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血管肉腫(脈管肉腫)

けっかんにくしゅ(みゃくかんにくしゅ)

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症状

血管の細胞ががん化したもので、皮膚、特に頭に生じやすいことで知られています(図1)。高齢の方に生じやすい傾向がありますが、若年の方に生じることもあります。最初は内出血のような赤い発疹として始まり、徐々に大きくなったり、血豆のようなしこりを作ったりします。痛みや痒みを伴わないことが多いですが、病変が大きくなると痛くなることがあります。また、複数の病変が生じこともあり、また大きくなって出血を繰り返すようになることがあります。
血管のほか、リンパ管の細胞ががん化して生じることがあり、その場合には赤みが目立ちません。
乳がんや婦人科領域のがんの治療におけるリンパ節の手術後や放射線治療後の手足のむくみを背景に生じることがあります。Stewart-Treves(スチュワート・トリーブス)症候群と呼ばれています。

図1.庭木で負った外傷後に生じ、血腫として治療されていた血管肉腫

図1.庭木で負った外傷後に生じ、血腫として治療されていた血管肉腫

診断

問診・視診・触診などで血管肉腫が疑われた場合、診断を確定するために生検を行います。血液・リンパ液などを介して他の臓器に転移することがあり、特に肺に転移しやすい性質があります。そのため、診断後すみやかにCTなどの画像検査を行い、病気の広がりを確認します。

治療

まず、手術による治療がを行います。手術の傷が落ち着いた段階で、放射線治療と抗がん剤治療を行います。病変の範囲が大きく、手術ができない場合には、放射線治療を行います。
抗がん剤治療としては、パクリタキセルによる治療が最も用いられています。海外との違いとして、日本国内ではインターロイキン-2の使用が認められており、局所投与、点滴投与による治療に用いられていますが、近年はあまり使われていません。

生活上の注意

≪手術を受けたあと≫
手術による傷が落ち着くまでは、担当医の指示に従って傷の手当をします。また、血管肉腫が再発しないことを確認するため、定期的な通院をします。指示がなければ生活における注意はありません。

≪抗がん剤による治療を受けている間≫
抗がん剤は、薬による副作用が多く、重く出ることもあります。便秘・下痢、脱毛や手足の痺れ、骨髄への副作用が生じやすいため、食事、服薬や感染予防など、担当医の指示に従うようにしましょう。

原因は明らかになっていませんが、外傷を契機に生じるとも言われています。頭部や顔面に消えない赤紫色の斑がある場合は、特に注意が必要です。また、リンパ浮腫に続発し生じることもあり、リンパ浮腫の治療とともに皮膚の状態を注意深くみる必要があります。

慶應義塾大学病院皮膚科での取り組み

当科では、血管肉腫に対する手術や放射線治療のほか、種々の化学療法が実施可能な体制で治療に取り組んでいます。パクリタキセル、ドセタキセル、ゲムシタビン、イホスファミド、アドリアシン、ハラヴェン、ヨンデリス、ヴォトリエントなどが使用可能であり、患者さんの状態に合わせた最適な治療を提供できるようにしています。

文責: 皮膚科外部リンク
最終更新日:2020年1月27日

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