概要
CTガイド下肺生検とは、実際にCT装置で身体の断面像を見ながら、肺の病変部に生検針を刺して組織を採取する検査です。採取した組織を病理、細菌検査などに提出し、治療方針の決定に役立てます。原則として気管支鏡で見えにくい病変や、気管支鏡でうまく組織が採れなかった場合に行います。
所要時間
約1時間
検査の実際
- 検査は2泊3日の入院で行います。
- CT検査台に寝ていただき、病変の位置に合わせた体位をとります。うつ伏せになっていただく場合もあります。皮膚を消毒後、そのままの姿勢で滅菌された布を被せます。検査中はなるべく手を出したり、動いたりしないでください。
- 針を刺す位置に局所麻酔をします。麻酔時にチクッとする感じがありますが、その後、痛みはないはずです。押される感じは残ります。
- CTを撮影して病変の位置を確認しながら、針を刺し組織を採取します。
- 消毒薬や麻酔薬にアレルギーのある方はお申し出ください。また検査中、痛み、吐き気、足のしびれ、気分不快などがありましたら、遠慮なく医師や看護師にお知らせください。
検査後の注意
- 検査後は、針を刺した箇所からの出血を防ぐため、大きな絆創膏で圧迫することがあります。
- 検査後は病棟に戻り、約3時間安静を保っていただきます。
- 食事やシャワー、入浴は病状によります。医師に確かめてから開始になります。
- 痛みや気分不快がありましたら、看護師にお知らせください。
合併症
CTガイド下肺生検に伴って、合併症が起きることがあります。軽症の合併症としては気胸(軽いものは約40~70%、チューブを挿入して空気を抜く必要があるものは約2~5%)、血痰などがあります。まれですが、生命にかかわる重度の合併症が起きることがあります。具体的には、空気塞栓症(くうきそくせんしょう:肺の空気が血管内に入り脳梗塞や心筋梗塞を起こす、0.061%)、悪性細胞の播種(はしゅ:病変が悪性だった場合に針を刺した穴を伝って悪性細胞が広がる、0.061%)、緊張性気胸(重度の気胸が起きて呼吸困難になる、0.1%)、肺出血(肺の中で多量に出血し、気管や口にも血液が溜まり呼吸困難になる、0.05%)、血胸(肺から胸腔内に多量に出血する、0.092%)が報告されています。以上のような合併症に対して、担当医のほかに、各専門科が迅速に対応できる体制を取っています。なお、合併症に対する治療費は、患者さんご本人の負担となります。
文責:
呼吸器外科
最終更新日:2023年10月5日