頭蓋の再建
とうがいのさいけん
概要
頭蓋骨は脳を外力から守る非常に大事な臓器です。しかし交通事故などの外傷や、脳腫瘍摘出術などで頭蓋骨の一部がなくなってしまうことがあります。すると、外見上、その部分がくぼんでしまうだけでなく、脳を保護するものがなくなり、非常に危険です。そのため退院後も安心して生活が営めるように、脳を保護する新しい頭蓋骨(あるいはそれに代わるもの)が必要となります。このように新しい頭蓋骨を作ることを「頭蓋再建」と呼びます。脳腫瘍の場合などは切除と再建を同時に行います。当院では頭蓋再建には脳神経外科と形成外科とが連携し、治療にあたります。
治療
骨を再建する材料としては自分の骨を使う方法とチタンやハイドロキシアパタイトといった人工の骨を使う方法とに大別されます。それぞれにメリット・デメリットがありますが、基本的には患者さんの病態にもっとも適したものを選択します。
- 自家骨
自分の骨を使用するために異物反応は全くないことが最大のメリットです。採取部位として頭蓋骨、肋骨、腸骨などがありますが、欠損部の範囲があまりに大きいとこの方法は使用できません。また採取するのに時間がかかりますので、その分、手術時間は長くなりますし、採取する部位に傷をつけることになります。頭蓋骨に十分な厚みがあれば、2枚にうすく分けて半分を採取部位に戻し、もう半分で欠損部を覆う方法が有用です。 - 人工骨
自家骨では覆いきれないほどの大きな欠損などにも対応できます。代表的な人工骨の材料としては金属の一つであるチタンや、骨を構成する要素であるハイドロキシアパタイトなどがあげられます。人工骨を用いる場合、手術の前にあらかじめ綿密な打ち合わせを行い、欠損部を決定して、その部分にぴったり合う人工骨を作成します。そのため自家骨のときのような「採取」が必要ないため、手術時間が短縮されます。デメリットとしては非常にわずかではありますが、アレルギー(拒絶反応)の方がいること、また感染を引き起こした場合には摘出せざるを得なくなります。
慶應義塾大学病院での取り組み
当院では他院で手術を行った後の頭蓋欠損や、頭蓋再建後の変形、異物が露出して傷がふさがらずに困っているといった方の治療も行っております。
ご相談のある方は、下記外来にてご相談ください。
担当:形成外科:坂本好昭(木曜午前・土曜午前)、頭蓋顎顔面変形外来(金曜午後)
文責:
形成外科
最終更新日:2017年1月23日