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白内障

はくないしょう

白内障(はくないしょう)とは

白内障とは眼球の中の水晶体が濁る病気です(図1)。水晶体は虹彩(茶目)の後ろにある直径約9mm、厚さ約4mmの凸レンズで、焦点をあわせるレンズの役割をしています。水晶体は水晶体嚢と水晶体線維(核、皮質)から構成されます。正常人では水晶体は透明ですが、白内障では水晶体の核や皮質のたんぱく質の変性や体積の増加で、透明性を維持できなくなり、混濁します。白内障の混濁には主に、核硬化(水晶体の中央の混濁)、皮質白内障(水晶体皮質の混濁)、後嚢下白内障(水晶体をつつんでいる嚢の後ろの部分の混濁)があります。

白内障の有病率は年齢とともに増加します。厚生科学研究班の報告では、白内障の初期の混濁を含めた有病率は、50歳代で37~54%、60歳代で66~83%、70歳代84~97%、80歳以上で100%とされています。

白内障の原因を表1に示すように多くの原因があります(表1)。原因は個人要因(加齢、性別、遺伝)と環境要因(喫煙、ステロイド内服など)にわけられます。原因としてもっとも多いのは加齢と遺伝ですが、喫煙、糖尿病の有無、紫外線など他の因子に影響され、白内障は多因性の病気といえます。

まず個人要因ですが、加齢に伴い核硬化、皮質白内障、後嚢下白内障がでます。性別では、女性は男性と比べ白内障になるのが早く、皮質白内障が多いとされています。これは女性ホルモンの影響と考えられています。遺伝も白内障の原因になりえます。双子の白内障の進行を調べた研究から、遺伝が白内障の進行に重要な要因であることが報告されています。

白内障の原因の環境要因には、喫煙、紫外線、糖尿病、ステロイド内服、肥満などがあります。これらの環境要因に共通することは、要因へさらされる量が多いほど白内障になる危険が増すということです。喫煙なら喫煙量が多いほど、紫外線なら紫外線にあたる量が多いほど、糖尿病なら血糖が高くその期間が長いほど、白内障になりやすいということです。原因によって白内障の混濁パターンが異なり、喫煙者は核硬化と皮質白内障になりやすく、糖尿病から皮質白内障と後嚢下白内障になりやすいとされています。最近話題のメタボリック症候群ですが、BMI(body mass index)で30kg/m2を超える肥満では白内障になる危険が高くなります。高血圧や飲酒は白内障の原因となるという報告もありますが、否定的な報告も多く確定的な原因とは考えられていません。

その他の原因として、眼の局所的な炎症を伴うぶどう膜炎や眼の手術の既往、先天性があります。

図1

図1

図2

図2 眼球の構造

図3

図3 水晶体の構造

後天性(個人要因)加齢    (核硬化、皮質白内障、後嚢下白内障)
性別    (皮質白内障、核硬化)
遺伝    (皮質白内障、核硬化)
(環境要因)喫煙    (核硬化、後嚢下白内障)
紫外線   (皮質白内障)
糖尿病   (皮質白内障、後嚢下白内障)
ステロイド内服 (後嚢下白内障)
(その他)ぶどう膜炎、眼の手術の既往
全身疾患(強皮症、筋緊張性ジストロフィなど)
先天性特発性、遺伝性疾患、子宮内感染(風疹など)代謝疾患

表1 白内障の原因

症状

白内障になると1)視力低下、2)羞明(まぶしく感じること)、3)近視化(近視が強くなること)、などの症状が現れますが、白内障の種類や混濁の程度によって症状には個人差があります。

診断

眼科外来での細隙灯顕微鏡検査で診断します。

治療

混濁した水晶体は元には戻りません。早期においては、進行を遅らせる目的で点眼液を使用します。近年では、手術技術の向上と術後視力の回復が早期に得られるようになったこと、高齢者でも運転する人が多いことなどの意味から、以前よりも早期に手術を行う傾向にあります。 手術時期については担当医師にご相談ください。

手術療法

以前は強膜を大きく切開して切開創を作成して水晶体嚢を温存して水晶体を摘出し、温存した水晶体嚢内に眼内レンズを挿入する水晶体嚢外摘出術が行われていました。この手技は切開創の幅が12mm程度必要であり術後乱視が強くなる傾向がありました。現在は2~3mmの小切開創で手術を行い、そのほとんどが縫合を必要としない無縫合手術です。これを可能にしたのが、白濁した水晶体の核を超音波で乳化破砕して吸引除去する技術(図4)と、眼内レンズを折りたたんだり、眼内レンズを挿入するためのインジェクターを使用する方法です。手術の時間は10~30分で終わりますが、症状が進行してからの手術の場合、水晶体が固くなり過ぎて超音波で砕くのに時間がかかり、手術時間がながくなる場合があります。

眼内レンズにはいろいろな種類のものがありますが、一般に使用される眼内レンズは「単焦点眼内レンズ」です。単焦点眼内レンズを用いた白内障手術は視力を回復させますが、一点でしか焦点を結ばないため、術後眼鏡装用が必要となります。昨年「多焦点眼内レンズ」が厚生労働省の認可を受けました。この多焦点眼内レンズはそのレンズの特性から遠くも近くも焦点があうという眼内レンズです。白内障術後に眼鏡を使用せず、若い頃のように裸眼で生活したい方は多焦点眼内レンズについて担当医にご相談ください。

白内障手術後の副作用として、手術後数ヶ月から数年後に、水晶体後嚢が濁る後発白内障が出れば、レーザーで簡単に除去できます。以前は後発白内障は30%程度起こっていましたが、最近は眼内レンズや手術法の改良で、頻度は1~10%程度に減っています。

図4

図4 超音波水晶体乳化吸引術

慶應義塾大学病院での取り組み

当院白内障外来では患者様個々のライフスタイルに合った最適な白内障術後屈折矯正を重視した治療を行っています。昨年に厚生労働省に認可された多焦点眼内レンズがそのひとつです。患者さんへの詳細な説明に加え、瞳孔径の条件などきちんとした適応基準、最適な多焦点眼内レンズの選択、眼軸長測定や乱視矯正の高い精度と技術を必要します。当科では屈折型のAMO社のReZoomTM Multifocalと、回折型多焦点で非球面眼内レンズであるAMO社TecnisTM Multifocal、Alcon社のReSTOR®、を使用しています。多焦点眼内レンズは自費診療となりますが、先進医療として認められ、自費負担額は軽減しました。また、多焦点眼内レンズの性能を最大限に生かし、より快適な視力を得るために、白内障手術と同時、または術後に一定期間をおいて角膜輪部減張切開乱視矯正術(LRI)やレーシックなど屈折矯正手術と組み合わせる治療についても治療体制を整えています。LRIは昨年から通常の白内障手術とも同時に行っており、良好な乱視矯正結果が得ています。

さらに詳しく知りたい方への書籍とwebサイトの案内

慶應義塾大学病院眼科 ホームページ 白内障手術と多焦点眼内レンズ外部リンク
東京歯科大学水道橋病院眼科ホームページ外部リンク
日本眼科学会ホームページ 白内障外部リンク

文責: 眼科外部リンク
最終更新日:2011年12月28日

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