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早期肺癌に対する定位放射線治療 -放射線治療科-

はじめに

近年、検診機器の発達に伴い、早期肺癌と診断される患者さんが増加しています。早期肺癌とは、Ⅰ期に分類されるリンパ節転移のない肺に限局した病変で、大きさ(3cm以下か3~5cm)や気管分岐部からの距離などによりⅠa期とⅠb期に分けられます。標準治療は手術であり、病気がある部位の肺葉を切除します。しかしながら、高齢であったり、心臓や肺の機能が低下している場合は手術困難と判断される患者さんも多くいらっしゃいます。このような方には、特殊な放射線治療の一つである定位放射線治療(以下SBRT: Stereotactic Body Radiation Therapy)で治療可能な場合も少なくありません。

SBRTでは、患者さんの固定器具に工夫を凝らし、照射時や照射間の体動を最小限にするとともに、患者さんの呼吸の動きを加味しながら照射します。照射範囲は可能な限り小さくします。 また、複数の方向から放射線照射を行い、周囲の正常臓器にかかる線量を抑制する一方で、腫瘍に対しては高い放射線量を投与することができます (図1)。

図1 複数方向から放射線照射し、腫瘍に線量を集中させます。

図1 複数方向から放射線照射し、腫瘍に線量を集中させます。

従来の放射線治療よりも高線量を腫瘍に集中させることが可能であり、制御率も大幅に改善しました。特にこの10年間では、我が国を始めとし、先進国では盛んに臨床応用されている技術です。多くの報告では、手術に匹敵する成績がみられています。当院でも1990年代後半よりこの治療法を行っており、現在までに延べ300人程が治療を受けています。

特殊外来のご案内

定位放射線治療の特殊外来は水曜日午前に関医師が担当します。完全紹介制となっていますので、当院呼吸器内科・外科や他病院で診断を受けた後、適応があると考えられた患者さんを紹介して頂いております。当科診察にて最終的な適応を判断させて頂きます。
但し、以下のような場合で施行できないこともありますので、注意が必要です。

  • 間質性肺炎がある方→ 間質性肺炎を悪化させ、急激な呼吸機能の低下を招く危険性があります。
  • 腫瘍と心臓・食道・横隔膜などの臓器が近接している場合→ 正常臓器への過線量により心筋梗塞を含む心機能障害、食道炎や穿孔、腹部臓器への影響が懸念されます。

適応があると判断した場合、治療の予定を組みます。実際の治療は準備を含めて5日前後で行います。

治療の流れ

初日に治療の準備を行います。まずX線透視にて、患者さんの呼吸に伴う腫瘍の動きを観察します。腫瘍の動きが1cm以上ある場合、呼吸同期を行い、患者さんが息を吐いたときだけ照射する特殊な照射方法を用いるためです。このとき、患者さんの呼吸変動が十分に少ないと判断した場合は、呼吸同期は行いません。

図2 特殊なフレームにより患者さんを固定し、CT画像を取得。

図2 特殊なフレームにより患者さんを固定し、CT画像を取得。

図3 赤外線マーカーをカメラが感知し、呼吸による腹壁の動きを観察。

図3 赤外線マーカーをカメラが感知し、呼吸による腹壁の動きを観察。

その後にボディーフレームと呼ばれる型を作成します。これは患者さん個人個人に併せて作成し、毎回の治療時には同じ型を使用します。同じ型を使用することにより、寝る体勢にずれがなく、患者さんを毎回同じ位置に合わせることが可能になります。この状態で数回CT画像を取得し、様々な呼吸状態での実際の腫瘍の動きを加味した治療計画を作成します (2、3)。準備には通常1時間程度要します。

治療

治療は準備同日の夕方、もしくは翌日から開始します。先に作成したボディーフレームに入り、浅い呼吸を続けてもらいます。治療計画時とおよそ同じ体位が再現できた時点で再度CT撮像を行い、治療計画と治療時のCT画像を融合させ、位置のずれがないように微調整を行います。また、計画した放射線のビームの投影画像と治療時画像の形状を比較し、ずれがないかを確認します(図4)。

図4 計画時のビーム形状(左)と治療時のビーム形状(右)。

図4 計画時のビーム形状(左)と治療時のビーム形状(右)。

位置合わせが完了したら、治療を開始します。治療装置は体の周囲を回転し、複数方向 (9-12方向)から照射します (図5)。治療時間は30分~1時間程度要します。腕を挙げて照射するので疲れることもありますが、体への負担は少なく(侵襲がないため)痛みを感じることはありません。治療はほとんどの患者さんが4回で終了しますが、大きさや部位、組織型などにより少し回数が増えることもあります。

図5 複数方向から放射線を照射。

図5 複数方向から放射線を照射。

治療後の経過観察

治療後は定期的に経過観察を行い、副作用や治療効果のチェックをします。軽度の肺炎が頻度的に多くみられる副作用ですが、画像で認めるのみで症状はなく一時的なことがほとんどです。また、腫瘍が胸郭に接している場合、胸膜炎や肋骨骨折をきたすこともありますが、ほとんどが時間経過とともに改善します。効果判定は最低でも数ヶ月以上かけて行います。定期的にCTを撮像し、臨床的に判断をします。以下に当院での治療例を示します (図6)。

図6 当院での治療例(T2aN0M0、Ⅰb期)。時間経過とともに腫瘍は縮小。

図6 当院での治療例(T2aN0M0、Ⅰb期)。時間経過とともに腫瘍は縮小。

関連リンク

KOMPAS「あたらしい医療」2013年9月 肺がん専門外来-呼吸器内科-

最終更新日:2013年12月1日
記事作成日:2013年12月1日

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