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ヒトパピローマウイルス(HPV)感染

ひとぱぴろーまういるす(HPV)かんせん

概要

ヒトパピローマウイルス(HPV: Human papillomavirus)は生涯でほとんどの女性が感染するといわれていて、感染が珍しいわけではありません。感染しても、そのほとんどが自覚症状もなく、身体の持つ抵抗力(免疫の作用)でウイルスが排除されると言われています。現在まで解明されていない機構によりごく一部の人はウイルスを排除できず、ウイルス感染が持続することで病気になると言われています。HPVが引き起こす病気としては、疣(いぼ)や性器コンジローマ、喉頭乳頭腫などの良性病変や子宮頸がん、腟がん、外陰がん、喉頭咽頭がん、肛門がん、陰茎がんなどの悪性腫瘍病変があります。女性のがんの場合、HPV持続感染に関連する発がんは約10%と見積もられています。特に子宮頸がんは世界で年間50万人が罹患しているといわれ、女性がんの中では3番目に多いがんであることから注目されています。

これまでの研究で、子宮頸がんの実に99%が、HPVの持続感染が原因で生じる異形成(前がん病変)を経てがん化することが明らかになってきました。HPVは現在100種類を超える型に分類されていますが、その全てが子宮頸がんの原因になるわけではありません。主に子宮頸がん発生に関連するHPVは14種類(16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、66、68)であるとされハイリスク型と呼ばれています。このほかに良性病変である疣やコンジローマの原因となる2種類の型(6、11)の感染が日常の診察上で問題となります。

なお、これから説明するHPV検査は、がん化する能力を有するハイリスク型のHPVを検出することにより、がん化するリスクが高いか低いかを調べる検査です。また、子宮頸がん予防ワクチンは、ハイリスク型HPVの中でもがんでの検出頻度が特に高い16型と18型の感染を予防するものです。

診断

HPV検査にはグループ検査と型判定検査の2種類があります。いずれの方法においても子宮頸腟部から細胞を採取して検査を行うものです。

グループ検査とは子宮頸がんの発生に関連の深い14種類のHPV感染の有無を判定する方法です。14種のいずれかの型に感染していれば陽性と判定されますが、型を同定できるわけではありません。なお、最近は特にがん化の危険が高いとされている16型と18型は個別に感染を判定し、その他のハイリスク型は感染の有無だけをグループ検査として判定する検査方法も保険収載され、広く実施されています。一方、型判定検査は13種類のどの型に感染しているのかを検出する方法です。

グループ検査は子宮頸がん細胞診検査にてASC-USと判定された場合の次のくわしい検査の一つとして保険適用となります。ASC-USとは「意義不明な異型扁平上皮細胞」と訳されますが、分かりやすく言うと、「異常として精密検査にまわすべきなのか、正常な所見として経過観察でよいのか判断に困る細胞」のことです。検診などで採取した検体の中には異常とも正常とも判定に困るものが出てきます。これがASC-USです。

従来はこのような疑わしい結果であれば、すべての人を精密検査にまわしていました。しかしながら、先ほど示しましたように子宮頸がんの99%はハイリスクHPVが原因です。顕微鏡で見て異常か正常か判定できないASC-USと判定されても、HPV検査をしてハイリスクHPVに感染していなければがん化することはない、ということになります。このような場合、正常と判定し、精密検査は行わず通常の検診を定期的に受診することが推奨されます。一方、ハイリスクHPVが検出された場合、ASC-USであっても将来がん化する恐れがあるため、コルポスコープによる子宮頸部の観察と生検(バイオプシー)による精密検査が施行されます。

HPV型判定検査

一方、HPV型判定検査はグループ検査と異なり、どのHPV型が感染しているのかを調べる訳ですから、より精密な検査と言えます。ハイリスクHPV型とひとくくりでまとめても、それぞれのHPVは型によりがん化しやすさが違います。したがって異形成と診断された患者さんにおいてHPV型判定を行うことは将来の発がんリスク評価や病変の管理に有効と報告されています。また、子宮頸部円錐切除術後の再発リスク評価においても有効との報告があります。

HPV型判定検査の臨床的有用性については今後も蓄積されていくことが予想されますが、わが国では研究用試薬として販売されているものが多く、新しい検査試薬の有効性が現在も臨床試験で調査されています。慶應義塾大学病院婦人科では平成22年10月より体外診断薬として厚生労働省から承認を受けているHPV型判定検査(クリニチップ)を導入しています。本試薬は平成23年5月に保険承認されました。

表1.慶應義塾大学病院で採用している検査方法

検査法

商品名

検査結果

費用

保険
適用

グループ
検査

コバス4800 システムHPV

14種類のうち16型、18型、その他12種のHR の3つのカテゴリー分類

安い

あり(対象ASC-US)

型判定
検査

クリニチップ

14種類のいずれかの感染有無を調べるもので、HPV型判定を行う

高い

あり(対象 CIN1、CIN2)


HPV16,18,31,33,35,45,52,58の8種類が検出される場合には、厳重な経過観察が推奨されています(産婦人科診療ガイドライン CQ205)。年齢が30歳を超えた場合には自然退縮の頻度が低くなることから、厳重な経過観察が推奨されます。当科では、必ずコルポスコープや細胞診判定の状況で病変の広がりやその程度を推察し、クリニチップの結果単独ではなく、総合的な判断で観察期間を設定します。ただし、クリニチップの結果でハイリスクHPV陽性であると判明した場合には6ヶ月以内の子宮頸部のコルポスコープ検査および細胞診、それ以外は1年後の検査を推奨します。CIN2の経過が長い場合には、がん発生の予防という観点から蒸散術も推奨されます。このクリニチップ検査は組織診断にてCIN1・2と診断が確定された場合に保険適用で検査ができます。

クリニチップはCINに対して蒸散術や円錐切除術、さらには腺がんと診断されたものの、根治術を行っていない患者さんなどの予後判定にも有用と考えられていますが、現在のところ研究レベルの段階です。これについては自費で検査を行うことは可能です。

HPV感染予防ワクチン

現在販売されているHPV感染予防ワクチンは、HPV16,18型の感染予防に対する2価ワクチン(サーバリックス)とHPV16,18型だけでなく疣やコンジローマ発生に関連するHPV6,11型感染予防も可能な4価ワクチン(ガーダシル)の2種類です(表2)。ワクチン接種時期については性交渉を始める前に行うことが理想とされ、9-16歳の時期に行うことが推奨されています。性成熟期の女性においても感染予防効果があることから接種することが望ましいとされています。このワクチンには治療効果はありません。したがって、すでに子宮頸がんや異形成といった前がん病変の治療目的としては使用されません。慶應義塾大学病院では中学生までは小児科外来、それ以降の年齢では婦人科外来にて接種を行っております。

接種は6カ月の間に3回行います。ワクチンを接種しても子宮頸がん発生に対する予防効果は70%程度と見積もられており、20歳以降では引き続き子宮頸がん検診を受けることをお勧めしています。ワクチン接種の前にHPV型判定を受ける有益性はないことから推奨しておりません。

HPV感染予防ワクチンは非感染性HPV―VLP(virus like particle)と言われ、ウイルスが産生するL1タンパク質を化学的に合成した製品です。ウイルス感染性はありません。このVLPを筋肉内注射することで、ウイルス感染に対する抗体を誘導し感染を防御します。

表2.HPVワクチンの種類

ワクチン種類

2価HPVワクチン

4価HPVワクチン

HPVタイプ

HPV16,18型

HPV6,11,16,18型

期待される予防効果

子宮頸がんの発生予防

子宮頸がんおよびコンジローマの発生予防

投与方法

3回 筋肉内注射(0,1,6ヶ月)

3回 筋肉内注射 (0,2,6ヶ月)


当院での専門外来
婦人科では子宮頸部腫瘍外来(水曜午後)を開設しています。詳しくは担当医にお尋ねください。

関連リンク

文責: 婦人科外部リンク
最終更新日:2016年10月26日

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