音声ブラウザ専用。こちらよりメニューへ移動可能です。クリックしてください。

音声ブラウザ専用。こちらよりメインコンテンツへ移動可能です。クリックしてください。

KOMPAS 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト
お探しの病名、検査法、手技などを入れて右のボタンを押してください。
慶應義塾
HOME
病気を知る
慶應発サイエンス
あたらしい医療
KOMPASについて

ホーム > 病気を知る > 肺と気道の病気 > 在宅酸素療法(HOT)

在宅酸素療法(HOT)

ざいたくさんそりょうほう(HOT)

概要

在宅酸素療法とは、慢性呼吸不全や慢性心不全などの患者さんで、体の中(厳密に言うと動脈の血液中)の酸素濃度がある一定のレベル以下に低下している患者さんに対して酸素を吸入で投与する治療法です。入院中に病院の中だけで酸素を吸入するのではなく、患者さんが自宅で暮らしている時にも酸素を吸入するので「在宅」という言葉がついています。英語でHome Oxygen Therapyというので頭文字をとって「HOT(ホット)」と呼ぶこともあります。以下「HOT」と記載します。

HOTの目的

HOTの目的は、体にとって必要な量の酸素を補充することです。そもそも肺の働きは、体の中に酸素を取り込み、二酸化炭素をはき出すことです。しかし、肺に病気があると、酸素を十分に体の中に取り込むことができません。酸素は全身のすべての臓器や細胞に必要なものなので、酸素濃度が低下している場合は、補充をしてあげる必要があります。酸素が不足した状態が続くと、重要な臓器に負担がかかり、機能が低下します。心不全や脳卒中などの合併症が生じ、寿命が短くなります。我々が、普段吸っている空気の中の酸素濃度は約21%といわれています。肺に病気がある人では、これよりも濃い濃度の酸素を吸わないと体に必要な酸素を取り込むことができません。そのため、HOTが必要な患者さんでは、医師が決めた量の酸素を、主に鼻のチューブから吸入して必要分の酸素を補充します。HOTを行うことで、高度の肺疾患や心疾患を持っている患者さんでも、自宅での生活や社会生活を行うことができます。患者さんの息切れが改善し、生活の質( QOL: Quality of Life )が向上し、寿命が延びることが期待されます。

HOTの適応

HOTが必要になる患者さんは、主に肺や心臓に高度の機能障害を持っている方です。具体的には高度慢性呼吸不全患者、肺高血圧患者、慢性心不全患者、チアノーゼ型先天性心疾患患者が挙げられます。いずれも、呼吸に関わる臓器である肺か心臓が慢性的に障害されることで、臓器としての機能が著しく低下した場合にHOTが必要になります。ここに挙げた高度慢性呼吸不全などはそれぞれが一つの疾患名ではなく、病気の状態を表しており、その中に多くの肺や心臓の疾患が含まれます。例えば、高度慢性呼吸不全の代表的な疾患として慢性閉塞性肺疾患(COPD)、肺結核後遺症などがあります。これらの疾患があっても、重症でない限りHOTの適応にはなりません。HOTの適応があるかどうかは、医師が患者さんの動脈の血液を採血して酸素の圧をはかったり、酸素の大まかな濃度(酸素飽和度)が分かる機械を患者さんの指につけて一緒に歩く検査(6分間歩行テスト)を行ったりして評価します。HOTを開始する時は、検査と学習のため、短期間入院して頂きます。

HOTの実際

酸素吸入が必要であると判断された場合、医師は動脈血液の検査や6分間歩行テストをもとに必要な酸素の量を決定します。安静にしている時と、歩いたり運動したりしている時では、必要になる酸素の量は異なります。医師は「安静時は1リットル/分、労作時には2リットル/分」などというように、安静時と労作時それぞれに必要な酸素量を決定します。夜間は日中よりも酸素濃度が低下することが多く、「睡眠時は1.5リットル/分」などと、日中とは別に酸素投与量を決定することもあります。
自宅で酸素を吸入する時は、空気中の酸素以外のガスを吸着して酸素濃度高める酸素濃縮装置(図1)、または-189℃で液化した酸素をタンクに貯蔵して気化した酸素を吸入する液化酸素の設置型容器、親容器(図2)を用います。外出の時は、携帯用酸素ボンベ(図3)、または携帯型容器、子容器(図3)を用います。酸素濃縮装置は操作が簡単で連続使用ができますが、電気が必要で、携帯用ボンベは交換が必要です。液化酸素は電気を使わず、子容器が小型軽量で長時間使用できるので、家の外での活動に便利です。しかし操作が複雑で、家に設置した親容器を定期的に交換する必要があります。

HOTにおける注意点

HOTの適応になった患者さんが知っておくべきこと、注意するべきことには以下のようなことがあります。

  1. 酸素の投与量は医師が患者さんの病状を考えて処方するものであって、患者さんは酸素の投与量を自己判断で調節してはいけません。酸素は多ければ多いほど良いというものではなく、疾患によっては高濃度の酸素を吸うことによって、意識が障害されるなど酸素投与に伴う合併症を起こしてしまうこともあります。そのため、患者さんは医師の決めた酸素投与量を遵守する必要があります。
  2. 酸素の近くに火があると火の勢いを強め、鼻カニュラに引火する可能性があるため、酸素を吸った状態で火の近くに行くことはできません。酸素を吸いながらタバコをすうなどは非常に危険な行為であり、HOTを利用している患者さんでは禁煙を徹底する必要があります。
  3. HOTを利用している患者さんは、少なくとも月に一回、外来で医師の診察を受ける必要があります。医師は診察の際に、HOTのトラブルがないことを確認し、酸素の投与量が適切であることを確認します。
  4. HOTにかかる費用には健康保険が適応されます。
  5. HOTをしていても主治医に相談の上での旅行は可能な事があります。あらかじめ業者に旅行先に酸素供給装置を設置しておいてもらう必要があるので事前の手続きが必要になりますので主治医にご相談ください。
図1
図2
図3

さらに詳しく知りたい方へ

酸素療法ガイドライン 編集/ 日本呼吸器学会 日本呼吸管理学会

日本呼吸器障害情報センター外部リンク

文責: 呼吸器内科外部リンク
最終更新日:2017年11月16日

▲ページトップへ

慶應義塾HOME | 慶應義塾大学病院