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腹腔鏡手術の最前線 -一般・消化器外科-

はじめに

開腹手術は、お腹を切り開いて、目で見て手で触って行う手術です。一方、腹腔鏡手術では、お腹の壁(腹壁)に小さな穴をあけ、お腹の中を炭酸ガスで膨らまして作業空間を作ります。腹腔鏡と呼ばれる内視鏡でお腹の中をテレビモニターに表示し、さらに小さな穴を数個あけて、そこから細長い手術器具(処置具)を挿入してテレビモニターを見ながら手術を行います(図1)。開腹手術に比べてあまり難しいことはできませんが、徐々に守備範囲が広がってきています。1990年代にわが国で普及し、当初は胆石症に対する胆嚢摘出術など一部の術式でのみ行われていましたが、現在では、機器や技術の進歩に伴い、がんに対する根治術をはじめ、多くの術式で標準的な治療として広く行われるようになりました。腹腔鏡手術は、従来の開腹手術に比べて傷が小さいため、痛みが少なく、癒着を起こす可能性が低く、さらに見た目もよいという利点があります。また身体へのダメージが少ないため、術後の回復が早く、早期の社会復帰が可能です。

図1 腹腔鏡手術の模式図

図1 腹腔鏡手術の模式図
出典:おなかの健康ドットコム外部リンク

腹腔鏡手術は、従来の開腹手術とは異なる技術を要するため、特別な修練を要します。日本内視鏡外科学会外部リンクは、腹腔鏡手術を安全かつ適切に施行する技術を有し、かつ指導するに足る技量を有している医師の認定制度を設けています。一定の経験を有する医師の技量を手術のビデオで審査する制度で、合格率は半分以下とされます。当科では6名の医師がこの技術認定を取得しており、高い水準の腹腔鏡手術を行うとともに、若手の育成も積極的に行っています。
腹腔鏡手術も日進月歩で進化しています。少しでも良い手術方法を患者さんに提供できるように、世界中の研究者が新しい手術器具や治療法を開発しています。慶應義塾大学一般・消化器外科も最先端の腹腔鏡治療の研究・開発を行っていますこのコーナーでは、そのような新しい腹腔鏡手術の一端をご紹介します。

単孔式内視鏡手術

従来、腹腔鏡手術は腹壁に3~6個程度の小さな穴をあけて手術を行っていました。この穴の数を1つにした手術が、単孔式内視鏡手術です(図2)。通常はおへその穴に隠れるようにひとつの傷をつくるため、一見するとどこにも傷がないように見えます。

図2 単孔式内視鏡手術の模式図

図2 単孔式内視鏡手術の模式図
出典:オリンパス株式会社ニュースリリース外部リンク

従来の腹腔鏡手術に比べ、傷が目立たないというメリットは明らかですが、術後の痛みや身体へのダメージが軽くて済むかどうかは、まだ結論が出ていません。2010年になり急速に普及してきた新しい術式ですが、安全性の確保や、手術時間やコストをいかに抑えるかが検討課題となっています。
当院では2009年より、保険診療の範囲内で胆嚢摘出術、虫垂切除、鼠径ヘルニア根治術、胃粘膜下腫瘍、大腸切除、小腸切除、肝切除などの手術で単孔式内視鏡手術を行っています。

NOTES(Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery)

NOTESは口や腟、肛門など人が本来持っている穴(natural orifice)から挿入した内視鏡をお腹の中に入れて行う手術で、体の表面に一切傷がない、究極の手術とされます(図3)。しかし完全なNOTESは技術的ハードルは高く、安全性は未確認です。そのため腹壁から補助的な鉗子を併用することが一般的で、ハイブリッドNOTESと呼ばれています。当科では、産婦人科と共同で、腟からの操作を併用した単孔式腹腔鏡手術を試験的に行っています。腟からの操作を併用することで、おへその傷をさらに小さくすることが可能で、見た目のさらなる向上が期待できます。

図3 NOTESの模式図

図3 NOTESの模式図
出典:NOTES研究会外部リンク

軟性内視鏡を使用したNOTESは保険診療として行うことはできません。臨床研究として国内では数施設に限って行われています。

和田 則仁助教

和田 則仁(助教)

関連リンク ~さらに詳しく知りたい方のために~

当科では、腹腔鏡手術に関して、さまざまな取り組みを行っています。
詳細は当科のホームページ外部リンクをご覧下さい。

最終更新日:2011年3月1日
記事作成日:2011年3月1日

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