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アトピー性皮膚炎

あとぴーせいひふえん

概要

アトピー性皮膚炎は、小児ではその10%程度がかかっているとされますが、成人になるにつれ、軽快していく傾向があります。しかし、成人してから再発する患者さんも多く、社会的に大変注目されている病気の一つです。治療面を中心に一時混乱した時期もあり、いったいアトピー性皮膚炎とはどういう病気なのかについて知ってもらいたいと思います。

アトピー性皮膚炎とは(診断)

アトピーとは奇妙な、とらえどころのないという意味の言葉です。その言葉の通り、なかなかはっきりしない病気ではあります。痒みのある湿疹が繰り返し出現します。ご自身あるいはご家族が気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎を持っていることが多く、また、IgEというアレルギーに関する抗体を持っていることが多く、そのような性質はアトピー素因と呼ばれています。
日本皮膚科学会で決めた診断基準では、痒みがあること、特徴のある発疹とその分布、慢性的に繰り返す経過が三つの大きな基準になっています。ですから、検査によって診断が決まるというのではなく、あくまでも症状、経過によって診断されます。繰り返す期間については、乳児では2ヶ月間、その他では6ヶ月間以上とされています。

症状

図1

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大多数は乳幼児の頃に発症するとされています。海外のデータでは50%が生後1年までに発症し、残りの30%は5歳までに発症しています。
乳児では、顔、頭に発赤が生じ、かさかさ皮膚がむけてきたり、かさぶたのように付着物が生じます。さらに少し遅れて体、手足にも広範囲に乾燥、赤みが出てきます。いずれも痒いのが特徴です。耳切れといわれる、耳の付け根の部分に亀裂がしばしば生じてきます。
成長とともに体の皮膚では、毛穴に一致して軽く盛り上がり、ざらざらしたような感触を与える乾燥皮膚がはっきりしてきます。さらに肘の前、膝の後ろにはっきりとした湿疹の局面が出てきます(図2)。
成人になると、顔や上半身の発疹が主になってきます。首には、しわに一致して色素沈着が目立ってきます。
アトピー性皮膚炎以外の湿疹との区別は、一つは左右対称に出てくることが多く、広範囲である点です。もう一つはアトピー皮膚といわれる乾燥皮膚を全体的に持っていることです。

図2

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原因

病因については、皮膚の乾燥とバリア機能異常という皮膚の生理学的異常があり、そこに様々な刺激反応およびアレルギー反応が関わり、慢性の炎症が生じるとされてきました。最近、アトピー性皮膚炎及び喘息の一部の患者さんにおいて、フィラグリン遺伝子の変異が存在することを明らかになりました。

皮膚の最外層は角層といい、人の体を保護し、水分の侵入や侵入物に対する防御を行っています。この働きはバリア機能と呼ばれます。皮膚の細胞は細胞分裂し成熟しながら、上層へ移行していき、角層を形成し、最終的には剥がれ落ちます。これを角化と呼びますが、フィラグリンというのは、角層が形成される際に重要な役割を果たしているとされるタンパク質です。また、分解されたアミノ酸は、保水作用を有し、天然保湿因子と称されます。この発見によって、アトピー性皮膚炎は、遺伝子異常により、フィラグリンの機能障害がおこり、その結果、皮膚のバリア機能が障害され、外界からの様々な物質に慢性的にさらされ、免疫反応が持続的におこる結果皮膚炎が生じ発症するという考え方が示されました。遺伝的な要因による皮膚の構造異常自体が結果的に免疫異常を誘導するという新しいアトピー性皮膚炎発症機序の概念が示されたわけです。

アトピー性皮膚炎は湿疹・皮膚炎群の一疾患に数えられますが、他の湿疹との大きな違いであり、診断の根拠となっているのは、アトピー皮膚(アトピックドライスキン)と呼ばれる乾燥した皮膚の存在です。アトピー皮膚の成因については、角層細胞の間を接着させている脂質の主たる構成成分であり、水分保持に重要な役割を担っているセラミドの減少が指摘されておりました。角層細胞の間の異常に着目していたわけですが、フィラグリンの変異ということから、新たに角層細胞自身の異常が考えられるようになったのです。

図3

図3

バリア機能障害があるところに様々な刺激、アレルギー反応を引き起こす因子が加わります。成人ではヒョウヒダニとよばれる非刺咬性ダニなどの環境アレルゲンとの関係が主に言われています。成長とともに消失することが多いのですが、幼小児では食物のアレルギーなど関係することもあります。他にも様々なものが悪化因子となり得ますが、個人差があります。

図4

図4

診断

検査
診断の参考、悪化因子の検索、治療の効果判定の補助のために検査を行います。

1.総IgE値

アトピー素因としてあげたIgEですが、アトピー性皮膚炎の患者さん全体としてみると、7-8割の方で上昇しています。状態が悪い方ほど、IgEは高くなる傾向はありますが、2-3割の方は正常です。個々の患者さんでみると、必ずしも病気の状態に比例しないことも多く、長く病気にかかっている方では結果として増えてしまっているというようにもとらえられています。従ってIgEの値が上がったからといってがっかりする必要もなく、また下がったからといって治ったとはいえないのが正直なところです。あくまで参考値として考えていきましょう。

2.RASTスコア

アレルゲン(アレルギーの原因物質)の検索で行われる検査で、各アレルゲン別のIgEスコアであり、0~6の7段階にスコア化されています。悪化因子の一つの目安として考えましょう。
総IgEの高い患者では多くの抗原に対してRASTスコアが上昇することがあります。その際にはすべてが病気を悪化させているとは考えがたく、一般的にはスコアが4以上のものに注目します。

3. 一般血液検査

白血球の一つの種類である好酸球の白血球全体の中での割合を測定します。これは皮疹の程度に比較的比例し、治療効果の目安となります。
LDHあるいはLDと記載されます乳酸脱水素酵素も上昇することが多く、発疹の状態と比較的よく比例します。(この酵素は健康診断などでは肝臓機能の項目に入っています。アトピー性皮膚炎の方で皮膚の調子が悪い時に健診を受け、この酵素が高いので再検査が必要という指摘を受ける方がいます。ほとんどの場合、肝臓が悪いということではなく、皮膚の炎症のために増加しています。)

4. 食物負荷試験、食物除去試験

ある食物がアトピー性皮膚炎の悪化因子となっているのかどうかを調べるための試験で、実際にその食物を食べてもらい、皮膚の状態を観察します。そして、実際に症状が変化するようであれば、逆にその食物を除去することで症状が改善するかどうかを調べます。

治療

図5

図5

治療については、病態を考えた治療を行うべきとされます。すなわち、皮膚の乾燥、バリア障害と、加わる刺激、アレルギー反応が病因として考えられますので、それぞれに対し、乾燥しないように保湿し、皮膚の保護をしていくスキンケアと、悪化させる因子を探し、それに対する対策を講じていく事が重要です。もちろん薬をうまく使っていくことは当然です。この3つの柱で行う治療が日本での標準治療として、ガイドラインとなっています。

スキンケア

通常の石鹸を用い手で泡立てるようにして洗い、清潔を保ち、長時間ではなく入浴し、直後にヘパリノイド製剤、ワセリンなどのご自分に合った保湿剤を全体に外用します。

さらに湿疹病変などかゆいところには体ではステロイドの外用薬、顔ではタクロリムス軟膏などを主に使用します。抗アレルギー剤と呼ばれるかゆみ予防のお薬を内服してもらうことも多いかと思います。毎日毎日単調なことの繰り返しで、いやになってしまうこともあるかもしれませんが、皮膚が良い状態を継続していくことにより、悪化することが減っていき、外用薬も自然と手放せるようになっていきます。

悪化因子の検索、対策

ダニのアレルギーなどが血液検査で見つかった方などは環境面でのダニ対策、たとえば、じゅうたんカーペット類を減らし、部屋の掃除、空気の入れ替え、布団の乾燥などに気をつけていくことにより、さらに良い効果が生まれます。

慶應義塾大学病院での取り組み

月曜日午後にアトピー外来を設け、専門的な治療を行っています。また、水曜日午後に、生活指導を主たる目的としたアトピー生活指導外来を開いています。

文責: 皮膚科外部リンク
最終更新日:2011年12月28日

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