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アミロイドーシス(amyloidosis)(リウマチ・膠原病内科)

あみろいどーしす

概要

アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれる異常蛋白質が脳、心臓、腎臓、消化管、神経など全身の様々な臓器に沈着し、機能障害を起こす病気の総称です。複数の臓器にアミロイドが沈着するものを、全身性アミロイドーシスといい、一つの限局した臓器にアミロイドが沈着するものを、限局性アミロイドーシスといいます。分類の詳細は心アミロイドーシス(循環器内科)の項を参照してください。

アミロイドーシスは原因となる蛋白質(例えば免疫グロブリンなど)が凝集して、アミロイド蛋白として臓器に沈着することで発病しますが、原因蛋白質からアミロイドが生じる過程についての細かなメカニズムは依然として不明です。

アミロイドーシスは、遺伝性のものと、非遺伝性のものとがあります。遺伝性のアミロイドーシス(家族性アミロイドポリニュロパチーなど)は、国内での罹患患者数は数百人程度といわれています。また、アルツハイマー病も一部遺伝性があることが知られています。

アミロイドーシスの患者さんの多くは非遺伝性のもので、 関節リウマチ強直性脊椎炎乾癬性関節炎、炎症性腸疾患、ベーチェット病、成人発症スティル病、全身型若年性特発性関節炎、血管炎症候群、キャッスルマン病、自己炎症性疾患などの慢性炎症性疾患や、結核、慢性骨髄炎などの感染症に続発するAAアミロイドーシスや、透析アミロイドーシス、加齢により生じるアミロイドーシスなどです。これらを合わせると数千人~数万人の患者さんがいると推測されています。また、近年は結核などの感染症の割合は減少し、リウマチ性疾患の割合が相対的に増加しています。

アミロイドーシスの経過は病型によっても異なりますが、徐々に症状は進行していきます。現在では病型によっては適切な治療法があり、また症状を抑えることができます。

症状

アミロイドーシスでは、アミロイド沈着が起こった臓器ごとの機能障害が起こります。全身性アミロイドーシスでは多臓器の障害がみられ、初発症状は全身の倦怠感、体重減少、貧血症状、浮腫などの非特異的な症状であることも少なくありません。

  1. 心臓の障害 (心不全症状や不整脈)
  2. 腎臓の障害 (ネフローゼ症候群や腎不全)
  3. 消化管の障害(下痢、嘔吐、便秘、腸閉塞、吸収不良症候群など)
  4. 末梢神経障害(多発するしびれ、麻痺、立ちくらみ、排尿の異常など)
  5. その他:舌、甲状腺、肝臓や脾臓の腫大や、皮膚の限局性肥厚など

診断

上記の症状を手がかりに、採血・採尿や画像検査、内視鏡など検査を行い、臓器障害を詳しく調べます。アミロイドーシスは原因蛋白によって病型が分けられており、この分類によって治療方針が変わってきます。そのため、血清アミロイドAの測定や、尿中免疫グロブリンの軽鎖測定、遺伝子検索を含む病型を分けるための検査も同時に行います。

アミロイドーシスと確定診断するためには、胃十二指腸粘膜や腎などの病変臓器の組織を一部採取する検査(生検)を行う必要があります。そして、顕微鏡でアミロイド沈着が確認された場合、アミロイドーシスと診断されます。

治療

アミロイドーシスの対する治療は、以下の2つに分けられます。

  1. アミロイド沈着過程を修飾する治療(抗アミロイド療法、根本療法)
  2. 臓器症状に対する対症療法

これまでは各々の症状に対する2の対症療法が中心でしたが、アミロイドーシスの種類によっては根治的治療法が発展してきたものがあります。

例えば、家族性アミロイドポリニューロパチーに対する肝臓移植、免疫グロブリンの沈着によって起こるALアミロイドーシスに対する自己末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法などです。

また、AAアミロイドーシスの病因はアミロイドAですが、その前駆蛋白である血清アミドイドAは炎症性サイトカインのインターロイキン(IL)-6によって主に肝臓で産生されます。このIL-6の働きを抑える薬剤であるトシリズマブ(アクテムラ®)という生物学的製剤によって血清アミロイドAの産生が強力に抑えられます。このIL-6阻害療法は今後のAAアミロイドーシス治療の主流になっていくと予想されています。ただし、現在時点でトシリズマブ(アクテムラ®)はアミロイドーシスに対して保険適応なく、関節リウマチや全身型若年性特発性関節炎、キャッスルマン病、高安動脈炎、巨細胞性動脈炎の治療薬としてのみ保険が適応されます。

生活上の注意

障害されている臓器により、生活上の注意点も変わってきます。消化管や腎臓の機能に異常がある場合、食事に制限を受ける可能性があります。

慶應義塾大学病院での取り組み

病型や障害臓器によって、多数の診療科が共同して治療にあたります。当院リウマチ・膠原病内科では、関節リウマチなどに合併するAAアミロイドーシスに対する治療に取り組んでおります。

さらに詳しく知りたい方へ

文責: リウマチ・膠原病内科外部リンク
最終更新日:2019年3月5日

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