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ホーム > 病気を知る > 体にやさしい治療 > 前立腺がんに対する密封小線源療法(シード治療)

前立腺がんに対する密封小線源療法(シード治療)

ぜんりつせんがんにたいするみっぷうしょうせんげんりょうほう(しーどちりょう)

概要

前立腺がん密封小線源療法とは、放射線を出す小さなカプセル(図1)を前立腺内に永久的に埋め込む治療法です。シード線源から徐々に放出される放射線により前立腺がんを治します。

シード線源から放出される放射線のエネルギーは非常に低いため、治療に有効な放射線は数mmしか届きません。この性質を利用して前立腺に集中して放射線をあてることができ、前立腺内のがんに対しては高い線量を与えつつ、周りの正常臓器(直腸、膀胱など)の線量は低く抑えることが可能です。高い治療効果と少ない副作用を両立させた治療法として期待されています。

図1

図1

この治療を受けることができる患者さん

基本的にがんが前立腺内にとどまっている患者さんが治療対象となります。前立腺の外側にがんが大きく広がっていたり、骨やリンパ節などに転移がある場合はこの治療を受けることができません。
また、以下のような場合にはこの治療が受けられない可能性があります。

  1. 前立腺が大きい場合
    前立腺が大きすぎると技術的に困難な場合があります。このような場合、前立腺を縮小させる目的で術前にホルモン療法を3~6ヶ月程度行います。それでも十分に縮小しない場合、この治療を受けることができない可能性があります。
  2. 前立腺肥大症の手術を受け、前立腺が大きく削られている場合
    前立腺が大きく削られているとシードを適切に留置することが困難となり、この治療を受けることができない可能性があります。
  3. その他
    麻酔を含めたこの治療を確実に、安全に実施できないと判断される場合。

治療の実際

  1. 治療の準備
    シード治療日の約1ヶ月前に外来で超音波の検査を行います。肛門から超音波の器械を挿入し、前立腺の正確な大きさ・形を測定します。この検査の結果をもとに必要なシードの個数を決定し、発注などの準備をします。
  2. シード治療
    身体への負担が少ないため、入院は基本的に3泊4日です。治療前日から入院し、翌日に治療を行います。当院では原則的に麻酔科医師による全身麻酔で治療を行います。治療時間は1時間~1時間半程度です。
    この時も肛門から超音波の器械を挿入し、その画像を確認しながら前立腺の適切な位置にシードを50~80個配置していきます。治療は泌尿器科医師と放射線治科医師が協力して行います。シードを前立腺内に挿入するために会陰部(陰嚢と肛門の間)から針を20~25本刺しますが、少量の出血ですみます(図2)。
図2

図2

  1. 手術当日はベッドの上で安静ですが、基本的に翌日から食事や歩行が可能となります。
  2. 退院後
    退院後は外来で定期的に経過観察を行います。
    シード線源が血流などにより、肺など前立腺の外に移動することがあります。通常、これによって問題が生じることはありませんが、シード線源の移動がないかレントゲンで確認します。また、約1ヶ月後にCTを撮影して線源の配置、線量分布を確認します。

併用療法

PSAの値、グリソンスコア(がんの組織学的悪性度)、がんの大きさなどからシード治療のみでは効果が不十分と予想される場合、外部照射やホルモン療法を組み合わせることがあります。その際の外部照射は高精度な強度変調放射線治療(Intensity Modulated Radiation Therapy: IMRT)にて行います。

副作用

主な副作用は排尿障害、直腸障害、性機能障害です。

  1. 排尿障害
    最も多い副作用です。治療後早期に頻尿、尿意切迫感、排尿困難感、排尿時痛、血尿などが出現することがあります。尿失禁が起こることはまれです。これらの症状は数ヶ月~1年程度で大半が改善しますが、回復するのに2~3年かかることもあります。 その他、シード治療後早期の前立腺のむくみが原因で一時的に尿が出なくなる(尿閉)ことがあります。
  2. 直腸障害
    治療後数ヶ月の間、一時的に排便回数が増えたり、排便困難感、血便、肛門痛などが生じることがありますが、その頻度は多くありません。 治療後半年以上たってから、直腸から出血がみられることがあります。多くの場合、そのまま様子をみるだけで治まることが多いですが、症状の程度により処置が必要なことがまれにあります。出血が生じる場合は2年以内が多く、5年以降で生じることはまれです。
  3. 性機能障害
    他の治療法(手術、外部放射線治療、ホルモン療法)と比較して、性機能(勃起能)の温存率は高いといわれています。

放射線の影響について

この治療で用いられるヨウ素(I-125)から生じる放射線のエネルギーは非常に低く、そのほとんどが前立腺内で吸収されてしまいます。シード線源以外から放射線がでることはないので、尿、便、汗、唾液などの分泌物から放射線が発生することもありません。周囲の人々への放射線量は、人が自然に受けている放射線量より低いことがわかっています(表1)。

表1

日常生活における放射線被ばくの例

飛行機(高度12,000m)

0.005mSv/時間

ニューヨークへの航空機旅行(往復)

0.19mSv

年間自然放射線の県別平均値の差(高い岐阜 vs 低い神奈川)

0.4mSv

胸のX線集団検診(一件当たり)

0.05mSv/件

胃の集団検診(一検査当たり)

0.6mSv/件

胸部CT検査

6.9mSV/件

I-125小線源治療退出基準(体表から1m)

0.0018mSv/時間以下

出典:資源エネルギー庁 原子力2007 国連環境計画「放射線その線量・影響・リスク」

妊娠されている方や小さなお子さんと同じ部屋にいることは問題ありませんが、長時間隣に座ったり、膝の上に乗せたり、添い寝したりすることはしばらく避けて下さい。周囲の人々に与える影響は極めて少なく安全です。治療後2ヶ月で放射線の量は半分に減り(半減期59.4日)、1年後にはほぼゼロになっています。

治療後1年以内に死亡された場合は、解剖により前立腺ごとシードを取り出すよう定められています。このため、治療後1年間はシード治療を受けたことを記載したカードを常に携帯していただくことになります。

文責: 放射線治療科外部リンク
最終更新日:2016年11月29日

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