納豆・クロレラ食品

ワルファリン(抗凝固剤)と納豆・クロレラ食品との相互作用

ワルファリンは、ビタミンKと似た構造を持つクマリン誘導体で、ビタミンKに拮抗し(効果を打ち消し)、血栓ができるのを抑える薬です。肝臓においてビタミンKが関与する血液の凝固因子が作られるのを抑えて血を固まりにくくします。

この薬を服用中の患者さんは、ほかの薬と一緒に飲むとワルファリンの効き目が強く現れたり、逆に弱くなってしまうことがあり、特に注意が必要です。また、薬だけでなく、食品の中にもワルファリンと相互作用があるものがあります。その代表例が、納豆やクロレラ食品といったビタミンKを多く含む食品です。

どうして?

ワルファリンを服用中は、ビタミンKの活性が抑えられた状態にあります。このときにビタミンKを多量にとるとワルファリンと拮抗して、その作用は減弱してしまいます。ビタミンKは脂溶性のビタミンの1つで緑色野菜に多く含まれますが、人の体内において、腸内細菌でも産生されます。

納豆に含まれる納豆菌は、少量でも(100g…1pack)腸の中でビタミンKの生合成を促進します。ビタミンKの働きをワルファリンで止めていたのに、納豆菌が後からビタミンKを作ってしまうので、ワルファリンの効き目が悪くなってしまうのです。ワルファリンを服用中は、納豆を食べないようにしてください。ただし、納豆の原料である大豆は、ビタミンK含有量は多くないので問題はなく、同じようにねばねばした食品であるオクラ等も食べても大丈夫です。

この働きは何も納豆菌に限ったことではありません。緑黄色野菜や海藻類などは、ビタミンKを多く含んでいるので、納豆やクロレラ食品ほどではないにしろ、毎日たくさん食べるとワルファリンの作用が弱まってしまいます。

ほかにビタミンKが多く含まれる食品とは?

食品中のビタミンK量(μg/100g)
食品名 食品名
野菜類   油脂  
ほうれん草(葉) 478.5 大豆油 93.6
ほうれん草(茎) 66.4 マーガリン 50.9
ブロッコリー 205 サラダ油 147.9
ねぎ(緑) 242.6 オリーブ油 42.1
ピーマン 29.8 飲料類  
春菊 350 緑茶 21.4
しそ 650 紅茶 11.6
藻類   豆類  
わかめ 253 みそ 11.1
こんぶ 67 納豆 345,952
ひじき 329 その他  
あま海苔 1386 クロレラ 3,600
    アボカド 8

参考文献
・日本食品成分表. 2017 (七訂), 本表編 / 医歯薬出版編
 東京 : 医歯薬出版, 2017.3
・青崎正彦ほか.呼吸と循環.39,781,(1991)
・須田光明.日内会誌.82(2),137(1993)
・日病薬.33(12),p93(1997)

お酒は飲んでもよいか

アルコールは、ワルファリンの代謝に影響を及ぼし、その作用を減弱または増強することがあります。通常の量であれば毎日摂取しても問題はありませんが、アルコール肝障害に陥るような大量摂取は避けてください。また、ワルファリンを服用するときは、アルコール摂取から6~7時間以上はあけてください。

文責:薬剤部外部リンク

最終更新日:2018年3月5日

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