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ホーム > あたらしい医療 > 上部消化管疾患に対する新しい低侵襲外科治療法の開発 -一般・消化器外科-

上部消化管疾患に対する新しい低侵襲外科治療法の開発 -一般・消化器外科-

はじめに

慶應義塾大学医学部一般・消化器外科で取り組んで参りました食道・胃疾患に対する新しい低侵襲外科治療法についてご紹介いたします。当科の食道がん及び胃がんの治療実績は一般・消化器外科 上部消化管班の下記ウェブサイトをご参照ください。

腹臥位で行う食道がん胸腔鏡下手術

食道がん根治手術では、開胸、開腹、さらには頸部に手術操作が及ぶような大きな手術が必要となります。当科では患者さんの負担をできるだけ少なくするために胸腔鏡・腹腔鏡を用いて手術創をできるだけ小さくする手術を1996年から行っております。さらに2009年からは、これまで主流であった患者体位を左側臥位にして行う胸腔鏡下食道切除術に、患者体位を腹臥位にする胸腔鏡下手術を導入し、より安全かつ精度の高い新しい胸腔鏡下食道切除術を考案いたしました。

低侵襲手術

またこのような新しい低侵襲手術をより安全に行うために、術前・術後画像診断と新しい周術期管理法を組み合わせた合併症対策を考案し、安全な手術を実践して参りました。

胃がんの腹腔鏡下手術~究極の低侵襲術式~

胃がん手術におきましては代表的な胃がん根治術式である幽門側胃切除術、胃全摘術を腹腔鏡下手術として積極的に行っております。また単に傷が小さいだけでなく、胃をできるだけ大きく残す術式として腹腔鏡下噴門側胃切除術や腹腔鏡下幽門保存胃切除術の定型化にも取り組んで参りました。

さらに早期胃がんに対する究極の低侵襲術式として、まず腹腔鏡下にセンチネルリンパ節生検を行ってリンパ節転移のない早期胃がんを正確に選別し、そのようなリンパ節転移のない患者さんには胃壁の外側と内側をそれぞれよく観察しながら胃の切除範囲を最小限にするという新しい腹腔鏡・内視鏡合同手術を当院腫瘍センター低侵襲療法研究開発部門と共同で考案し、これを世界に先駆けて発表いたしました。

縮小手術(局所切除術)

センチネルリンパ節とは、がんが最初に転移するリンパ節のことです。現在乳がんの手術ではセンチネルリンパ節を手術中に探しだし、転移があるかないかを診断しています。もしセンチネルリンパ節に転移がなければ、乳がんの手術では腋の下のリンパ節切除を行わなくなっており、私たちはこの技術を胃がん手術に応用し、腫瘍の直径が4cm以下の早期胃がんであれば、センチネルリンパ節生検の結果に基づいた胃がん縮小治療ができることを明らかにしてきました。このような「早期胃癌に対する腹腔鏡下センチネルリンパ節生検」は、2014年より厚生労働省より先進医療に承認され、全国から胃がんの縮小治療を希望される患者さんが集まるようになってきております。

我が国における消化器がん内視鏡外科の歴史は、慶應義塾大学一般・消化器外科が切り拓いてきたといっても過言ではありません。今後も単に手術の傷が小さいだけではなく、患者さんの術後の生活の質(QOL)を重視し、かつがんを確実に治す低侵襲術式の開発に一層努めて参ります。

関連リンク

文責:一般・消化器外科外部リンク

執筆:竹内 裕也

最終更新日:2015年9月3日
記事作成日:2015年9月3日

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