慶應フットケアチーム -フットケア外来-
はじめに
みなさん、"フットケア"という言葉をご存知でしょうか?単に足や爪をきれいにする「フットケアまたはネイルケア」というイメージを多く持たれているかも知れません。我々医療者にとってのフットケアとは、少しでも長く歩ける足を護り、足から全身を診ることを指します。持病を持たない患者さんは、靴擦れや熱傷、水虫(足白癬)、巻き爪(嵌入爪)などが原因で足の切断が必要となることは多くはありません。しかし、糖尿病や下肢閉塞性動脈硬化症、人工透析を行っている患者さん、または、高齢者では、些細な足の傷が治癒しにくく、重症化して足の切断に至ってしまうことがあります。糖尿病をもつ足病変の患者さんで、足の切断となった方のほとんどが、足の潰瘍や靴擦れなどのささいな物理的外傷が原因となっています。そのためにも、予防としてのフットケアが重要であり、近年注目されています。
フットケアチームの結成
糖尿病性、虚血性足病変を有する患者さんは、生活指導、創処置、リスクファクター(高血圧、脂質異常症、糖尿病など)の管理や、病変部に対する外科的処置など、多岐にわたる加療、多数の診療科の介入を要する傾向があります。そして、各科の専門医が集結し、診療科の枠を超えて知識を共有し、一致団結して治療にあたることがもっとも重要であると思われます。そのため、様々な専門医や職種からなるチーム医療の構築が必要であり、フットケアチームを結成することとなりました。フットケアチームは、一般・消化器外科、腎臓・内分泌・代謝内科、整形外科、形成外科、皮膚科、リウマチ・膠原病内科、循環器内科、リハビリテーション科、血液浄化・透析センターの計9診療科および看護部で構成されたチームで、診療科の垣根を越えた、効率の良い医療の提供を目指しています。
フットケア外来の実際
フットケア外来では、足の診察・検査から始まります。 足病変を有する患者さんの多くは、閉塞性動脈硬化症を有しているため、血流評価のため、血圧脈波検査(ABI)および皮膚潅流圧(SPP)の測定を行っています。ABIとは、足首と上腕の血圧を測定し、その比率(足首収縮期血圧÷上腕収縮期血圧)を計算したものです。測定値が、0.9以下の場合は、閉塞性動脈硬化症の疑いがあり、下肢の超音波検査などで詳しく調べる必要があります。SPPとは、皮膚微小循環の血流を指標とした灌流圧のことであり、重症虚血肢に対する皮膚レベルの血流評価として使用されています。
また、糖尿病の患者さんに対しては併行して原疾患の治療を行っていきます。
そして、1人当たり、30分以上時間をかけて専門の看護師(皮膚・排泄ケア)が足を守るための予防方法の指導から、爪、うおのめ(鶏眼)やたこ(胼胝)などの処置を行います。
対象となる方
- 糖尿病性足壊疽・足潰瘍が治らない
- 血流障害(閉塞性動脈硬化症、バージャー病、慢性動脈閉塞、脂肪塞栓など)に伴う傷が治らない
- 静脈不全(下肢静脈瘤など)に伴う潰瘍が治らない
- うおのめ(鶏眼)・たこ(胼胝)のところにできた潰瘍が治らない
など、足に関するトラブルをお持ちの患者さんは、慶應義塾大学病院フットケア外来にご相談いただければと思います。
毎週水、木曜日に一般・消化器外科にてフットケア外来を開設しています。
詳細につきましては、外来までご連絡ください。
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文責:一般・消化器外科
最終更新日:2023年12月13日
記事作成日:2012年6月1日
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