に戻します。通常局所麻酔下に治療しますが、受傷から時間が経って整復が困難な場合や子供さんの場合、入院の上、全身麻酔下で行うこともあります。

眼窩骨折
頬骨骨折などに合併するものの他に、眼部にソフトボールや肘・膝などがあたって眼の奥の薄い骨が折れる骨折があります。こうした打撲の後、物が二重に見えるなどの症状があれば、形成外科、眼科などの専門医を受診することをお勧めします。手術の適応(手術を行うか行わないか)を決定することが難しい骨折の一つです。

頬骨骨折
交通事故あるいは殴られて頬部を打撲することで骨折することが多い部です。口が開きにくい、ほほの感覚がにぶい、歯の噛み合わせがおかしい、物が二重に見えるなどの症状がでます。骨折の程度・症状により手術の内容は大きく異なります。

上顎骨折・下顎骨折
いずれも、受傷後、歯の噛み合わせ異常を自覚するようになります。治療は、咬合(噛み合わせ)の回復が主目的となり、手術で噛み合わせを修復し、上顎と下顎をワイヤーや輪ゴムで固定する顎間固定という処置を数週間行います。

慶應義塾大学病院での取り組み

形成外科学教室では、皮膚の怪我も骨折も、いずれも整容面に配慮した治療を行っています。顔の骨折では、ほぼ全例に3次元CTを撮影し骨折の状況を詳しく調べてから手術の適応を決定します。手術はなるべく口腔内から行うことで顔面に傷を残さないよう配慮しています。骨の固定には金属プレートによる固定を行った場合には再度摘出手術が必要となることが少なくないため、当院では吸収性プレートによる骨固定を行っております。また、残ったキズアトに対しては、関連施設においてレーザー治療などによるキズアト治療もご紹介しています。

図1.左頬骨骨折の例

図1.左頬骨骨折の例
3次元CTで骨折の状況を詳しく調べます。

図2.頬骨骨折治療後のCT

図2.頬骨骨折治療後のCT
正確な骨折の整復と最小限の骨固定での治療を行っております。

他院治療後の変形について

外傷による整復や縫合は緊急的に行われることが多いため、旅先などで応急処置をされることも少なくありません。当院ではそうしたものも含めて、他院治療後の変形が気になる場合でも対応しております。

文責: 形成外科外部リンク
最終更新日:2017年1月23日

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