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停留精巣

ていりゅうせいそう

概要

停留精巣(ていりゅうせいそう)とは、精巣が陰嚢内に降りていない状態のことです。胎児期に腹腔内にある精巣が陰嚢内に降りてくるのですが、その下降のプロセスが停止した状態です。陰嚢部よりも上に精巣が位置する場合、温度が2~3℃高い位置で放置されることとなり、精巣機能が低下して不妊の原因になります。また、精巣捻転のリスクが高いともいわれています。精巣がんが発生した際にも発見が遅れてしまうリスクを持っています。発生頻度は出生時は3~5%、3ケ月時は1~2%といわれています。早産児や低出生体重児に多いです。

病因

アンドロゲン(テストステロン)、その他の物質の関与が病因として疑われていますが、詳細は不明です。

診断

精巣を触れないことで発見されることが多いです。
分類法として、精巣が触知(触ってわかる)されるか、触知されないかで分けます。触知精巣は真性停留精巣と移動精巣に分類されます。また真性停留精巣は精巣の位置により下方からa) 陰嚢上部、b) 鼠径管内、それより上方では精巣が触知できないので非触知精巣と呼びます。非触知精巣は、腹腔内精巣と精巣無形成とに分類されます。
触知できるものでも移動性精巣の場合は手術が必要ではなく経過観察とします。移動性精巣の場合、入浴時や睡眠中は陰嚢まで下がっていることが多いので注意深く観察してください。

検査

超音波検査では精巣の位置、サイズ、内部エコー、血流などの評価を行います。術前、術後の変化を診る上で重要な検査です。 MRIの検査は腹腔内精巣を疑うような場合に施行することがあります。触知精巣では必要ありません。

ホルモン検査としては、男性ホルモンなど精巣から分泌されるホルモンの計測を行うことで、精巣機能を評価します。小児科の代謝班に依頼して施行してもらいます。

治療

(真性)停留精巣では精巣固定術が行われ、移動性精巣であれば経過観察とします。 非触知精巣の場合、腹腔内精巣、精巣形成不全、精巣無形成を考えておく必要があるために、腹腔鏡にて腹腔内を観察する必要があります。

精巣固定術

鼠径部に皮膚壁に沿って2cm大の横切開をおいて、この創口から精巣を出して操作を行います。基本的には精巣を上から固定しているものは精管(精子の通る管)、精巣動脈、精巣静脈ですがこの束をそれぞれ3本に分け、周囲の組織からはがします。この上からの引っ張りが解けて、陰嚢内に届くようになれば、精巣を陰嚢下部に皮下ポケットを作り、固定します。

手術する理由

  1. 妊よう性 (生殖能力)
    12ヶ月以降に生殖機能の発達に障害が出てきます。温度差(位置が高いと温度が高い)が影響して障害が出るのではないかと考えられています。
  2. 悪性腫瘍
    精巣が悪性化する危険性が高いです。
  3. 美容的な外観

手術の時期

上記、妊よう性の問題から、手術時期は早い方が望ましいのですが、手術の技術的な面との兼ね合いで決めます。2歳までに手術をすることが望ましいとされています。慶應義塾大学病院では、原則として18ヶ月までに手術を組みます。当院での入院加療は原則、手術前日に入院、手術翌日に退院となります。

文責: 小児外科外部リンク
最終更新日:2020年10月15日

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