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医師主導臨床試験への取組み -血液内科-

はじめに

患者さんにとって、既存の治療法と比較して、より効果があり、より安全な新しい治療法が開発されることは、大きな利益になります。安全性や有効性が確認されてはじめて標準的な治療として確立されますが、これらを調べる方法が「臨床試験」です。その中でも医師主導臨床試験は、医師およびそのグループが中心となって行う臨床試験です。一般的には、製薬企業の行う治験とは異なり、非営利目的であり、薬の承認とは無関係で、エビデンス (証拠) を確立するための試験になります (図1)。当科では様々な造血器腫瘍の安全性や治療成績の向上を目指して臨床研究を行っています。なお個々の疾患の病態等については、当ホームページの「病気を知る>血液とリンパの病気」をご参照下さい。

図1

図1.臨床研究・臨床試験・治験の関係

慢性骨髄性白血病 (CML) に対するチロシンキナーゼ阻害剤 (TKI) による分子遺伝学的寛解達成後のTKI投与中止に関する検討

CMLは、TKIであるグリベックが登場し、多くの患者さんに対し、生存率の大幅な向上をもたらしました。しかし、一方で生涯服薬の必要があること、重篤な副作用や効果が得られないということで中止しなければならないことも生じています。その後、第2世代TKIであるタシグナやスプリセルが開発され、それらの患者さんに対応できるようになりましたが、生涯服薬する必要があることに変わりはありません。そのため、経済的な問題、結婚や妊娠、就労などについて、患者さんは多くの問題を抱えながら生活されています。そこでTKIを中止できないのかという課題が検討されるようになり、我々はグリベックなどのTKI中止試験を行っています。この研究を通じて、どのような条件がそろえば、TKIを中止しても病気が悪化しない可能性があるのかを検討しています。2年間以上、分子遺伝学的寛解を維持している患者さんでグリベックや第2世代TKIを中止して経過観察しています。

Plerixaforを併用した骨髄破壊的移植前処置による難治性造血器腫瘍に対する同種造血幹細胞移植の安全性と有効性の検討

Plerixaforは骨髄の間質細胞で産生されるSDF-1という物質の受容体であるCXCR4の阻害薬であり、間質細胞と造血幹細胞の接着を阻害することで骨髄から末梢血への造血幹細胞の動員する作用があります。この効果をもとに海外では自家造血幹細胞動員を効能として承認されています。正常な造血幹細胞だけでなくPlerixaforは白血病細胞などの造血器腫瘍細胞と間質細胞との接着を阻害することで、抗腫瘍薬に対する感受性を高めることが報告されています (図2)。一般的な造血幹細胞移植の前処置では、治癒を得ることが困難な難治性の急性骨髄性白血病 (AML)、急性リンパ性白血病 (ALL)、CML、骨髄異形成症候群 (MDS)に対し、通常の移植前処置で行われる放射線や大量抗腫瘍薬にPlerixaforを組み合わせることによって治療成績が向上するかを検討しています。

図2

図2.Plerixaforの作用機序

多発性骨髄腫(MM)患者に対する初回bortezomib (ベルケイド) + デカドロン 療法施行時のbortezomib薬物動態と治療効果および副作用の関連性に関する研究

MMにはいくつかの治療法がありますが、近年、ベルケイド + デカドロン療法により良好な治療成績が得られることが報告されています。しかしながら末梢神経障害(指先のしびれ)などの副作用による休薬、中止が必要になることもあります。そこで、ベルケイドの血中濃度を測定し、薬剤の効果や副作用と関連を研究しています。

Japan Adult Leukemia Study Group(JALSG)

JALSG(日本成人白血病治療共同研究グループ)は1987年に設立された多施設による白血病臨床研究グループです。白血病の治癒率ならびに治療の質を向上させることを目指して、国内の多数の施設が参加しており、当科もいくつかの試験に参加しています。

  1. CS-11試験
    新規に診断された全てのAML、MDS、慢性骨髄単球性白血病(CMML)を登録し、これらの疾患の5年生存率を検討するための前向き観察研究です。生存率の他に、年齢、性別、病型スペクトラムなどを解析します。
  2. AML209-GS試験
    染色体異常およびAMLの予後に影響を及ぼす可能性が示唆されている遺伝子を網羅的に解析し、これらが予後に与える影響を検討します。将来的に、これらの分子病態に基づく個別化治療の確立が期待されます。
  3. CBF-AML209-KIT試験
    t(8;21)(q22;q22)、inv(16)(p13.1q22)といった染色体異常を有するAML症例を対象に、寛解後療法としてシタラビン大量療法を行った際のKIT遺伝子変異の有無による治療反応性の違いを検討し、シタラビン大量療法の最適な使用法を明らかにすることを目的としています。
  4. AML209-FLT3-SCT試験
    AMLで、予後不良因子とされているFLT3 internal tandem duplication (FLT3/ITD) 変異を有する症例を対象に、第一寛解期での同種造血幹細胞移植療法の有効性と安全性を評価することを目的とする試験です。

おわりに

それぞれの臨床試験には、病気の種類や進行の程度、また参加する時の健康状態などの参加基準があります。基準を満たして、同意が得られた場合に初めて、臨床試験に参加することができます。参加希望の方は、担当医とご相談下さい。

最終更新日:2013年5月1日
記事作成日:2013年5月1日

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