単純X線
概要
X線写真(別名:レントゲン写真)は、骨折や肺の画像診断として一般的によく知られている検査法です。全身どこでも簡便に撮像することが可能であり、医療現場では汎用されています。CTやMRIなど、種々の画像診断が発達した現在においてもその重要性は失われていません。
所要時間
数分程度です。
検査の実際
撮像する身体の部位、臓器をできるだけフィルムに近接させます。位置を決めたらじっと動かないようにします。放射線技師がX線を照射して撮像します。
検査の目的
- 骨:骨折(頭部、頚部、四肢)、関節(肩、肘、手、膝、足など)、脊椎の診断。
- 歯科:歯も骨の一種であり、歯科診療でも頻繁に用いられています。
- 胸部:呼吸器疾患(肺炎、肺癌、肺結核、胸水、気胸など)、循環器疾患(心疾患、循環器動態の把握)、大血管(大動脈瘤)の診断。
- 乳腺:乳がんの診断
- 腹部:消化器(腸閉塞)、結石(胆石、腎結石、尿管結石など)、腹水の診断。
原理
被写体にX線を照射し、透過したX線をフィルムに焼き付けることによって画像が得られます。近年は、フィルムの代わりに透過したX線の情報をデジタル化して画像表示することが可能となり、慶應義塾大学病院でもデジタル化された画像が使用されています。
身体の各臓器によってX線の透過度が異なり、臓器によって描出のされ方が異なります。X線の透過度が高い組織は空気(肺、消化管ガス)や脂肪であり、画像では黒く表示されます。透過度が中程度の組織は水(胸水、腹水、尿)、軟部組織(脳、腹部臓器、筋肉など)であり、画像では灰色に表示されます。透過度が低い組織は石灰化(胆石、腎結石など)、骨であり、画像では白く表示されます。透過度の差がコントラストとなってX線写真の正常構造や病変が描出されます。
よくある質問
質問1 放射線被曝の心配はないの?
回答1 一般的なX線写真の撮像では健康に影響を及ぼすほどの被曝はありません。
質問2 妊娠の可能性があるときに検査を受けて大丈夫?
回答2 通常のX線検査の被曝量では胎児に奇形などの影響を及ぼさないことが判明しており、心配はないとされています。しかしX線を用いた検査であるため、原則として妊娠可能な年齢の女性では、妊娠の可能性がない日に受けることが望ましいです。
文責:
放射線診断科
最終更新日:2018年2月23日