菌状息肉症
症状
皮膚に生じる悪性リンパ腫です(図1)。初期には様々な大きさの赤い斑が、体の様々な部位に生じます。発疹は一様ではなく、大きさも・かさつき・色調も患者さんによって異なります。痒みはないことが多く、まれに乾癬として治療されていることがあります。このような発疹の時期は数年から数十年続き、症状は時間に伴って変化します(紅斑期)
。
赤い斑は徐々に厚さを増すようになり、触ると硬く感じるようになります(扁平浸潤期、へんぺいしんじゅんき)。さらに進行すると、発疹の中にしこりを生じたり、出血したり、潰瘍になったりします(腫瘤期、しゅりゅうき)。この時期は数ヶ月から数年続きますが、進行すると内臓に広がり、臓器症状や発熱、倦怠感、体重減少などがみられます(内臓浸潤期、ないぞうしんじゅんき)。
図1.背部に発疹が広がる菌状息肉症
診断
菌状息肉症の診断は、皮膚の組織を一部とることにより、顕微鏡で調べて確定します。病気の進行度を調べるために、画像検査や骨髄検査も行います。
治療
病気の進行はゆっくりですが、いまだに根治的な治療は確立されておらず、病期に応じて適切な治療を行います。紅斑期や扁平浸潤期には、おもにステロイドの外用療法、定期的に医療用の紫外線を当てる光線療法がよく用いられます。慶應義塾大学病院においては入院での光線療法も行っています。腫瘤期になると、放射線療法やインターフェロンの点滴または局所注射、化学療法が行われます。当院においては、特殊な放射線治療法である全身皮膚電子線照射療法も行っています。内臓浸潤期においては、主に抗がん剤による治療を行います。
生活上の注意
生活上の制限はなく、とくに注意することはありません。
慶應義塾大学病院での取り組み
当科では主に扁平浸潤期や腫瘤期の光線療法や放射線療法を目的とした入院治療のほか、腫瘍外来・光線外来での外来光線療法を行っています。進行期の化学療法を含め、各病期に対して治療を行っており、放射線科、血液内科とも連携しています。
文責:
皮膚科
最終更新日:2017年3月24日