概要
形成外科で診療する顔のできものには、あざ、いぼ、皮膚腫瘍、などがあります。形成外科ではできものの種類、性質、大きさに応じて様々な治療法のなかから選択して治療します。顔面のできものの治療は、手術による方法、レーザーによる方法、高周波メスによる方法、ドライアイスや液体窒素による方法などがあります。ここでは、形成外科で行う治療法の一部をご紹介します。
症状
顔にできるできものには様々なものがあります。ここでは治療の対象となるできものの一覧をお示しします。
あざ(母斑:ぼはん)
黒いあざ:色素性母斑(有毛性色素性母斑、母斑細胞母斑、黒子)
青いあざ:蒙古斑、異所性蒙古斑、大田母斑、青色母斑
赤いあざ:単純性血管腫、苺状血管腫、海綿状血管腫
茶色いあざ:扁平母斑
あざについては「しみ、あざ」もご参考ください(レーザー治療の説明もあります)
いぼ(疣贅:ゆうぜい)
若年者のいぼ: 尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい:いわゆる「いぼ」)
加齢によるとされるいぼ: 老人性疣贅(脂漏性角化症)、アクロコルドンなど
その他
良性のもの: 石灰化上皮腫、汗管腫、表皮嚢腫、皮様嚢腫、稗粒腫(ひりゅうしゅ)、軟線維腫など
悪性のもの: 悪性黒色腫、有棘細胞癌(ゆうきょくさいぼうがん)、Paget病、Bowen病、日光角化症など
形成外科で行う治療法
手術による方法
主にメスを用いてできものを切除する方法です。日帰りの手術で行うことがほとんどですが、大きなものや悪性が疑われる場合、入院、全身麻酔下で行うことがあります。できものを取り除いた後に足りなくなった皮膚は以下の4つの方法で修復します。できものの大きさや部位に応じて最も適した方法を選択することで整容面での結果を大きく向上させることができます。また取れたものを病理検査に提出し、顕微鏡下で、できものの診断(良性か悪性かなど)を行います。
- 単純に縫縮(縫い縮める)する方法
- 他の部位から皮膚を植皮する方法
- 近くの皮膚を移動する(局所皮弁)方法
- 近くの皮膚をエキスパンダー(組織進展器)により引き伸ばして切除部分の閉鎖に利用する方法
レーザーによる方法
レーザー光線をあてて、表面から母斑を焼灼する方法です。色を改善するものと疣贅など盛り上がりを焼灼するものなどがあり、母斑の種類や部位などにより、良く取れるものと、取れないものがあります。取れるものに関しては、手術による傷跡を残さないので、整容的に優れた方法です。
1996年(平成8年)より、健康保険による取り扱いが可能になりましたが、対象となる疾患、使用するレーザー種、治療回数、治療間隔などに制限があります。
健康保険の適用となる疾患は、下記の通りです。
色素(ダイ)レーザー、Vビームレーザー:単純性血管腫、苺(いちご)状血管腫、毛細血管拡張症
Qスイッチ付ルビーレーザー:太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症、扁平母斑
Qスイッチ付アレキサンドライトレーザー:太田母斑、異所性蒙古斑、外傷性色素沈着症
慶應義塾大学病院での取り組み
形成外科では、できものの性質や大きさに応じて、治療法を選択します。また、悪性の皮膚腫瘍が疑われる場合には皮膚科と協同で診療を行い、皮膚科で切除、形成外科で皮膚欠損の修復を行うなどの分担診療を行っています。
治療に関しましては、各曜日の午前中の初診外来を受診され、お気軽にご相談ください。レーザー外来の初診は受け付けておりません。
文責:
形成外科
最終更新日:2017年1月23日