内観療法
概要
内観療法は日本オリジナルの精神療法です。近年、自然と対立する西洋的な二元論の限界が問われるようになり、東洋の知恵に改めて注目が集まっています。
内観療法は、症状や問題行動にあえて焦点を当てず(症状不問)、患者さんの固定化した視点を転換させることにより治療効果を生み、治療の結果、認知が修正され精神症状・身体症状が改善するのみならず行動や生活・生き方が変わるという点が特徴です。
内観療法は、1940年代に吉本伊信が「身調べ」という浄土真宗の修行法をもとに開発した自己洞察法「内観」を1960年代から医療へ応用した治療法です。
内観研修所に1週間宿泊する「集中内観」を基本とします。内観者は、和室を屏風で区切った四隅にこもり、これまで自分に関わりの深かった方々(母、父、配偶者、兄弟・姉妹、恩師・先輩・後輩など)に対し、過去の自分の言動を内観3項目(1)お世話いただいたこと、2)して返せたこと、3)ご迷惑かけたこと)に基づき3-5年毎に省みる作業を行います。1-2時間毎に面接者が訪れ、その時間に調べた内容を3-5分間の面接により検証します。1週間の「集中内観」を終えた後は、日常生活へ戻りますが、「日常内観」として自主的に「内観」を行うことが勧められます。従って「集中内観」は「内観」の入門と言えます。
この治療で改善できる病気
人間関係の不和を誘因とした、不登校、出勤困難、神経症、うつ病、依存症、心身症などが対象となります。
この治療を受ける利点
「内観」が深まるにつれ、過去のあらゆる体験を「素直」に受容し、自己の価値を覚え、生きる喜びを覚えるようになります。さらに、恨んでいた方々へも感謝の気持が芽生えるようになり、自他に対する否定的なこだわり、「我執」から解放されるようになります。
さらに詳しく知りたい方へ
書籍
- 内観療法 / 三木善彦, 真栄城輝明, 竹元隆洋編著 京都 : ミネルヴァ書房, 2007.10 心理療法プリマーズ
- 心理療法としての内観 / 真栄城輝明著 大阪 : 朱鷺書房, 2005.3
- 内観法 : 実践の仕組みと理論 / 長山恵一, 清水康弘著 東京 : 日本評論社, 2006.7
内観―理論と文化関連性 / 村瀬 孝雄著 東京 :誠信書房, 1996.2 心自己の臨床心理学3
Webサイト
文責:
精神・神経科
最終更新日:2017年1月24日