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パーキンソン病

ぱーきんそんびょう

概要

パーキンソン病は中脳にある黒質といわれる部分の神経細胞がなんらかの原因で少なくなり、身体の運動を調節している神経に命令を送るドパミンという物質が不足することにより発症すると考えられています。1817年に初めて報告された病気で、報告者の名前にちなんでパーキンソン病と呼ばれるようになりました。パーキンソン症状が出現する病気はたくさんありますが、その中で特徴的な所見があるパーキンソン病と、その他のパーキンソン症候群とに大きく区別されています。
パーキンソン病は40歳以後、とくに50~60歳以降に症状が出始め、典型的な症例では振戦(しんせん)、筋強剛(きんきょうごう)、運動緩慢、姿勢反射障害などの症状がみられます (このあと症状の項目で詳しく説明します)。これらの症状に、有効な薬が多くあります。
日本では、人口10万人あたり約120~130人の有病率で、65歳以上の方のみを考えると、さらに高いことが知られています。神経変性疾患ではアルツハイマー病に次いで多い病気です。糖尿病の有病率が人口10万人あたり400人、虚血性心疾患100人、悪性新生物80人といわれておりますので、決してまれな病気ではなく、比較的多くの患者さんがおられるといったほうが適切かもしれません。
病理学的には、主に中脳の黒質とよばれる部分や大脳基底核とよばれる部分の神経細胞に変性が見られ、神経細胞の数の減少と、レビー小体といわれる異常なタンパク質の蓄積が見られます。これはパーキンソン病に特徴的な病理所見ですが、発生機序についてはまだ解っていません。

概要

症候

パーキンソン病にみられる代表的な4つの重要な症候は、振戦、筋強剛、運動緩慢、姿勢反射障害です。その他にも自律神経障害、突進現象、歩行障害、精神症状などがみられます。しかし、これらの症候がすべての患者さんでみられるわけではありません。また、これらの症候は、左手、左足など左右のどちらかの側から出現するようになり、両側にあったとしても、左か右どちらかの症候がより強いというのが一般的な特徴です。病気の初期では、ここに挙げたような症候がはっきりと自覚されずに、以前に比べて上手く字が書けない、疲れやすいなどとして自覚されることもあります。
ここでは、代表的なパーキンソン病の臨床所見について詳しく説明します。

振戦(しんせん)

手、足、顎や頚部、体全体などにおこる「ふるえ」のことです。左右どちらかにより強いのが一般的です。ふるえがみられる病気は多くありますが、パーキンソン病のふるえは、安静にしていて動作をしていない時に強くふるえ、動作をすると軽くなったり、消失したりするのが特徴です。

筋強剛(きんきょうごう)

患者さん自身が気付く所見ではありません。例えば、診察で患者さんの腕を肘のところで曲げたり伸ばしたりした時に、医師が自分の腕に感じることができます。筋強剛とは筋肉の緊張が高まっている状態のひとつで、パーキンソン病では、ギコギコと歯車のように感じます。そのため、歯車現象と呼ばれており、他の病気と区別するためにも重要な所見のひとつです。

運動緩慢

動作が遅くなる症状です。普段の何気ない動作、例えば歩くのが遅くなったり、歩幅が小さくなったり(小刻み歩行)、食事動作、着脱衣、寝返りなど日常生活に支障をきたすことがあります。瞬きが少なく、仮面をかぶっている様な表情のない顔つき(仮面様顔貌)、小声で単調な抑揚のない話し方になります。以前に比べて字が下手になり、書くにしたがって文字が小さくなる(小字症)ことや、症状の進行に伴い食事の咀嚼(そしゃく)や飲み込みが遅く下手になるなどの症状が認められることもあります。

姿勢反射障害

人間の体は、倒れそうになると倒れないために姿勢を反射的に直す反応が備わっています。しかし、パーキンソン病の患者さんでは、立っている時、歩いている時、椅子から立ち上がろうとする時などに、この反応が障害されているために倒れやすくなります。通常、他の症状にて発症してから、数年経過した頃にみられるようになります。

歩行障害

歩行が遅く、歩幅がせまく、自然な腕の振りがみられません。また、最初の一歩がなかなか踏み出せず(すくみ足)、歩きだすと早足となってしまい止まることができない(加速歩行)といった症状が認められます。狭い場所や方向転換時に症状が強く出やすく、ちょうど歩幅にあった横線などの模様が床や地面に描いてあると、それを上手にまたぎながら歩行ができます。また、階段なども比較的上手に歩行できるといった特徴があります。

突進現象

前方や後方にちょっと押されただけで、踏みとどまることができずに、押された方向にとんとんと突進していく現象をいいます。ひどい場合には倒れてしまいます。

自律神経障害

いろいろな自律神経症状が出現します。便秘が最も多い症状ですが、発汗過多、起立性低血圧(立ちあがったときに血圧が下がってしまい、ふらついたり(たちくらみ)、ひどい時には失神したりすることもあります)、排尿障害、インポテンスなどの症状があります。

精神症状

抑うつ的で、億劫がり、依頼心が強くなる場合があります。時には、抑うつ症状が病初期から強く、他の症状を自覚できないために精神科を最初に訪れることもあります。不眠の訴えも多い症状のひとつです。

症候

診断

1.臨床所見、2.画像所見、3.治療の効果、4.除外項目から診断されます。臨床所見は安静時振戦、筋強剛、運動緩慢、姿勢反射障害などの存在を参考にします。画像所見は、脳のCTスキャンやMRIは原則として正常です。

以下の検査結果が診断に有用な場合があります。

  • MIBG心筋シンチグラフィー検査:
    ノルアドレナリンと同様に交感神経に取り込まれるので、交感神経がしっかり心筋に存在しているかがわかる検査です。パーキンソン病では、多くの症例で取り込みが低下します。
  • DAT スキャン:
    ドパミンを含む神経線維が線条体と呼ばれる場所でどの程度障害を受けているかを評価できる画像検査です。パーキンソン病では結合が低下します。2014年1月に施行が可能になりました。

また、L-dopa製剤やドパミンアゴニストなどの抗パーキンソン病薬といわれる薬で、明らかな症状の改善がみられることもパーキンソン病の大切な所見のひとつです。その他の疾患と鑑別するために血液検査、髄液検査、電気生理学的検査が必要な場合があります。
以上を参考にして診断を確定しますが、少し経過を観なければ診断がつかない場合もあります。

治療

治療は、内服薬による治療が主体で、症状を軽くして、日常生活を過ごしやすくすることを目指すものです。内服治療をしっかりと続けることで、症状を改善することが可能で、健康な方とほぼ同じように生活できることを目標とします。大きく6種類の薬があり、それぞれ作用が異なります。症状に応じて適切な薬を選んでいます。薬を長期間飲み続けていると副作用が出ることもありますが、さまざまな工夫により調整が可能です。主治医または薬剤師の指導に基づき、しっかりと薬を飲み続けることが大切です。気になること、わからないことがあれば、主治医または薬剤師に気がねなく相談することをお勧めします。 内服治療は、基本的に、脳内に不足しているドパミンを補うことで症状を改善するものです。以下のようなものがあります。これ以外にも新規薬剤が開発中で、最近では、てんかん治療に用いられているゾミサミドという薬やアデノシンA2A受容体拮抗薬のイストラデフィリンが用いられるようになりました。また、内服薬だけでなく皮膚貼付剤や皮下注射薬も使用されています。

表1 パーキンソン病の基本的な薬剤

薬の種類作用主な副作用
L-dopa(エルドーパ)含有製剤パーキンソン病では、身体の運動を調節している神経に命令を送るドパミンという物質が不足しています。L-dopaは脳内で不足しているドパミンを補う薬で、ふるえ、こわばりなどの症状を改善し、スムーズに身体を動かすことができるようになります。おなかが張る、食欲低下、吐き気、頭痛、不随意運動、幻覚、妄想など
ドパミンアゴニスト(ドパミン受容体刺激薬)ドパミンを受け取る部分(ドパミン受容体)を刺激して、その働きを活性化します。吐き気、食欲低下、眠気、睡眠発作、幻覚、心弁膜の繊維化など
ドパミン放出促進薬神経細胞からのドパミンの放出を促進します。皮膚の網目様の模様(網状皮斑)、幻視、不眠など
ノルアドレナリン補充薬脳内でノルアドレナリンに変わり、パーキンソン病の進行に伴い不足してくるノルアドレナリンを補います。すくみ現象への効果がみられます。吐き気、食欲不振、血圧の上昇、頭痛、幻覚など
抗コリン薬ドパミンが減少することで神経伝達物質アセチルコリンとのバランスが崩れてしまい、アセチルコリンの働きが強くなってしまいます。この薬は、アセチルコリンの働きを抑えて、バランスを調整します。口やのどの渇き、便秘、尿が出にくいなどの自律神経症状、せん妄など
ドパミン代謝阻害薬ドパミンを分解する酵素の働きを抑えることで、ドパミンの作用時間を長くします。 L-dopaの減量にも効果的です。基本的にL-dopaと同じ

生活上の注意

日常生活では、外出したり、ご家族や友人との会話、趣味やレクリエーションなどを楽しんだりして積極的な生活を送ることが大切です。ただし、薬の効きが悪く体が動きにくい時には、無理をしないでください。
パーキンソン病という病気、そしてご自身の状態をよく理解する必要があります。薬の効果がとても良い時間と効き目が悪い時間帯が出てくることもあります。その日の体調、天気、心の状態でも症状は変化します。これらも含めてパーキンソン病を良く理解するようにしましょう。そして、本当に注意しなくてはならないこと、あまり悩む必要のない症状を区別していく必要があります。
もし、家族の方がおいでになる場合は、家族の方にもパーキンソン病を良く知って頂き、患者さんの介護にあたる必要があります。どのような場合に援助し、どのような場合は行動を暖かく見守るべきかなどを理解することも大切です。
パーキンソン病は、症状が進行して一定以上の重症度(表2 重症度分類StageIII以上)になると、申請により公的支援を受けることが出来ます。 また、身体の状態やお住まいの地域によって、受けることのできる公的支援の内容やサービスの種類、条件などが異なる場合もあります。詳しいことは、最寄りの保健所・福祉窓口に相談されることをおすすめします。

表2:ヤールの重症度分類

重症度主な症状および必要な介助状況
Stage I片側の手足だけに振戦や筋強剛を示す。日常生活にほとんど介助を要さない。
Stage II両側に症状がみられ、姿勢の変化がかなり明確となる。日常生活がやや不便である。
Stage III明らかな歩行障害がみられ、方向転換の不安定など立ち直り反射障害がある。
日常生活の動作にもかなり障害がみられ、一部介助が必要となる。
Stage IV起立や歩行など日常生活の動作が非常に困難となり、介助が必要となる。
Stage V自力での日常生活動作は難しく、介助による車椅子での移動またはベッド上の生活が中心となる。日常生活では全面的な介助を必要とする。

パーキンソン病への外科治療

一部の症例では、外科治療が施行されます。詳しくは、機能的疾患をご覧下さい。

慶應義塾大学病院での取り組み

当院神経内科では、パーキンソン病向けの専門外来をおこなっています。

さらに詳しく知りたい方への書籍とwebサイトの案内

「患者と家族のためのパーキンソン病Q&A」改訂3版 山本光利 著(ライフサイエンス)
パーキンソン病の患者さんご家族は、誰かに聞きたい多くの疑問を持っておられます。この本にはそのような疑問に対する的確な解答・アドバイスが用意されています。

「たいせつな家族がパーキンソン病になったときに読む本」 高橋一司ほか 監修(講談社)
病気の正しい知識、適切な治療と運動で健康な人と変わらない生活が可能です。この本には、上手に病気と付き合うために必要なことを、わかりやすく説明されています。当院神経内科の医師が監修に加わっています。

文責: 神経内科外部リンク
最終更新日:2014年6月25日

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