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顎骨嚢胞

がっこつのうほう

顎骨嚢胞(がっこつのうほう)

嚢胞とは体の中に作られた袋状の病変で、顎の骨の中にもできます。袋の中には液体や半液体状のものが貯まっています。
顎骨に発生する嚢胞には、歯に由来する嚢胞(歯原性嚢胞)と歯に由来しない嚢胞(非歯原性嚢胞)があります。歯原性嚢胞の代表的なものは、歯根嚢胞と含歯性嚢胞です。歯原性角化嚢胞は、現在は角化嚢胞性歯原性腫瘍と名称が変更され腫瘍に分類されています。
非歯原性嚢胞には、鼻口蓋管嚢胞、単純性骨嚢胞(外傷性骨嚢胞)、術後性上顎嚢胞などがあります。

  • 歯根嚢胞
    齲蝕(虫歯)が進行し、根尖性歯周炎となり顎骨に嚢胞が形成されます。上顎前歯部に多く発生します。
  • 含歯性嚢胞
    顎の中に埋まっている歯(埋伏歯)の周りに嚢胞が形成される病変で、好発部位は下顎埋伏智歯(親知らず)です。
  • 鼻口蓋管嚢胞
    顔面および口腔を形成する胎生期の口蓋突起の融合部に残存した上皮から生じる嚢胞で、上顎前方正中部に発生します。
  • 単純性骨嚢胞(外傷性骨嚢胞)
    成因は、外傷により生じた骨髄内血腫の凝血の器質化が障害され、これが液化して嚢胞が生じるとされています。好発部位は下顎犬歯部です。
  • 術後性上顎嚢胞
    上顎洞根治手術から数年~十数年後に上顎に嚢胞を形成する場合があります。

症状

痛みなどの症状がなく、多くの場合顎のレントゲンを撮影した際に偶然に発見されます。ただし、感染すると歯の疼痛や咬合時痛、打診痛や歯肉の腫脹があります。放置すると嚢胞が徐々に大きくなり顎骨を融解し、顎骨の膨隆、歯の動揺、歯根吸収、歯列不正をおこします。

診断

X線写真で、類円形のX線透過像がみられます。歯根嚢胞の場合は原因となる歯の歯根に、含歯性嚢胞では埋伏歯の歯冠部に、鼻口蓋管嚢胞では上顎中切歯間正中部に類円形のX線透過像がみられます。術後性上顎嚢胞では、数年~十数年前に上顎洞根治手術の既往があり、口腔内からの穿刺により黄色またはチョコレート色の漿液性あるいは粘稠性の液体を吸引できます。顎骨には腫瘍も発生するので、大きな病変では組織生検を行い腫瘍との鑑別を要する場合もあります。

治療

嚢胞全摘出術を行います。歯根嚢胞で歯の保存が可能な場合には根管治療を行います。原因歯の根尖部の病変を切除する歯根端切除術を併用する場合があります。歯の保存が難しい場合には原因歯を抜歯します。原因歯が埋伏智歯や過剰歯の場合には抜歯をします。嚢胞が大きい場合には、入院して全身麻酔下で手術を行うこともあります。
若年者や嚢胞が大きい場合には開窓療法(嚢胞壁の一部を切開して内容物を吸引し、嚢胞が縮小するのを期待する方法)を行うこともありますが、再発しやすいので原則、嚢胞全摘出術を施行しています。

慶應義塾大学病院での取り組み

当科では歯科用のコンビームCTが設備されていますので、歯との関係を詳細に診断するために大きな嚢胞ではコンビームCTを撮影します。歯科専用のCTなので被爆量も少なく、歯や顎骨の部分が明瞭に撮影され、診断に有効です。

さらに詳しく知りたい方へ

  • 口腔外科学 / 扇内秀樹 [ほか] 共著 東京 : 廣川書店, 1989.7 コアテキスト
    医学生を対象とした口腔外科の教科書です。

文責: 歯科・口腔外科外部リンク
最終更新日:2017年2月27日

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