音声ブラウザ専用。こちらよりメニューへ移動可能です。クリックしてください。

音声ブラウザ専用。こちらよりメインコンテンツへ移動可能です。クリックしてください。

KOMPAS 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト
お探しの病名、検査法、手技などを入れて右のボタンを押してください。
慶應義塾
HOME
病気を知る
慶應発サイエンス
あたらしい医療
KOMPASについて

ホーム > 病気を知る > 消化器の病気 > 胃がん

胃がん

いがん

概要

胃がんに対する治療を受けられる予定の患者さま向けの冊子です。

症状

早い段階では症状が出ることは少なく、かなり進行しても無症状の場合があります。代表的な症状としては、食欲不振、腹痛、嘔吐、吐血などがあります。ただしこれらの症状は胃がん特有の症状ではなく良性の胃潰瘍でも起こります。そのため胃薬で様子をみるだけではなく医療機関を受診したうえで検査を受けることが重要です。

診断

胃がんの診断には上部消化管内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)や上部消化管造影検査(バリウム)が有用です。特に早期胃がんは、内視鏡検査が重要です。なおCT、MRI、PETなどで偶発的に、それなりに大きくなった胃がんを発見できることはありますが一般的には早期胃がんをCT、MRI、PETで発見することは困難です。むしろこれらの検査を用いて病気の広がりを検査し治療方法を決定することに役立てます。腫瘍マーカーとしてCEAやCA19-9も有用ですが、早期発見には向いていません。

胃がん

胃がんは胃の粘膜から発生する悪性腫瘍で、病気の進行度(病期、ステージ)によって治療方針が異なってきます。胃がんの進行度は、がんが胃の壁のどの深さまで進んでいるか(T、深達度)、リンパ節転移がどの程度あるか(N、リンパ節転移個数)、遠くの臓器への転移があるか(M、遠隔転移)で決まります。

がんの深さで「T1」が早期胃がんを表し、さらに粘膜層にとどまる「T1a(M)」と粘膜下層まで浸潤した「T1b(SM)」に分類されます。がんの浸潤が粘膜下層を超えると進行胃がんと呼びます。進行胃がんで、固有筋層までの浸潤は「T2(MP」、漿膜下層までの浸潤は「T3(SS)」、漿膜外へ浸潤すると「T4a(SE)」、さらに隣接する臓器へ浸潤すると「T4b(SI)」と分類しています。

リンパ節は、転移がなければ「N0」、転移が2個までなら「N1」、転移が3~6個までなら「N2」、7個以上は「N3」となります。

M分類は、肝、腹膜、肺、骨など他臓器や、胃から離れたリンパ節に転移 (遠隔転移)がなければM0、あればM1となります。

これらのT、N、M分類を組み合わせた胃がんの病期分類は以下の通りです。

胃がんの病期分類

当院における胃がん治療は、"胃癌治療ガイドライン(第3版2010年10月改訂)"(以下ガイドライン)に沿って、この病期にあわせた標準治療を中心に行っています。

患者さま用のガイドラインの解説(医学書として市販されている)は無料でHPでも公開されております。こちらを是非最初にお読みくださると、理解が深まりますのでお薦めいたします。(患者さま用のガイドライン外部リンク
また、インターネットの難しい環境の方でしたら、慶應病院の生活協同組合二階で購入することもできます。(¥1,000)

<手術のために>

  1. 禁煙、呼吸練習 入院がきまったら禁煙です。禁煙ができない場合には手術を延期することがあります。機器を用いて呼吸筋トレーニング、排痰力強化をしておくと良いです。
  2. 口腔・鼻腔の清潔 手術前から歯・口腔を清潔にし、気道分泌物の清掃してください。
  3. ボディイメージの変調 手術後におこる体重減少や小胃症状、ダンピング症候群を理解してください。「良く噛む」新しい生活へ。

<内視鏡治療>

一部の早期胃がんに対して、当院では内視鏡治療を行っております。内視鏡利用の適応は、ガイドラインでは以下の通りとなっております。

分化型

粘膜癌

2cm以下、瘢痕(UI)なし

絶対適応

分化型

粘膜癌

大きさ問わず、UIなし

相対適応

分化型

粘膜癌

3cm以下、UIあり

相対適応

未分化型

粘膜癌

2cm以下、UIなし

相対適応

当院では相対適応までを対象に、内視鏡治療を行っています。併存疾患により、手術による胃切除が困難な場合、内視鏡治療を選択することもあります。

<手術方法>

胃がんのできた場所、大きさ、病期により、術式は選択されます。代表的なものとして

胃の出口側を切る
1. 幽門側胃切除術 distal gastrectomy

入り口側を切る
2. 噴門側胃切除術 proximal gastrectomy

胃を全部切る
3. 胃全摘術 total gastrectomy

中央だけを切る
4. 分節切除術 sleeve resection

一部分だけとる
5. 胃部分切除 partial resection

があります。

標準的に施行されている手術(定型手術)は、胃の2/3以上切除とがんが転移している、転移している可能性のあるリンパ節を取ります(リンパ節郭清)。定型手術では、胃に接した最も近いリンパ節(1群リンパ節)と少し離れた胃に流入する動脈や流出する静脈周囲のリンパ節(2群リンパ節)を郭清します。
ガイドラインも参照ください。

当院では、内視鏡治療の適応とはならない早期胃がんに対して、低侵襲治療としてお腹の傷を小さくする腹腔鏡手術や、リンパ節郭清範囲や切除範囲を縮小するなど、さまざまな取り組みを行っております。

1.腹腔鏡補助下手術
当院では腹腔鏡手術技術認定を得た医師により腹腔鏡手術を多数行っています。腹腔鏡手術の利点は、1. 術後の疼痛が軽微。2. 術後の腸蠕動回復が早く、早期に経口摂取が可能。3. 早期退院、早期社会復帰が可能。4. 創が小さく美容的。などがあげられます。

2.縮小手術
幽門を温存する幽門保存胃切除、切除範囲を縮小する胃局所切除術などを行っています。がんの治療として、標準的な治療と比べて、根治性を損なわないためにセンチネルリンパ節生検を併用しています。

胃のリンパ流は、胃の壁から一番外側の漿膜に達し、次に近傍のリンパ節に達し、そこからさらに次のリンパ節へと流れていくと考えられています。センチネル(衛兵=「見張り」)リンパ節とは、がんが最初に転移の生じると想定されるリンパ節です。当院では、センチネルリンパ節に転移がなければ、その他のリンパ節にも転移がないというセンチネルリンパ節理論を実証してきました。

センチネルリンパ節生検は、 1.早期がん(T1a(M)、T1b(SM)層まで)、 2. 大きさ4cm以下、 3. 基本的に分化型、の三つを適応条件としています。そして、センチネルリンパ節転移がなければ、リンパ節範囲や切除範囲の縮小する試みを行っています。

<化学療法(抗がん剤治療)>

遠くの臓器に転移があるような場合や、術後に他臓器などに再発が認められた場合などで、手術によって全てのがん細胞を取り除くことができない場合には、化学療法(抗がん剤治療)が選択されます。胃がんに対する抗がん剤治療は外来にて実施することが可能であり、仕事を継続しながら実施されている方や、旅行などを楽しみながら治療を継続していらっしゃる方も大勢おられます。

胃がんに対する化学療法は、フッ化ピリミジン系薬剤(S−1、カペシタビン、5-FUなど)とプラチナ製剤(シスプラチン、オキサリプラチンなど)の併用による治療が第一選択となります。なお、5人に1人の割合でHER2と呼ばれるタンパク質を発現するタイプの胃がん患者さんがおられます。その方々には、フッ化ピリミジンとプラチナ製剤に加えて、トラスツズマブという薬剤の追加投与を行います。

その他にも、パクリタキセル、イリノテカン、ラムシルマブといった薬剤が胃がんに対して使用されます。手術後の患者さんに対して再発予防のための化学療法を実施することもあります。抗がん剤には嘔気や下痢などの消化管症状、白血球や赤血球といった血球の減少による血液毒性、手足のしびれといった神経症状などの副作用がありますが、なるべく副作用を抑えながら最大の効果を得ることができるよう、医師・看護師・薬剤師などで構成される医療チームで協力して治療にあたります。

また、当院では各種の臨床試験や、新薬の治験などを積極的に行い、胃がんのより効果的な治療法の確立を目指してまいります。

文責:一般・消化器外科外部リンク消化器内科外部リンク
最終更新日:2016年3月15日

▲ページトップへ

慶應義塾HOME | 慶應義塾大学病院