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ホーム > 最新の医療紹介 > 2011年8月 心房中隔欠損(ASD)のカテーテル治療 - Amplatzer septal occluder - -循環器内科-

2011年8月 心房中隔欠損(ASD)のカテーテル治療 - Amplatzer septal occluder -
-循環器内科-

慶應病院循環器内科では胸を切らずに、血管の中から心臓の様々な病気を直す、カテーテル治療を盛んに行っています。カテーテル治療で、すぐに思いつくのは狭心症、心筋梗塞といった成人病に対して行うステント治療ですが、最近では先天性心疾患といった、生まれつきお持ちの状態に対して行う治療も、とても発展しています。今回はそれらの中でも画期的な、心房中隔欠損症の治療をご紹介します。

イラスト1

心臓には四つの部屋があります。右側の二つの部屋(右心房、右心室)には黒い血(静脈血:全身に酸素を配り終わって心臓に帰ってきた血液なので赤黒く見えます。)が流れます。左側の二つの部屋(左心房、左心室)は、肺で酸素をいっぱい受け取った赤い血(動脈血)が流れるようになっています。右側の部屋と左側の部屋の間には、壁があって、静脈血と動脈血が混ざらないようになっています。

イラスト2

心房中隔欠損症は、うまれつきこの壁に穴が空いている状態です。そのため、左側のお部屋を流れる血液と、右側のお部屋を流れる血液が混ざってしまいます。そうすると、全身に酸素がいっぱい含まれた動脈血を配る働きをしている心臓としては、能率が悪くなります。健康な心臓なら100の力を出せば十分なのに、心房中隔欠損症の心臓は150以上の力を出さないと、全身に十分な血を配ることができないのです。

イラスト3

そうはいっても、心臓は文句を言わず頑張って働いてくれます。ですから、多くの方は大人になるまで症状が出ません。空いている穴の大きさにもよりますが、50歳頃になってくると、だんだん心臓が疲れてくるため、息切れやドキドキする感じが現れて来ます。

心房中隔欠損症の治療が必要な方

穴が小さい場合は、穴を通して流れる血の量が少ないため、心臓にさほど負担もかかりません。治療が必要かどうかは、穴を通って流れる血液の量が多いか少ないかによって決まります。この量は、超音波検査(心臓エコー)で推定したり、心臓カテーテル検査で左右のお部屋の血液から採血をして、酸素の量を測ることによって、直接計算して求めることができます。

心房中隔欠損症の治療法

二つの治療法があります。ひとつは胸を切って行う外科手術、もうひとつが胸を切らずに行える、Amplatzer(アンプラッツアー)閉鎖栓を使ったカテーテル治療です。

イラスト4
イラスト5

アンプラッツアー(Amplatzer)閉鎖栓とは?

この治療では胸を切らずに、足の付け根の静脈(大腿静脈)から、細長く折り畳んだアンプラッツアー(Amplatzer)閉鎖栓とよばれる小さな道具を、穴の空いた壁のところまで送りこみ、穴をふさぎます。この治療のいいところは、足の付け根(そけい部)という目立たない場所から、ごく小さな皮膚の切開(数ミリ)で治療ができてしまうことです。

治療は全身麻酔で行いますが、治療時間は1時間半程度と短く、お体への負担も少ないため、治療後2~3日でご退院が可能です。日本では2005年から行えるようになり、現在約3000名の患者さんがこの治療の恩恵を受けています。海外ではすでに数万人の方が治療を受けています。

イラスト6:慶應の2011年度の患者さんご年齢分布

カテーテル治療の効果

イラスト7:レントゲン写真

レントゲン写真の説明文:
真ん中の白く見える部分が心臓です。両側の黒く見える場所が肺です。元気な心臓は小さく、疲れている心臓は大きくなります。
一番左側の写真は健康な方のレントゲン写真です。真ん中が心房中隔欠損の患者さんのものです。この方はほとんど症状がありませんが、心臓は大きくなっています。一番右側がこの患者さんの治療翌日のものです。治療翌日にはすでに心臓の負担が減り、大きさが小さくなってきているのがわかります。

アンプラッツアー(Amplatzer)閉鎖栓では治療が出来ない方

アンプラッツアー(Amplatzer)閉鎖栓はとても優れた治療法ですが、万能ではありません。壁に空いた穴の場所によっては治療ができない方もおられます。例えば壁の真ん中に小さな穴が空いている方では、この治療がとても向いていますが、壁の端っこ、たとえば天井に近いところに大きな穴が空いている場合は、この道具が上手くフィットしません。そのような場合は、外科手術が安全かつ効果的です。

ご入院の際

ふつうは3泊4日、あるいは4泊5日でご退院いただけます。ご入院されましたら手術担当医(河村朗夫)、麻酔担当医からより詳しいご説明をさせていただきます。私どもは循環器内科、心臓血管外科、小児科、麻酔科、臨床工学技師ほか、多くのスタッフによるチームを組んで治療を行っています。お分かりにならないことは、ご遠慮なく何でもお気軽にお尋ね下さい。

イラスト8

日常生活での注意点

ご退院後の日常生活には制限はありません。お仕事、散歩、軽いジョギングなどは問題ありません。ただし、一ヶ月間は激しい運動(バスケットボール、バレーボール、ラグビー、スキーなど)は避けていただきます。それは、転倒、ジャンプ後の着地などによる衝撃で、穴をふさいだアンプラッツアー(Amplatzer)閉鎖栓が外れてしまうことがあるからです。アンプラッツアー(Amplatzer)閉鎖栓は数ヶ月かけて膜で覆われて、心臓の一部になります。治療後一ヶ月以降は、膜がかなりついてきて安定しますので、運動しても大丈夫です。

イラスト9

Q & A

Q 治療による痛みはありますか?

A 治療は麻酔下に行われますので治療中に痛みを感じることはありません。
治療後に麻酔がさめた時に、カテーテルを挿入した足の付け根に不快感があったり、経食道心エコーを入れながら治療を行うので、のどに違和感をおぼえたりすることがあります。これらは数日から一週間でおさまります。

Q 治療後にMRI検査は可能ですか?

A アンプラッツアー閉鎖栓は磁性がありませんので問題はありません。

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記事作成日:2011年8月1日
最終更新日:2011年11月14日

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