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大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)(改訂) -慶應ハートチーム-

はじめに

慶應義塾大学病院循環器内科・心臓外科ではカテーテル(内腔を有する細い管の総称)を用い、血管を通じて血管の中から病気を治す低侵襲(体に負担の少ない)な治療を積極的に行っています。このカテーテル治療には狭心症・心筋梗塞に対しての冠動脈形成術 (PCI)、大動脈瘤や大動脈解離に対してのステント留置術などがあり、以前から行われておりました。

近年、新しい治療法として、大動脈弁狭窄症に対する経カテーテル大動脈弁留置術 (TAVI: transcatheter aortic valve implantation、以下TAVI)が欧米を中心に広がり、日本でも2013年10月から保険適用され、実臨床での治療が行われています。2016年5月現在、日本でTAVI開始後およそ2年半が経過しますが、慶應義塾大学病院では250例以上の患者さんに治療をさせて頂き、全例で弁留置に成功しています。ほとんどの方が手術後早期に歩いて退院し、早い方では手術後3日で退院できるほどに回復されました。このように、TAVI治療は患者さんにとって低侵襲(体に負担の少ない)で有効性も高い優れた治療法です。

このTAVI治療は、数年前までは、まだ始まって間もなく、長期成績がまだはっきりしていなかったため、通常の開胸と人工心肺を必要とする外科的大動脈弁置換術が非常に困難またはリスクが高い患者さんに限られていました。しかし、最近では手術後5年間の人工弁の機能や患者さんの生存率が発表され、長期成績が確立され始めました。さらに中等度リスクの患者さんでもTAVIで良い成績をおさめており、今後より多くの患者さんに、この低侵襲なTAVIが有用である可能性が示されました。詳しくは下記「TAVIの最新情報」をご参照ください。

大動脈弁狭窄症の治療法

現在行われている大動脈弁狭窄症に対する治療法は、TAVIのほか次の3つです。

  1. 薬物療法(薬による治療):薬物を用いて体液量を調節したり、血管を拡張させたり、心拍数を減したりすることで心臓への負担を減らす治療。
  2. 外科的大動脈弁置換術 (SAVR):胸を開く大きな手術(開胸術)により大動脈弁を人工の弁(生体弁または機械弁)と取り替える治療。
  3. バルーン大動脈弁形成術 (BAV):バルーン(風船)を用いて大動脈弁を広げる治療。

上に記載した1.から3.の治療法およびTAVIには、表1に示すような利点と欠点があります。

表1.治療法の比較

治療法

有益な点

不利益な点

薬による治療

体への負担が少ない

根治的な治療法ではないため、効果及び効果の持続時間が限定的である

外科的大動脈弁置換術 (SAVR)

根治的な治療法である
標準治療である

体への負担が大きい

バルーン大動脈弁形成術 (BAV)

大きな手術のできない患者さんにも治療ができる

効果の持続時間が短い

経カテーテル大動脈弁留置術 (TAVI)

大きな手術のできない患者さんにも治療ができる
根治的な治療法である

留置がうまくできなかった場合は開胸術が必要となることがある


経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI)の実際

重症大動脈弁狭窄症に対する治療の標準治療は外科的手術による大動脈弁置換術ですが、高齢や合併症のためリスクが高く外科手術ができない患者さんが、全患者さんの少なくとも3割以上います。大動脈弁狭窄症は症状が出現してから手術をしないで放置すると予後(病気の見通し)が非常に悪く、手術のできない患者さんは、なすすべもなく看取ることになってしまうのが現状でした。

1980年代からバルーン大動脈弁形成術が行われていましたが、一時的に弁口面積が広がり症状が改善するものの、数ヶ月から一年程で再狭窄をきたし、結果的にバルーン大動脈弁形成術をしても予後の改善につながらないことが判ってきました。
このような問題点を克服するため、大動脈弁をただバルーンで拡張するだけでなく、弁を留置するという治療法 (TAVI)がフランスのルーアン大学の循環器内科のAlain Cribier教授により考案されました。2002年に第一例が施行され、当初は未熟な治療で周術期死亡率も大変高かったのですが、医療機器の改良、経験や知見の蓄積により、年々安全性が向上しています。

こうして、高齢や合併症のためリスクが高く外科手術ができない患者さんであっても、TAVIにより根治出来るようになってきました。近年では、外科的大動脈弁置換術の中等度リスクの患者さんでもTAVIが良い成績をおさめており、今後の適応拡大が望まれます。また、最近では、TAVIの人工弁(デバイス)の種類も増え、さらには新しい世代の人工弁(デバイス)も出てきており、より個々の患者さんに適した弁を選択し、安全に治療ができるようになってきています。詳しくは下記「TAVIの最新情報」をご参照ください。

どのように弁を挿入するか?

弁を留置する経路としては、足の大腿動脈から留置する最も低侵襲な、経大腿動脈アプローチ(transfemoral approach: TF)が第一選択となります。足の血管が大口径シース(径の大きな、太い管)を挿入するのに適さない場合には、心臓の先端(心尖部)から弁を挿入する経心尖アプローチ (transapical approach: TA)を選択します。他にも経鎖骨下アプローチ (transsubclavian approach: TS)や最近では胸を小さく開けて(胸骨上部正中切開、もしくは肋間開胸)上行大動脈から弁を挿入する直接大動脈アプローチ (Direct aortic approach: DA)なども行われています。いずれの方法にも利点、欠点があるため、個々の患者さんに即し最善のアプローチ法を選択することが大変重要になります。

図1.TAVIのアプローチ方法

図1.TAVIのアプローチ方法

どのような弁が用いられているか?

現在日本で認可されているカテーテル弁(TAVIの人工弁)はEdwards社のSapien XTとMedtronic社のCoreValve の2種類です(図2)。これらの他にも欧米ではCEマーク・FDA認可(欧米での医療機器などの安全性の認可であり、日本での医薬品医療機器総合機構(PMDA)認可に相当する)を受けているデバイスがいくつかあります。Sapien XTとCoreValveは第2世代デバイスと呼ばれることが多く、さらに改良を重ねた第2世代デバイスが欧米を中心に臨床試験が行われ、実臨床に応用されています。

図2.Edwards社のSapien XT(左)とMedtronic社のCoreValve(右)

図2.Edwards社のSapien XT(左)とMedtronic社のCoreValve(右)
Edwards社外部リンクおよびMedtronic社外部リンクのホームページより転載)

2016年5月下旬からは日本でも第3世代デバイスのSapien 3が保険適用され、治療が始まります。詳しくは下記「TAVIの最新情報」をご参照ください。

慶應義塾大学病院での取り組み

動画1に経大腿動脈アプローチでのTAVI手技を示します。

動画1.経大腿動脈アプローチでのTAVI手技
Edwards社外部リンクのホームページより転載)

TAVI治療は全身麻酔で治療する施設が多いですが、経験のある施設ですと経大腿アプローチであれば局所麻酔で施行することが可能です。全身麻酔では術中合併症が起きた際の迅速な対応や経食道心臓超音波検査を用いた術中モニタリングを行える利点がありますが、経験の蓄積により、より低侵襲な局所麻酔で施行することが可能となります。当院では安全性が担保される限り、経大腿アプローチではなるべく低侵襲である局所麻酔で積極的に治療を行っています。

通常の手術室設備と血管透視装置が備わったハイブリッド手術室に入室後、全身麻酔また局所麻酔を行います。高頻拍ペーシングや房室ブロック(脈が途切れてしまう不整脈)のバックアップのために一時的にペースメーカーの挿入も行います。
経大腿動脈アプローチであれば大腿動脈(足の付け根の血管)を穿刺し、14~18 Fr(直径約5-6mm程度)のシース(機器を出し入れする管)を挿入します。経心尖アプローチであれば、左胸部を小切開し、18Frのシースを心尖部(心臓の尖端)から挿入します。

その後、バルーン大動脈弁形成術と同様の行程で、大動脈弁をバルーン(風船)で拡張し、少し弁を広げます。この状態で、カテーテル弁(Sapien XTやSapien 3などのバルーン拡張型人工弁の場合)をバルーンと共に大動脈弁まで運び、バルーンを拡張する事で、大動脈弁の内側からカテーテル弁を圧着させ、留置させます。CoreValveなどの自己拡張型人工弁の場合は、シース内にローディング(収納)された人工弁を展開することで大動脈弁の内側から自動的に人工弁が拡張し、留置されます。

術後は集中治療室で管理しますが、経過が良ければ、1日で集中治療室から一般病室へ戻ることができます。術後安定した時期に心臓エコー検査などで留置した大動脈弁の評価を行い、周術期合併症がない事を確認した上で退院とします。個人差はありますが、経大腿動脈アプローチでは術後5日~10日程度、経心尖部アプローチでは2週間程度で退院が可能となります。

当院には、日本で初めてTAVI指導医(proctor)資格を取得した林田健太郎医師が在籍しています。林田医師はヨーロッパに留学中に数多くの様々な患者さんにTAVIを施行し、豊富な経験をもち、それを当院のみならず日本全国でのTAVIの安全な普及に努めています。そのため、現在も日本有数の治療経験数をもち、日本各地から患者さんのご紹介外部リンクを頂いております。大動脈弁狭窄症でお悩みの患者さんやご家族の方はお気軽にご相談ください。

本治療の外来での窓口は、主として循環器内科の林田医師となります。入院後の治療に際しては、循環器内科、心臓外科、麻酔科、放射線科、看護師、放射線技師、臨床工学技士などが「ハートチーム」を組み、チームとして治療させて頂きます。循環器内科外来(月曜午前:林田 健太郎)を受診いただくか、慶應義塾大学「心臓血管低侵襲治療センター」外部リンク専門外来 ホームページをご確認下さい。

TAVIや心臓カテーテル治療の最新情報

  1. TAVIの成績が続々発表
    2015年6月にはTAVIの無作為化比較対照試験 (randomized controlled trial: RCT)であるPARTNER試験(バルーン拡張型人工弁のSapienを使用)の手術後5年間の人工弁の機能や患者さんの生存率が発表され、外科的大動脈弁置換術 (SAVR)と比較し、遜色ない結果でした。同様にCoreValveでも手術後3年間の人工弁の機能や患者さんの生存率が発表されました。
    さらに、近年では外科的大動脈弁置換術の中等度リスクの患者さんにおけるTAVIの中期成績(1~2年)も発表されました。Sapien XTでは手術後2年間の人工弁の機能や患者さんの生存率で外科的大動脈弁置換術と同等、さらには中等度リスクの患者でも外科的大動脈弁置換術と同様の成績、さらには経大腿動脈アプローチ(TF)ではTAVIの優越性が示されました。またSapien 3では、手術後1年間の人工弁の機能や患者さんの生存率で外科的大動脈弁置換術に対して優位な結果を認めました。これらの試験により、今後より多くの患者さんに低侵襲なTAVIが提供できる可能性が出てきました。ただし、これらの中等度リスクの患者さんの長期成績はまだでておらず、今後のさらなる検討が必要です。

  2. 次世代デバイスのSapien 3の保険適用
    従来のバルーン拡張型人工弁のSapien XTが改良された、Sapien 3(図3)が2016年5月下旬から保険適用になりました。海外では一足先に認可され、実臨床で用いられていました。従来のSapien XTに比較し、デバイスがコンパクトで、より足の血管が細い方にも経大腿動脈アプローチが可能になりました。また、TAVIのアキレス腱であった弁周囲逆流がかなり少なくなるような仕組みを取り入れています。この新しいデバイスの到来で、より安全なTAVI治療が行われることが期待されます。
図3.Edwards社のSapien 3

図3.Edwards社のSapien 3
Edwards社外部リンクのホームページより転載)

  1. 日本における実臨床データの発表
    日本の多施設合同レジストリー(登録機関)であるOCEAN-TAVIレジストリー*より、日本の実臨床においるTAVIの成績が第80回日本循環器学会学術集会(2016年3月)で発表されました。TAVIを受けた患者の30日の死亡率は2%であり、90歳以上の患者においては0.9%と良好でありました。
    (*OCEAN-TAVIレジストリー参加施設: 慶應義塾大学病院、豊橋ハートセンター、帝京大学医学部付属病院、小倉記念病院、新東京病院、済生会横浜東部病院、仙台厚生病院、湘南鎌倉総合病院、大阪市立大学院大学医学研究科、大垣市民病院、東京ベイ・浦安市川医療センター、岸和田徳洲会病院)

  2. TAVIや心臓カテーテル治療の治験 TAVIの新しいデバイスの治験やTAVIにおける適用拡大へ向けた治験、さらには大動脈弁狭窄症のみならず僧帽弁逆流症におけるカテーテル治療の治験が近年日本でも行われるようになっております。慶應義塾大学病院では、このような治験に参加して、より多くの患者さんへ最先端の医療を提供しています。

Q & A

Q 治療による痛みはありますか?
A 治療は全身麻酔または局所麻酔を行いますので、通常痛みを感じることはありません。ただし、治療後にカテーテルを挿入した足の付け根に不快感があったり、経心尖アプローチの場合には左胸部の傷口の痛みが残ることがあります。全身麻酔の場合は術後に喉の違和感をおぼえたりすることがあります。これらは通常数日から一週間でおさまります。局所麻酔で行う際にも局所麻酔以外にも鎮静剤(睡眠剤)を用いて術中は軽くウトウトした状態で寝て頂くことが多いです。

Q どんな合併症がありますか?
A 大きな合併症は死亡、心筋梗塞、脳卒中、弁輪破裂、左心室破裂、カテーテル弁の移動、急性大動脈弁閉鎖不全症(結果として急性心不全)、血管損傷(動脈解離、破裂)、房室ブロック(永久ペースメーカー留置が必要になる)、弁周囲逆流などがあります。これらの事態には迅速で対応する必要があり、場合によっては緊急で開胸術や開腹術(血管損傷の場合)に移行しなくてはならない場合もあります。この治療が海外で始まった当初は合併症の発生率が高かったですが、デバイスの改良、経験の蓄積により、年々成績が改善しています。アプローチ部位、施設や地域、施行された年代により異なりますが、ヨーロッパやアメリカ、日本でレジストリ研究や治験の結果から、術後30日間の死亡率は数%まで改善しています。

Q 大動脈弁狭窄症の治療方法(TAVIまたは外科的大動脈弁置換術)はどのように決めているのですか?
A 大動脈弁狭窄症の治療方法の決定には、日本のみならず世界でも、1人の医師・1つの科ではなく、循環器内科・心臓外科・麻酔科・放射線科、医師・看護師・放射線技師・臨床工学技士を含む「ハートチーム (heart team)」と呼ばれるチーム医療が求められます。当院でも「ハートチーム」でのカンファレンスで協議の上、患者さんごとに適切な治療方針を決定しています。

Q 透析の患者さんは受けられないと聞きましたが・・・
A 海外では透析患者さんにもTAVIは施行されていますが、現在(2016年5月時点)、日本では残念ながら保険適用となっておりません。今後、透析患者さんにおけるTAVIの臨床試験が行われる予定であり、保険適用の早期拡大が望まれます。

Q 年齢が若い患者さんは受けられないと聞きましたが・・・
A TAVIが始まってからまだ10-15年程度しか経っておらず、それ以上の長期成績が判断できません。そのため、現在では60~70歳程度までの患者さんであれば通常、安定した長期成績が証明されている外科的大動脈弁置換術が標準治療となります。しかし、これまで開胸手術を受けたことがあったり、他のご病気で外科的大動脈弁置換術のリスクが高い方などは、若くてもTAVIが検討されることがあります。

Q 外科的大動脈弁置換術のリスクが高くないと、TAVIは受けられないと聞きましたが・・・
A 数年前まではTAVIが始まってからまだ間もなく、長期成績がまだ出ていなかったため、TAVIは外科的大動脈弁置換術のリスクが高い患者さんに限られていましたが、最近海外では中等度リスクの患者さんにも施行されるようになり、中期成績ではよい結果をおさめています。当院では、患者さんのデータをハートチームで協議し、個々の患者さんにとって最適な治療を選択し提案しています。

Q 他にTAVIが受けられない患者さんはいますか?
A 下肢や腹部の血管の問題、胸郭や心臓周囲の問題でカテーテルの挿入部が全くない患者さん、解剖学的にTAVI治療が適切でない患者さん、全身状態が心臓以外の理由で非常に悪い患者さんはTAVI治療によって利益を得られない可能性があります。ただその判断には様々な要因を検討する必要があるため、まずは当院に受診して頂き、諸検査を施行の上、私達の「ハートチーム」でよく検討させて頂きたいと思います。場合によってはバルーン大動脈弁形成術で治療を行い、全身状態をよくしてからTAVIにつなげる方法(ブリッジ)を考慮することもあります。

Q バルーン大動脈弁形成術はどの様な患者さんに適していますか?
A TAVIの登場により、今まで忘れられていたバルーン大動脈弁形成術の有用性が再び見直されてきました。例えば状態が悪く(低左心機能、コントロールされていないうっ血性心不全、感染、認知症が大動脈弁狭窄症によるものかどうか不明な場合など)、このままTAVIを行いにくい患者さんに対してブリッジとしてバルーン大動脈弁形成術を先行させるなどの治療戦略が考えられます。このような方法を取ることにより、より安定した状態でTAVIの施行が可能になったり、またはバルーン大動脈弁形成術によりさらに全身状態が改善して結果的に外科的な弁置換術が可能となる患者さんもいらっしゃいます。また心臓以外の外科手術前にバルーン大動脈弁形成術を行って、周術期の心血管リスクを少しでも下げてから手術を行うなどの手法もあります。
このバルーン大動脈弁形成術を用いてTAVIや外科的大動脈弁置換術へのブリッジとするのは、現代の重症大動脈弁狭窄症の患者さんにとって重要な治療オプションとなりうると考えられます。 しかし注意すべきは、このバルーン大動脈弁形成術は根治術ではなく姑息的手段であり、バルーン大動脈弁形成術を繰り返し施行しても大動脈弁狭窄症は治らないため予後は改善せず、手技リスク(30日死亡率1-2%)をおかしているにも関わらず、常に突然死のリスクがあることに変わりはないということです。将来的に根治術である外科手術、もしくはTAVIを受けるつもりがない場合にはバルーン大動脈弁形成術を施行しても手技リスクを負うだけであまりメリットはありません。またブリッジとしてバルーン大動脈弁形成術を施行した場合も、なるべく早期の根治術(大動脈弁置換術、またはTAVI)が必要となります。

Q 手術中に輸血は必要ですか?
A 必須ではありませんが、術中の合併症による出血で必要となる場合があります。そのため、術前に予め緊急時に備え、輸血の準備はさせて頂きます。必要がない場合には輸血は致しません。

Q 治療後にMRI検査は可能ですか?
A 経カテーテル生体弁は磁性がありませんので問題はありません。

Q TAVIの治療費は?
A TAVIの治療には健康保険、高額医療制度が適用されます。費用は年齢や所得によって異なりますが、おおよそ5万~20万円です。詳細についてのお問い合わせは、当院代表電話(03-3353-1211)へお願い致します。担当部署へお繋ぎします。

TAVI治療における費用について

[例]TAVI治療入院(約7日~14日)の場合

■健康保険を使用される場合

70歳未満の方

約180万円(3割負担)

70歳以上の方

44,400円(所得により異なります)

■高額療養費制度を利用される場合(一般所得の場合)

70歳未満の方

約14万円

70歳以上の方

44,400円

※部屋代・食事代は別途必要です
※上記はあくまで概算です
《参考》高額療養費制度については厚生労働省ホームページ外部リンクをご覧ください。

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治療を安全に行えるよう、循環器内科をはじめとした各科医師、看護チーム、医用工学室のメンバーが参加し、最高のパフォーマンスが出せるよう研究を重ねています。

文責:循環器内科外部リンク

執筆:八島 史明

最終更新日:2016年9月1日
記事作成日:2013年10月1日

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